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爆弾娘は今日もダンジョンを攻略中。なにかわからない加護をもらいましたが、がんばっていたら世界を改変していました  作者: 乙原 ゆん
第二章 加護と呪いを巡るエトセトラ

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22 .裏・試練の道7(ニコラス視点)

 風通しのよくなった神殿の中、ゲオルクがあちこち散らばっている書類を集め始めた。ニコラスはそれをちらりと見ると、作業を続ける。

 種族が違い、また、ゲオルクが竜寄りの体をしているために表情は全く読み取れない。

 けれど、付き合いが長いこともあって、醸し出す雰囲気から、早く帰りたそうにしているのはなんとなくわかった。


 普段、ぶつかることが多いが、ニコラスはゲオルクのことを別に嫌いではない。

 ただ、ゲオルクの言動が故郷でいつもニコラスをガキ扱いしていた兄たちに似ていて、つい反発心がわきおこるのだ。その反発心に従って故郷を飛び出してきた身としては、ゲオルクとしてはそういうつもりではないのかもしれないが、世話を焼かれたり、ニコラスが考えていたことを指図されたりすると、つい尻尾が逆立ってしまうのだ。

 冒険者としては、腕は確かだし、信頼できると思っている。でなければ、この間のスタンピードの時の最後のボス戦はもっと酷いことになっていただろう。


 目についた書類を拾いながら、ふと思いついた言葉をゲオルクに投げかける。


「預けてきた子供が心配なのか?」

「……」


 ゲオルクの方は反応がない。図星だったかと思うものの、嫌な気はしなかった。そう、悪いやつではないんだよな。そして世話焼きが、ニコラス以外の誰かに向けられている場合は、ニコラスも特に何も思わない。

 そうしながらぱらぱらとめくった紙の束は、どうやら当たりだったらしい。ゲオルクにも差し出す。


「これ、なんか、他の国のオルディナ神の神殿への指示の写しみたいなんだけど」

「なんだと」


 ゲオルクが手紙をひっつかむと、中を検めていく。


「オレって有能じゃね? これで降格はないと思うぜ」


 せっかくAランク(星四つ)に上がれたというのに、無実の神殿にこんな大穴を開けてしまえば降格どころか、しばらくのライセンス停止もあり得た。

 しかし、これが犯罪を止めるため、という大義名分がつくなら、その心配も不要なものとなるはずだ。

 一応、ここに着いた時に神官は何やら怪しげなことを言っていたが、神殿を破壊したニコラスたちの証言より、さっき見つけた物証の方が信頼性が高いのは間違いない。


 ニコラスとしては久々に暴れられたし、憂いもなくなり晴れやかな気分だった。

 降ってわいた事件に少々血沸き肉踊りすぎたが、加護と救済を掲げる神殿が人さらいをしていたのだ。

 ――まるで、生贄を集めるみたいに。

 ニコラスたちがもたらした被害よりもそちらの方が話題になること間違いなかった。


 お行儀の良い町に、普段もぐっているダンジョンからすると物足りない獲物たち。

 別についてきたことを後悔しているとかそういうわけではなかったが、正直、リリたちを待つ間に退屈していた。

 それがこんな事件に巡り合うなんて。


 露店で、あの帽子を気に入り、カスタマイズしようと思わなければ、ここまで関わることにはならなかっただろう。

 やはり自分にとって帽子はラッキーアイテムなのだと思う。


 ――そもそも、故郷を出たのも帽子がきっかけだしな。


 ふと感慨に浸りそうになったところで、感度の良い耳が、外のざわめきを拾った。


 神殿も一部崩壊しているし、野次馬も集まっているようだ。

 職員が到着したのか、その野次馬を散らすように声を張り上げている。


「ギルド職員が、到着したみたいだぜ」

「そうか」


 拾った手紙を返されて、もとの作業に戻る。

 さて、この事件はどんな真相をしているのだろうかと、ニコラスは表面上は真面目な顔をして、しかし内心ワクワクしながら職員の到着を待った。

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