前世がえりアレコレ
投稿が遅くなって申し訳ありません。
でも、後数文字でこの行が打ち終わる直前に画面が消えると、こころが折れます。m(>ω<)m゛
「隊長、工房街詰め所から検問の要請です。」
「検問?犯罪者か?」
「いいえ、職人のジムスが『前世がえり』で混乱しているので、市外は危険なので出ないように街門で止めて欲しいということと、要保護対象の嫁さんが包丁持って旦那を追っかけてるそうです。」
……あ?
「おい後半のは、何だそりゃ?」
話を要約すると、宝飾品職人のジムスが自宅を兼ねる工房で、仕事中に突然『妻がいなくなった』と騒ぎだした。
すぐ近くにいたもらったばかりの嫁さんが『自分ならここにいる』と言ったが、ジムスの『私の妻は君じゃない』という返事に、嫁さんがすわ浮気か重婚かと逆上して、包丁を持ち出し、ジムスは逃げ出した。
まあ嫁さんの気持ちも解る、還った直後は肉体はそのままでも精神が別人に入れ替わっていると言っても間違いじゃない、結婚したばかりの夫に『他人を見るような目』で見られたら逆上もするだろう。
同居していたジムスの両親の方が、成人したばかりの息子が『40年連れ添った老妻』の行方を探していることに、前世がえりの可能性に気付いて、詰め所に息子(と嫁)の捜索願いを出したそうだ。
40年、老老介護かい、前世の奥さんが徘徊でもしていたのかな?周囲の町並みがおかしい事に気がついて周囲に助けを求めてくれればいいんだが。
奥さんだけじゃなくて、旦那の方も認知症だった可能性も無きにしも非ず、だしな。
「検問手配を許可する。各街門を半門閉じて、全部の詰め所ににジムスの容姿を連絡しろ、後嫁も。互助会と自警団にも連絡回せ。」
「了解しました。隊長、あの、それと……」
「まだ何かあるのか?」
「トーノ医師から、家出した息子さんの捜索願いが出てるんですが……」
「その連絡は回さなくて良い、コージの居場所なら俺が知ってるが、医師には『しばらくコージの事はそっとしておくように』、とだけ伝えておいてくれ。」
「了解しました。」
トーノは前世の知識を活かして、この街で医師として働いている人物だ、持てる知識と技術を秘匿せず、騎士団の連中も救命救急時の対処講座でお世話になっているので顔見知りだ、地元の名士と言えるだろう。
そのトーノ医師には魔力量がそこそこ有る14才の息子がいて、将来は自分の医学と治癒術の両方を修めた跡取りになって欲しいと思っていたし、息子の方もそのつもりで勉学に励んでいた。
騎士団の管理職として、マリエラ達騎士団付きの治癒術師を見ているドレイクから見れば、トーノ医師の息子コージに治癒術師を生涯の仕事として、食べていけるだけの魔力量と適性(最適性と出たのは土)があるかは、はっきり言って微妙なところだ。
医師の方に治療の軸足を置けばいいじゃないかという意見もあるが、瀕死の患者を目の前にして限界を越えて枯死してしまう治癒術師は、年間何人も出る。
そこにコージの前世がえりだ、互助会の連中が言うところの二世代目だが、チートなところは何にも無いので今回は関係ない。
問題は還った『中身』が45才一級建築士と来た。
混乱自体は大きな騒ぎにならなかったが、コージは親の期待と自分の進路に悩み、母神の雑な仕事のお陰で親子の間に確執が生まれたと、本当に神様って奴は人間の都合とか感情にはお構いなしだ。
勿論親子双方共に、これまで血の繋がった親子として暮らしてきた記憶も愛情もしっかりとある、だがそれと『前世』とは言え自分が培ってきた知識と技術に誇りと自負があるのは別の話だ。
とは言え、コージは勇者病で騒ぎを起こした訳じゃ無いので、家族の問題にドレイクの出番は無い。
コージは互助会でアラマドのオッサンと人生相談、トーノ医師の所にはマリエラ達この街の治癒術師達が「医師の医療は私達が受け継ぎます!」と押しかけている。
これまでも互助会が支援して講習会など開設していたが、オッサン共はぬかり無く当事者を差し置いて医塾開設の計画を進めている。
転生者は人間だ、この世界に持ち込まれるのは知識と技術だけではなく、思い出とその当時の気持ちも甦る、その中には生まれ変わっても消化しきれない虐待や犯罪被害などの、辛いトラウマもある。
この世界の転生者が今総勢何千、何万人居るのかは知らない。
良い面ばかりじゃないのだって百も承知だ、たった10人しか居なかった第一期転生者と違って、細かいケアなんかしていられないのは解るが、神様の癖に仕事が雑過ぎる、トラブルの種をそのままにして放り込みやがって。
(ここでウッカリ『責任者出てこい』と叫ぶと、億に一つの確率で本当に出て来るから口には出さない。)




