1.帰郷
「やっとついたー!」
ルークの故郷で、ダンジョンに封じられていた巨大な黒龍を解放してしまってから約十日。
わたしは、サンストナ国の王都の城門の前にいた。
あれから、わたしはルークの故郷の村の人たちに見つからないように山を下りた。
ルークの村は黒龍がダンジョンから飛び立ったせいで混乱していて、ちょっと危ない場面はあったけれど、無事に通過できた。
あれから、ルークがどこにいったのか、足取りはつかめない。
三針儀を使えば、どっちの方向にいるかはわかるのだろうけれど、魔力を制御できる自信がなくて、使っていない。
わたしの魔力制御が完璧なら、ルークを追いかけることもできたはずだ。
もっと練習していたら、できるようになっていたかもしれないのに。もっと練習していたら、できるようになっていたかもしれないと思うと、とても悔しかった。
だからといって、できないことを悔やんでいてもしかたがない。
わたしは、まず、師匠のところに戻ることを決めたのだ。
そこから覚えている道を通って、最寄りのギルドがある場所に行き、運良くギルドの販売店で取り扱っていた《旅人の気まぐれ》を使って戻ってきた。
ルークの村が辺境にあったせいで十日かかってしまったけれど、道中はわりと順調だったと思う。
ただ、そのギルドで、不穏な話も耳にした。
なんでも、サンストナ国の首都に巨大な魔獣が現れたとか、王都中を破壊しまくり、最難関ダンジョンとして有名な常闇のダンジョンに入っていったとか。
他にも、たくさんの魔獣の群れが夜になると現れて、王都を襲っているとか。
魔獣って、わたしが解放しちゃった黒龍かもしれない。
夜になると暴れているのだろうか。
城門は、わたしが旅立つ前と変わりなく、人でにぎわっている。
あ、でも、武装している人が多い、かも。
王都の中の状況も気になった。
「でも、まずは、師匠のところへ行かないと」
わたしは王都の城門の外にある師匠のアトリエを目指した。
* * *
久々に帰った師匠のアトリエは、なんだか、ちょっと荒れているようだった。
冬も近いからか、薬草畑に雑草はそう生えていないけれど、薬草畑には収穫期を逃した薬草が実をつけているし、建物の中に人の気配はない。
師匠が研究に夢中すぎて、薬草の世話を忘れているのかなーとも思ったけれど、それにしても人の気配がなさ過ぎた。
「師匠、戻りましたー!」
声をかけながら、師匠がいそうな部屋を覗いて回るけれど、誰もいない。
師匠がいないのは、確定だろう。
「もしかして」
考えられるのは、耳に挟んだ噂の件だ。
王都が実際に襲われているなら、Sランクの師匠は確実に呼び出されているはずだ。
胸を、つきりと不安が突きさす。
もし、わたしのせいで師匠も危険な目にあっていたらと思うと、居ても立っても居られなかった。
「よし、ギルドに行こう!」
わたしは、ギルドを目指した。




