23.リリ、ルークと打ち合わせをする2
「俺の方は聞きたかったところは聞いたけど、リリは何か聞いときたいことあるか?」
「ルークの戦闘は《風索》使ってみてたし。なんか隠してる必殺技とかある?」
「……特には? 今は使えないしな」
一瞬ルークは首から下げている師匠から初日に貰っていた封魔貝の首飾りを気にしていたが、なんでもないとでも言うようにすぐに顔をあげた。
あんまり、深くは聞かないがいいやつかな。
「ならいいや。あ、でもね、ルーク、狩りが上手だよねアドバイスがあったらでいいんだけど」
「なんだ?」
「こう、複数の魔獣に囲まれた時に、一気に倒せるような感じの技とかない?」
「それ聞いてどうするんだ?」
「どうするっていうか、さ。
師匠も、若い時にスタンピードに行き合ったことがあるって言ってたし、わたしもたまにそういう時はどうするかなって考えるの」
「へぇ」
「で、わたしが使えるのって《風刃》とか《火炎撃》とか、威力は強いけどあんまり多数の魔獣を一気に倒すのには向いてなくて、どうかなぁって考えるんだよね」
「そういうのはそういう魔法があるんじゃないっけ?」
「そうなんだけど、詠唱省略できないし、魔力消費はたくさんの割に使いづらいんだよね。
もうちょっと使いやすいのがいいというか、昨日の依頼も、ルークがいないと、わたしだけだと森林狼の五匹の群れ、連戦は厳しいもん。
特に森の中は火魔法なしの縛りがあるしね」
「ふぅん。なら、《風刃》の連撃みたいに繋げればいいんじゃないのか?
あれも普通は一撃だけだろ」
「そうなんだ!
師匠が普通にしてたし、しかも十連撃とかだよ?
わたしもそのうち十や二十出せるようになるって、教えてもらった時言われたから、真似してただけなんだよね。
あれ、師匠が改造してたんだ!
気がつかなかった!」
「マヤさんも、大分規格外だな」
「……まぁ師匠だしね」
「あとは、できるかはわからないんだが、いくつか違う種類とか属性の魔法を連撃として組み合わせてもいいだろうし、できるんなら一方向だけじゃなくて、ばらけた攻撃ができても便利かもなぁ」
「ばらけた攻撃?」
「草原兎とか、散ってるだろ?
ああいうの、魔法だったら一網打尽にできるんだろうなって思ったことがあるんだよ。
実際にすると、根こそぎ狩るなって、しこたま怒られるんだろうけど、もっと小さい頃とかは、全部一気に狩れれば早いのにって思ってたんだ」
「一気に狩る……!
狩りじゃ使わないけど、ダンジョンとかでたくさんの魔獣に囲まれたら、そういう魔法があると便利そうだね」
「ああ、そうか。狩りには使えないからって思ってたけど、ダンジョンに潜るならそういう使い方があるな」
「すごい!
それにそういうのなら、わたしにも今使える魔法でできるかもしれない!」
「まじかよ」
ルークは一瞬、やばいこと言ったかな、みたいな顔をしたけど、すぐに冷静な表情に戻ってしまう。
割と、表情に出やすいのに、すぐに無表情に戻ってしまうの、何か理由があるのかなぁ。
もとから表情が乏しいわけじゃなさそうなのにね。
けれど、それを聞くほど親しいわけでもない。
代わりに、話していて気になったことを口にする。
「ルークは、大剣使いだけど、魔法に詳しいんだね」
「別に、普通だろ」
「巨人族は魔法を結構暮らしに使ってるの?」
「なんでそんなこと聞くんだよ」
「ん、巨人族のことってあんまり聞いたことないし、意外だったから。
種族特性で、魔法は土と雷が得意って書いてあったけど、どんな生活してるとか全部謎なんだよね。
どっちかっていうと、魔法よりも肉体派のイメージだった」
「閉鎖的だしな。
俺は半分人間の血が混じってるし、狩りに魔法を使うのは抵抗ないけど、生粋の巨人族なんかは、狩りは己の技量で挑むべしっていうやつもいた」
「ふーん、それぞれなんだね」
「そうだな。ま、あまり知ったからといって役に立つ話もないさ」
そういって、ルークは話をそこまでで打ち切った。
「そろそろ帰るか」
気がつくと、だいぶん日ざしが暑くなってきていた。
「あ、その草原兎と草原狐どうする?
せっかく仕留めたんだし、ギルド寄って帰る?
わたし、道具屋覗いておきたい」
「確かに持って帰るにしては草原兎六匹は多いか。
そうだな、寄って帰ろう」
ルークも同じことを思ったみたいで、ギルドと道具屋へ寄って帰った。




