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爆弾娘は今日もダンジョンを攻略中。なにかわからない加護をもらいましたが、がんばっていたら世界を改変していました  作者: 乙原 ゆん
第一章 スタンピード編

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25.リリ、岩山のダンジョンのボスに挑戦する

 階段を降りると、すぐに広間が広がっていた。

 これまでと違い、障害物はなく、だだっ広い空間の中央に、巨大な猪に似た魔獣が居る。

 足もとは、平らな岩で、戦闘中、障害物でこけたりすることもなさそうだ。


 既に戦闘モードになっているのか、体から炎がうっすらと揺らめいて見える。

 あれ、発火は体力が少なくなってからじゃなかったんだっけ。


 疑問に思っている間にも、勢いよく突っ込んでくるから、ルークとは反対方向に飛び退いて避ける。

 熱い塊が横をすごいスピードで駆け抜けていくのを感じた。


 これ、あたったら大けがではすまないよ!?

 暴走猪(ヒーテッドボア)って、こんなに強かったっけ!?


 背後から壁に激突するすごい音がした。

 振り向くけど、暴走猪(ヒーテッドボア)にダメージを受けた様子はない。


 ターゲットはルークになっているようで、攻撃を外した暴走猪(ヒーテッドボア)はルークの方に顔を向けた。

 ひづめで床をかいて駆け出そうとした瞬間に、待機状態にしていた氷魔法を発動。


氷柱撃(アイスニードル)


 狙いは成功。

 しかし、顔から背中にかけて、凍りながらも、暴走猪(ヒーテッドボア)は止まらない。

 まっすぐルークに突っ込んでいく。


 ルークは《加速(スピードアップ)》の効果もあってか危なげなく避け、暴走猪(ヒーテッドボア)は壁にぶつかって止まった。

 暴走猪(ヒーテッドボア)は反転すると、今度はわたしの方へと顔を向けた。


 え、こっちに来るの!?


 さっきの攻撃で怒ったのか、ちょっと発火が強くなっている。

 背中の氷は既に溶け切っているし、詠唱してる時間はなさそう。


 ルークが攻撃を準備して、わたしにむかってこようと溜めている暴走猪(ヒーテッドボア)に、突っ込んでいく。


 助かった!


 暴走猪(ヒーテッドボア)は少しふらついたけど、でもそれだけで、ルークの方を向く。


 ルークの大剣はわたしの支援魔法で氷属性を宿しているはずだけれど、暴走猪(ヒーテッドボア)の体表が少し傷がついたくらいで、暴走猪(ヒーテッドボア)に全然気にした様子はない。


 草原兎なら、一撃で全身凍り付いてしまうのに。

 それだけ暴走猪(ヒーテッドボア)が強いということだろう。


 ボスだけど、しょせん岩山のダンジョンのだからって思ってたけど、気を引き締めないといけない。


 今の一撃で、ターゲットはルークに移動している。


 よし、この隙にわたしも氷魔法の詠唱を行っておこう。


「我が魔力を糧に、ここに雪原の女神の降臨をこいねがう。

 卑小なる身に、その力の偉大さを示したまえ。

 求めるは、大いなる慈悲のひとかけら。

 氷の息吹、その激しき美しさをここに現したまえ!」


 暴走猪(ヒーテッドボア)が、再びルークに向かって走って行く。

 ルークはそれを華麗に避けて、暴走猪(ヒーテッドボア)は再び壁に激突する。


 よっし、今だ!


 「《氷柱撃(アイスニードル)》連撃!」


 ルークに向かっていき壁に激突した瞬間、背中こら壁に押し込むよう、《氷柱撃アイスニードル》を連撃で二発。

 これは流石に効いたみたいで、暴走猪(ヒーテッドボア)の足元がふらついた。


 暴走猪(ヒーテッドボア)が、ゆっくりとわたしの方を振り返る。


 さっきよりもまた発火状態が強くなった。

 事前のシミュレーションでは、これで倒せると思ってたのに、全然倒れる気配はない。



 暴走猪(ヒーテッドボア)って、野生猪(ワイルドボア)の強化版っては効いてたし、針熊(ニードルベア)よりは弱いって聞いてたのに!


 思っていたよりかなり強いよ!


 体表の炎が厄介だ。


 暴走猪(ヒーテッドボア)から立ち上がっている炎が、地味に気温をあげていて、熱くて戦いづらいし、あれのせいで氷魔法の威力が半減している。


 弱点属性って聞いてたのに!


 その上、針熊(ニードルベア)のときと同じくらいダメージも通らないし、小さい分素早さが高くて戦いづらい。


 怒っているせいで素早さも増した暴走猪(ヒーテッドボア)が、こちらにこようとしたけれど、ルークが突撃して、ターゲットがルークに変わり、そのままルークにつっこんでいった。


 それをルークが危ういところで避けた。


 《加速(スピードアップ)》の効果が切れて来たみたいで、あまり距離が稼げていない。


 とっさに魔法を放つ。


「《風刃(ウィンドブレード)》!」


 わざとルークと暴走猪(ヒーテッドボア)の間を横切るように撃つ。


 突進を邪魔された暴走猪(ヒーテッドボア)がこっちを向いた!


 よっし!

 ルークが態勢を立て直すための時間を稼ぐために、すぐ撃てる水魔法で攻撃する。


「《水流弾(ウォーターボール)》」


 氷の次に弱点のはずの水魔法だったけれど、毛皮に当たる前に大部分が沸騰して蒸発してしまった。


 ええー!


 《水流弾(ウォーターボール)》の水も蒸発しちゃうなんて!

 どんだけ強いの!?


 暴走猪(ヒーテッドボア)がゆっくりとわたしの方に向き直る。

 ダメージは与えられなかったけれど、水魔法が嫌だったみたいで、暴走猪(ヒーテッドボア)から立ち上がる炎が荒ぶっている。

 うん、暴走猪(ヒーテッドボア)はめちゃくちゃ怒った様子だ。


 けど、なかなか捕まらないわたしたちに、暴走猪(ヒーテッドボア)も警戒しているようだ。

 今まで見たいにすぐに突進はしてこなくて、じっとこっちを見てくる。


 どうしよう。

 チャンスなのに、どの属性の魔法を使えばいいか、まったく思いつかない。

 どの魔法をつかっても、この暴走猪(ヒーテッドボア)に勝てるイメージが全然わかないよ!

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