表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
爆弾娘は今日もダンジョンを攻略中。なにかわからない加護をもらいましたが、がんばっていたら世界を改変していました  作者: 乙原 ゆん
第二章 加護と呪いを巡るエトセトラ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

64/100

20 .裏・試練の道5(ゲオルク視点)

 連れていかれたのは、町の入り口に近い倉庫のような場所だった。


「こんなところに子供を連れてきて何をするつもりだったんだか」

「し、知らねぇよ」

「俺たちはビルさんに言われた通りやっていただけだ」

「別にその後はどうなろうが知らねぇ」


 勝手なことを言う男たちに、ゲオルクは倉庫の扉を開けるよう促す。


「中がどうなっているか、見せてもらうぞ」

「勝手にしろよ。俺たちは案内したからな」

「なに、あんたら、オレたちがあんたらのこと帰すと思ってんの?」

「なっ」


 ニコラスの脅しに、男たちは顔色を青くしている。

 ゲオルクは男の一人に倉庫の鍵を開けさせた後、ニコラスと男たちを残して倉庫に足を踏み入れた。

 倉庫の中は管理人部屋のようになっており、その奥にさらに扉がある。

 外で少々騒がしい物音がしているが、ニコラスがあの男たち相手に後れを取ることはないだろう。

 ゲオルクはためらいなくその扉を開けた。

 そちらは鍵はかかっておらず、あっさりと開く。


「なんだこれは」


 倉庫の床には、人が等間隔で寝かされている。寝かされた人物に意識はなく、その下には魔法陣が敷かれ、輝きを放っていた。

 一番近くの魔法陣の上に、ルゥによく似た少年が寝かされている。


「おい、大丈夫か」


 ゲオルクは側に近寄ると、少年に声をかける。

 魔法陣はどんな効果があるものかはわからないため、慎重に、魔法陣の外からだ。


「ぅっ……」

「おい、しっかりしろ」


 呻き声をあげ、ゲオルクの声に反応した少年に気を取られていたからだろう。

 ゲオルクは背後に気配を感じて、後ろへと飛びずさった。


「何をやっている」


 聞き覚えのない声に振り返ると、昼間ルゥを邪険に追い払っていた男が立っていた。


「ったく、あいつらはきちんと仕事もできないのか」

「お前は――」

「この倉庫の持ち主だ。外の男らを可愛がってくれたのはお前か? 可哀そうに、あいつらでっけぇコブをこしらえて気絶してたじゃないか」


 そう言うということは、ニコラスはこの男に見つかっていないのだろう。


「さぁな」

「イキがいいねぇ。腕っぷしが強いのはいつでも募集してるんだが」

「断る」

「残念だな」


 さして残念そうでもなく、男は言った。


「俺も聞きたいんだが、これはお前がやったのか?」

「俺がか」


 男はビール樽のような体を震わせて大笑いする。


「俺にそんなことできるわけないだろう。俺がやってるのはこの倉庫と商品の管理だ」

「商品?」

「おっと、しゃべりすぎたな。それにこっちも準備ができたようだ」


 男が言うなり、ゲオルクの体に圧がかかり、耐え切れず膝をつく。

 見ると、足元に魔法陣が現れている。


「仲間にもならねぇ、倉庫の中も見られたっていうなら、残念だが、商品になってもらうしかないからなぁ」

「なんだこれは」

「はっ答えるかよ」


 男の言葉と共に、魔法陣の光は明かりを増していく。


「ぐっ」

「ほう、しゃべれるのか。おい、出力を上げろ」


 入り口の陰から、長い錫杖を握りしめた神官服を着た貧相な男が姿を現す。


「ひっ、も、もう少し近づかねば、こ、この距離でこれ以上はできません」

「ったく、なら、さっさとこっちに来ればいいだろ」

「は、はい」


 神官が近づくたびに魔法陣からの圧力が強くなり、ゲオルクはさらに深く膝を折る。

 そのせいか、ちゃらりと首にかけている鎖の音が鳴った。


「ん?」


 男が反応し、無造作にゲオルクに近づくと鎖を引っ張り出す。

 それに抵抗できず、ゲオルクは黙って屈辱的な仕打ちに耐えるしかない。


「外のあいつらが伸びてるのを見て、あいつら弱すぎだと思ってたが、まさかのこんなトカゲがAランク(星四つ)かよ。こりゃぁ高く買ってもらえるなぁ」

「は、はぃ」


 男はゲオルクを見て笑い、神官は小刻みに首を縦に振る。


「彼であれば、主もご満足されるかと、はい」


 その時だった。


「ふぅん、オルディナ神の神官がなぁにやってるんだか」


 言葉と共に、派手な赤い花飾りのついた帽子を身にまとった兎耳の男が現れ、ビール樽のような男を蹴倒し、神官の上へと乗る。

 ニコラスだった。


「きっ貴様っ、オ、オルディナ神のお加護を何と心得る」


 神官は足の下でもがく神官に構わず、ゲオルクの方を向く。


「黒トカゲ、調子はどーよ?」


 しかし魔法陣は消えず、ゲオルクは体を折りうずくまったままだ。


「んー、マジックアイテムかな?」


 いいながら、神官の身につけている装飾を片っ端から壊していく。


「このっ!やめっやめろっ」


 神官の喚き声は大きくなり、やかて錫杖を折ったところで悲鳴に変わる。


「うるせっ」


 その声量にニコラスは耳を塞ぐ。


「てめぇ好き勝手しやがって」


 ビール樽のような男は、完全には意識が刈り取られていなかったのか、気がつくなりニコラスに殴りかかる。


「待て、お前には聞きたいことがあるんだよ」

 それをいつの間にか立ち上がっていたゲオルクがつかまえる。魔法陣は錫杖が折れた時に効力を無くしたようだ。

 そして今度こそ二人の意識を刈ると、アイテムボックスに入れていた縄で二人を縄で縛った。


「ちっ、ありがとよ」

「俺も、助かった」


 ゲオルクとニコラス、どちらも嫌そうな顔をしながら礼を言い合う。


「で、こっちは、オルディナ神の神官か」


 ニコラスが言う。


「そうだな。俺は神殿も見に行くがどうする?」 

「ふぅん。真面目。ま、でも、オレも暇だし付き合ってやるよ」


 素直じゃないニコラスの言葉にゲオルクは少し笑った。しかし、薄暗い倉庫の中で、ニコラスは気が付かなかったようだ。気がついたらまた言い合いになっていただろう。


「その前に、ギルドに寄っていいか」

「あー、片付けもあるもんな」

「余所者の俺らが何か言うより見てもらうほうが早い」


 言って、ゲオルクはロイと思われる少年を背負う。声をかけたが起きる様子がなく、何らかの魔法か神術を使われている可能性があった。ギルドに連れて行き、この状態の彼らがまだ沢山いるのだということも伝えなくてはならない。


 人攫いの主犯格と神官、外で伸びている男たちを倉庫から入ってすぐの部屋に縛ったまままとめて押し込み、逃げられないよう倉庫の鍵をかける。

 そして、ゲオルクはロイを背負ったまま、ニコラスとギルドに向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ