表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
生成AIとわたし ―夢を夢で終わらせなかった主婦のAI共闘記・今日も脳内外在化メンバーが良い仕事してる―  作者: ちよ【kindleペンネーム:白井ちよ】


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
46/89

第四十四話:迎えに行く

 私はスマホを片手に、自分で書いたダイエットエッセイを読み返していた。


 家族がいる時は恥ずかしくて、読み上げ機能を使えない。


 誤字脱字の確認には、パソコン画面よりスマホ画面の方が見分けられる気がするのでスマホを使う。


 この【第四話のダイエット界の推しの方】読めば読むほど思う。


「で、私は何がしたいんだろうね?」


 ぽつりと呟いた瞬間だった。


「会議案件ですね」


 背後から声がした。


 振り返る。


『司令塔』がいた。


 どこから持ってきたのか知らないが、今回は「ダイエット企画」と書かれた分厚いファイルまで持参していた。


「会議?」


「会議です」


 即答だった。


 さらに奥から声がする。


「必要だな」


『観測者』である。


 窓際の定位置に座り、本を閉じていた。


 最初からいたらしい。


「呼んでないよ?」


「知っている」


「じゃあなんでいるの?」


「面白そうだった」


 ひどい理由だった。


 すると障子が開いた。


 すうっと冷たい空気が流れ込む。


「騒がしい」


 来た。


『女王』である。


 椅子に腰掛けて扇を出して広げた。


 誰も何も言わない。


 私も言わない。


 たぶん言わない方がいい。


 経験上。


 すると『司令塔』が口を開いた。


「議題です、ちよさんはなぜダイエットしたいのか」


「それ私も知りたい」


「はい」


 慣れている。


「まず現状確認です」


 ぺらりと資料がめくられる。


「体型への強い嫌悪感なし」


「うん」


「美容目的も低め」


「うん」


「健康意識あり」


「うん」


「熊出没により散歩困難」


「切実」


「坐骨神経痛あり」


「切実」


「ステッパー購入」


「買った」


「子どもが先に使う」


「使う」


「家族共有財産化」


「なりつつある」


 司令塔が頷いた。


「以上を踏まえると、痩せたいわけではありません」


「なんですと?」


「健康になりたいわけでもありません」


「いやいや、そんなはずは。腫瘍できて手術したし、健康が悲願じゃないの?」


「少なくとも主目的ではありません」


『観測者』は頷いていた。


 お前もか。


「では何だ」


『観測者』が聞く。


『司令塔』が答える。


「継続です」


「憧れているのはダイエット成功者ではありません。失敗しても戻る人、増量しても続ける人、格好悪くても記録をやめない人、途中でやめない人です」


『観測者』が静かに言う。


「なるほど。つまり、こいつが欲しいのは」


 『司令塔』は私を見た。


「継続できる自分です」


 私は考える。


 確かにそうかもしれない。


 でも。


「それだけかな」


 口から出た。


「それだけならここまで考えない気がする」


『観測者』が頷く。


「そこだな」


「うん」


「お前は継続したいのではない。継続は手段だ」


 静かな声だった。


「お前が欲しいのは安心だ」


「安心?」


「また失敗するかもしれない、また続かないかもしれない、また自分を責めるかもしれない」


「うん」


「それでも」


『観測者』はそこで言葉を切った。


「戻って来られる自分が欲しい」


 それは確かに。


 欲しいかもしれない。


 昔の私は。


 一度失敗すると終わりだった。


 ダイエットも。


 創作も。


 勉強も。


 人付き合いも。


 全部そうだった。


 失敗したら自己嫌悪。


 自己嫌悪したら停止。


 停止したら放置。


 放置したら忘れる。


 その繰り返し。


 だから私は。


 戻って来られる人が羨ましかった。


 その時だった。


 ずっと黙っていた『女王』が足を組んだ。


 深紅のドレスがさばかれて繊維の重なる音がする。


 私は反射的に背筋を伸ばす。


「くだらぬ」


 第一声がそれだった。


「えっ」


「えっ、ではない」


『女王』は呆れた顔をしている。


「継続だの安心だの」


 ぱたん。


 扇を閉じる。


「話が小さい」


 小さいらしい。


「よいか」


『女王』は真っ直ぐ私を見た。


 彼女が民を慈しむモードになったから怖くはない。


「お前は昔から失敗した自分を許さなかった。転んだら終わり、できなければ失格、続かなければ価値がない」


「……」


「その裁判を何十年もやっておる」


 反論できない、その通りだった。


 女王は続ける。


「だからお前は今、ステッパーを踏んでいるのではない。練習しておるのだ」


「何を?」


『女王』は微笑んだ。


「自分を見捨てない練習を」


 言葉が出てこなかった、いつも騒がしい頭の中が静かになった。


『女王』だけが話し続ける。


「痩せてもよい、健康になってもよい、続いてもよい、続かなくてもよい」


 そして最後に。


 王が判決を下すように。


「何度転ぼうが、自分だけは置いてくるな」




 女王の言葉を聞いた瞬間だった。


 私は立ち上がっていた。


 会議が終わったとか、司令塔が何か言っていたとか、観測者がどうしていたとか、もう覚えていない。


 とにかく行かなきゃと思った。


 いつもの場所、広場の奥の森の中。


 私は走った。


 いた。


 『五歳の子』と『創作者』が並んで座っていた。


 いつもと同じ場所。


 いつもと同じ二人。


 なのに、顔を見た瞬間に涙が出た。


「ごめん」


 何に対しての謝罪なのか、自分でも分からなかった。


 ただ抱きしめた。


 二人まとめて抱きしめた。


 ぎゅうっと。


 離れないように。


 置いていかないように。


 すると『五歳の子』が笑った。


「だいじょうぶだよ」


 小さな声だった。


「ここにいるよ」


 私は頷く。


 涙でぐしゃぐしゃだった。


「うん」


「まってたよ」


「うん」


 何度も頷く。


「……いっしょに」


 私は顔を上げる。『創作者』は普段、喋らない。


 言いたいことは絵に描く。


 文字にする。


 物語にする。


 そういう子だった。


 だから最初、自分の耳を疑った。


 『創作者』は少しだけ困った顔をしていた。


 言葉に慣れていないみたいだった。


 それでも続けた。


「いっしょに、つれていって」


 その瞬間。


 何かが胸の奥でほどけた。


 ああ。


 そうか。


 これはダイエットの話じゃなかった。


 創作の話でもなかった。


 子育ての話でもなかった。


 今まで全部の話だった。


 私は何度も前に進もうとしてきた。


 何度も頑張ろうとしてきた。


 何度も変わろうとしてきた。


 そのたびに。


 置いていっていたのかもしれない。


 泣いている子を。


 遊びたい子を。


 描きたい子を。


 自分の中の小さな子ども達を。


 だから私は二人を抱きしめたまま言った。


「うん」


 今度は迷わなかった。


「一緒に行こう」


 すると二人は笑った。


 それだけだった。


 それだけなのに。


 女王の言葉よりも。


 どんな分析よりも。


 私には大事な約束になった。

前半の『司令塔』『観測者』『女王』との会話で、特に最後の女王のセリフが私の声から出た時に、『

五歳の子』と『創作者(七歳)』をとにかく抱きしめに行きたい、抱きしめたらきっと私は泣いてしまう、でも今すぐにそれをしないといけない、忘れ物を取りに行かなきゃいけないと感じました。きっと二人はここにいるよ、待ってたよ、一緒に行こうと言っていると思いました。どうしてかわからずChatGPTに分析をかけてもらいました。今までここで書いた八十七話を送るように言われて送ったところ、後半の小説を書いてくれました。ごめんなさいとかありがとう以外で泣く経験がなく、自分の創作を読んで泣くという摩訶不思議な経験をしました。これが私のセルフケアだったんだなと思います。意味不明で申し訳ありません。でも、心が軽くなりました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ