3.断罪
村に着くなり、中央にある広場に連れていかれた。
連絡が来ていたのか、村中から人が集まっている。巨人族だけあってみんなわたしの倍以上の身長で、なんだか小人になったみたいだった。拘束されないのはなんでだろうと思ってたけど、こんな人たちに囲まれてたら、逃げようがないよね。
人垣から離れたところで、わたしたちを見ている人がいる。遠目に、一瞬ルークに重なって見えた。きっと、ルークのお母さんかもしれない。ルークの方は、お母さんに気が付いていないみたいだ。
そうしている間に、人垣が割れて、広場の中央に、他の人たちより頭ひとつ大きくてムキムキな人が出てきた。
「掟破りが、よく戻って来れたものだな」
ルークを見て、吐き捨てるように言う。
「わざわざこちらから追いかけるつもりはなかったが、見つけたからには裁かねばならん」
「別に村に寄るつもりはなかった」
「それで済むなら、掟などいらんだろう」
尊大な物言いに、ルークは答えなかった。
「禁足地を犯した罪は、ムコルタ山への供犠だ」
「供犠…?」
言葉の意味がわからなくて小声で呟くと、ルークも小声でイケニエのことだと教えてくれた。えぇっと驚いているわたしに、村長さんが眉をしかめるとオレクさんに向き直る。
「この子供はどうした」
村長さんの言葉にオレクさんが答える。
「ルークの連れだそうだ。ローギウス神の加護持ちで、ヴォルーヴァ神の信託を受けて来たらしい」
「二柱の神の導きを、こんな子供が受けているのか」
胡散臭そうに村長さんがわたしを見る。
「さっきから子供子供って、わたしはリリって名前があるし、人族でも小さい方だけど、これでも十五だもん!」
「そうか」
村長さんはどうでも良さそうに頷くと続ける。
「なんの目的があってきたのかは知らんが、神々の加護に免じ、我々の領土をうろつくことは許そう。だが、くれぐれも協力を得ようなどとは思わないことだな」
「別に協力をお願いしに来たわけじゃないもん」
「なら話は以上だ。罪人は明日、早朝連れて行く。それまで牢屋に入れておけ。解散だ」
村長の言葉に集まった人たちはそれぞれの家へと帰っていった。それを見ていたら、ルークがオレクさんに腕を掴まれてどこかに行こうとしている。
「え、ちょっと待って」
引き留めようとするけれど、オレクさんは、邪魔するなと言いながらわたしを追い払おうとしてくる。ルークも抵抗すればいいのに、されるがままだ。しつこく後を追うわたしに、ルークが言う。
「リリ、悪い」
「え、どう言うこと」
「オレはここまでみたいだ」
「ちょっと」
「気にせず、お前はマヤさんのところへ戻れ。これまでありがとな」
どういうこと…?
ルークは、呪いを解くためにここまで来たんじゃなかったの!?
そんなに簡単に諦めちゃっていいの?
助けていいんなら、今からだってオレクさんを振り払って逃げたっていいのに、そんなことカケラも思っていない感じがして。呆然としているわたしを置いて、ルークは行ってしまった。




