11.リリ、ギルドマスターに会う
受付のお姉さんに見せた師匠のタグには、魔石が五つはめられている。
俗にいう星五つ。
Sランクの人は滅多にいないし、受付のお姉さんの驚きもわかる。
わたしもいつかは!って思うけど、まずはDランクにあがるところからだよね。
そのためにも、早くダンジョンに入れるようになりたい!
そんなことを考えていたところで、奥からよく日焼けした体格のよい男性が出てきた。
町中で見かけた場合、目につかないように身を縮めてしまいそうなくらいの強面だ。
こげ茶の髪に白髪がまじっているから、師匠よりも若干年上だろうか。
「久しぶりじゃねーか」
「久しぶりだね、モーゼス。
あぁギルドマスター殿って呼んだがいいかい?」
「どっちでも構わねぇよ。
錬金術やるって森に引っ込んでたお前が来るなんて珍しいな。
で、そっちが噂の弟子かぁ。
聞こえてくる話では色々笑わせてもらってるが、やらかしてくれてる割にはちみっこいな」
「あんたに比べりゃみんな小さいだろうよ。
小さいけど、伸び代の方はなかなかだと見てる。私はこれから期待してるよ」
師匠の言葉がこそばゆい。
「さすがエリサとバルクの娘ってとこか。
ひとまず奥の応接が開いてるからそこでいいか」
「あんたがいてくれて助かったよ。頼む」
二人のやりとりは気安いものだ。
彼らに面識があるのは知っていたけど、ここまで仲がいいとは知らなかった。
わたしがギルドに登録した時は、師匠にはついてきてもらったけど、普通に受付のお姉さんに対応してもらったもんね。
モーゼスさんは両親のことも知っているみたいだし、古い知り合いなのかなぁ?
それから、三人で、応接室に移動した。
ソファに座るようを勧められたので、師匠に続いて腰掛ける。
うわ、ふかふかだ。
簡易的に師匠が話をしてくれてるのだけど、話が進むにつれて、だんだんモーゼスさんの目線が厳しいものになってくる。
「へぇ、ダンジョンの裏で加護をもらった、ねぇ」
う、モーゼスさんの視線が痛い。
「なんでそんなとこ行こうと思ったんだ?」
「表からだとダンジョンに入れないから、裏から入れたりしないかなと思って、様子を見に行ったらこんなことになってしまいました。申し訳ありません」
一通りは師匠が話してるので素直に謝る。
「……はぁ。素直なのはいいが、そういうところが、なんというか、色々やらかす元なんだろうな。
で、入れなかった代わりに穴を見つけた、と」
「今日確認に行ってきたけど、その穴は見つけられなかった。
けど、リリの能力は全体的に上がっていたよ」
「神殿には」
「まだ。というか、どの神の加護なのかもわからないからね。王都にある神殿に片っ端から金貨を積み上げてったら、破産してしまう」
「だよなぁ」
モーゼスさんが頭が痛そうに目頭を押さえている。それが自分のせいだと思うと申し訳ない。
「一応、今のところはそう支障があるもんじゃなさそうだし、ひとまずはコントロールが落ち着くまで呪具で抑えるのもありかと思ってる。
モーゼスには一応話しておいたほうが良いと思ってね」
「あぁまぁ聞いてどうなるもんじゃねぇけど、な。助かるよ。しかし呪具かぁ。考えたな」
「まぁね」
「けど、問題が起きた場合、ギルドとしてはそれなりの措置を取らせてもらうと覚えておいてくれ。
あと、加護をもらった話は触れ回らないで欲しい。真似する奴がでそうだ」
「それは、そうだろうね。
リリ、いいかい?」
「はい」
「じゃ、そういうことで。頼んだよ」
師匠が立ち上がるので、慌てて一緒に立ち上がる。
「おい、マヤ」
「なんだい?」
「お前、今度飲みに付き合えよ」
「気がむいたらね」
モーゼスさんは肩をすくめて、師匠はそれにウィンクを一つ。
目の前の大人のやり取りに、胸がドキドキする。
「ったく、いつもそれかよ。いつになったらお前の気が向くんだろうな」
「さぁねぇ」
師匠はくすくすと笑うと、それじゃ、と軽やかに言い置いて扉を出ていく。
わたしも慌ててモーゼスさんに礼をすると師匠に着いて部屋を出た。
応接室を出て、受付まで降りると人が先ほどより増えている。
みんな帰ってくる時間になったみたいだ。
それを横目にギルドを出て、師匠について歩いていく。
今度は呪具屋に向かうみたいだ。
ギルドのランク
Sランクは、星五つ。
Aランクは、星四つ。
Bランクは、星三つ。
Cランクは、星二つ。
Dランクは、星一つ。
Eランクは、星なし。




