6.到着
その後は、下竜と遭うこともなく順調に進んだ。
山をいくつか越え、国を通り抜けて最後にもう一つ山を越えると聖サルバティア法国の首都が見える。
「うっわー、壮観」
聖サルバティア法国はサンストナ国よりも北にある。
山が多い土地で、その山の狭間を埋めるように町がつくられていた。
一番の特徴なのかもしれないが、塔が林立している。
「すごい数の搭だな」
とゲオルクさん。
「あの塔で神官が修行するって、オレ、聞いたことあるわ」
「へぇ」
それに答えるようにニコラスさんが言い、ルークが感心している。
「ま。ようやくここまで来たんだし、早く行こうぜ」
「そうだな」
「はい!」
そうして、山を下りると、入場手続きをして、まずはギルドに向かった。
* * *
町の中は神官服を着た人が多い。
それぞれ飾り帯が微妙に違う。
あの帯でどの神を信仰する神官かわかるようになっているみたいだ。
神官さんたちの次に多いのはわたしたちみたいな旅人。
ニコラスさんが言うには、この地に巡礼に来る人も多いらしい。
わたしたちの集団が浮いているのか、歩きながら視線を感じる。
「……なんだろう?」
呟くと、ルークが答える。
「見られてるな」
どこか気まずげにゲオルクさんがいい、ニコラスさんが頷いている。
「……ルーク、か?」
「ああ、なるほど」
その視線は、ルークの腕に向いている。
なるほど。
神官さんたち、ルークの呪いが見えているのか、気になるみたいだ。
こっちも早くなんとかしたいね。
そう歩くこともなく、冒険者ギルドについた。
「こんにちはー」
「邪魔するぜ」
「失礼する」
「……ちわ」
扉をくぐると、中の作りは、わたしが知ってる王都のギルドとそう変わらない。
受付と、納品窓口、依頼が貼ってある掲示板。
時間帯のせいか、この国に冒険者自体が少ないのかはわからないけれど、中はそんなに人がいなかった。
受付の職員さんたちと、掲示板の前の椅子でくつろいだ様子の冒険者さんたち。
どことなくベテラン風味が漂う感じの人たちだ。
その人たちの一斉に視線が向くけど、気にせず、受付に向かう。
「サンストナ国から来ました。
あちらの国のギルドから手紙を預かってきています」
持ってきた手紙を渡す。
「こちら、拝見いたします。
それと、全員のギルド証を見せて頂いてよろしいですか?」
「わかりました」
そうして、四人分のギルド証を確認した後、職員のお姉さんは手紙を読み始めた。
一通り読み終えると、顔を上げた。
「全員の宿泊場所の手配と、リリさんへの見立ての神官様へのご紹介、ルークさんへの解呪が得意な神官様へのご紹介を頼む、とありますが、お間違いはないですか?」
「はい」
「宿泊場所は、ギルドの宿舎を提供いたします」
「その宿舎ってどういうものなんだ?」
ギルドに宿舎があると聞いて、疑問に思っていたところニコラスさんがいう。
確かに。王都にはそんなのなかったよ。
「この国に巡礼に来られる方の護衛で雇われた冒険者向けに、ギルドで提供している宿舎です。
食事等はご自分で準備して頂く必要がありますが、町の宿屋よりも低価格となっております。
もし、こちらが気に入らない場合、町の宿を取られてもかまいませんが、その際はお支払いはご自身で行われてください」
さすがに、勝手に宿泊場所を変えるなら、自腹になるか。
宿舎ってどんなところだろう。
あんまり期待しない方がいいかな?
一応、ゲオルクさん、ニコラスさん、ルークに確認して、頷く。
「わかりました」
「では、後ほどご案内いたします。
リリさんとルークさんの件については、一旦ギルドの方でそれぞれの神殿の方に連絡をしておきます。
明日以降、一度こちらの窓口にいらっしゃっていただいてよいですか?」
「はい」
「あと、この手紙はこちらのギルドマスターにも読んでいただく必要がありますので、こちらでお預かりして大丈夫ですか?」
どうしたらいいかわからず振り返ると、ゲオルクさんもニコラスさんも頷いているから、問題ないかな。
「大丈夫です」
「それでは、宿舎にご案内いたしますね」
そして、職員のお姉さんは席を立ち、カウンターから出てくると案内をしてくれた。




