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不仲な元夫婦

本日2話目です。前の話しを先にお読み下さい。

 不仲の揚句に離婚して、別れた後もいがみ合う元夫婦は珍しく無い。

 しかしその元夫婦が創世神で、世界を巻き込んで喧嘩続行中では周囲の迷惑の規模が違う。


 日本神話で、世界と神々を産んだイザナミが最後にはイザナギに対立し人間に死を齎す(もたら)女神になったように、立場は逆だがこちらの世界の母神(リセル)フィレスティリアは元夫である邪神に対する攻撃の手を緩めていない。


 通常死者の魂は輪廻の輪へ戻り、新しく生まれ変わる、自殺等母神に受け入れられない死に方をした者と、魔族に殺された者の魂は邪神の贄(にえ)として喰われる。

 どこの宗教にも良くある『悪いことする奴は地獄に堕ちるぞ』的な教訓かと思いきや、この世界では現実である、神殿の神託の巫女だけでなく、別の情報源からも確認が取れている。

 何より神様が、居るのか居ないのか全く実感の無い前世と比べて、コチラでは神の干渉が実感できる、異世界から断り無しに転生させられた人間がこれだけ居れば疑いようも無い。


 本当に輪廻の輪が廻らない程魂が減ってしまって、大量の魂の移植が必要だったかは、真偽の程は定かで無い。文字通り神様の領域の事だ。


 邪神にとって、転生者の魂は食べられないもの、ハッキリ言えば『毒』らしい、しかも邪神本人(神?)でも、その元に届いた魂を食べないという選択肢は存在しないそうだ。

「腹下しがず~うっと続くのか、嫌がらせとしては地道だけどジワジワと来るタイプだな、神様でも女は怖いねぇ」

「アラマド(オッサン)、笑い話じゃないぞ、河豚(フグ)や茸じゃあるまいし、送り込まれるのは俺達だ、しかも死ぬのが前提だ。」

 邪神を倒滅するほどの威力は無く、人間で言えば食中毒程度らしいが、なにしろ第一期転生者は10人程度、第二期転生者は数は多いが、魔軍との大規模な戦争は経験していない、現在一番年齢が上の者でも40~45才、更に『自殺か魔族に殺される』という条件が付く、検証する材料は少ない。


 互助会の建物内部ですら口に出すのを憚る(はばかる)内容だ、『主神フィレスティリアが元夫に毒を盛っている』のは神殿関係者なら目くじらを立てるが、転生者にはどうでもいい。


 ザワルの様な人間に教えられない、むしろ教えないほうが本人の為と、互助会全体で意見が一致したのは、それを『お助けする為に』国の上層部や神殿が、転生者達を積極的に魔族との戦いに送り込んだり、自殺に追い込むような真似をされては困るからだ。


「元旦那に一服盛るだけなら、俺達の事は説明がつかねえさ、女神様は神託でバラす事もしてねえしな、本格的な嫌がらせは俺達じゃなくて、お前ら二世代目(チート)だろう。」

「やめてくれ、オッサン。」

 苦り切ったドレイクと対照的に、アラマドはニヤニヤ笑っている。

「英雄になりたいアイツ(ザワル)が知ったら、嫉み(ねたみ)でぶちまけるものな。夢がでかいのは良いことだが、叶わなくても他人(ひと)の足を引っ張るのは感心しねえ。」

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