第11話[ナラクノハナ]
だが、ハナは挑発に乗らなかった。
実績も何も無い、無名の達也相手に試合何て出来る筈も無い。
溜め息を吐き、帰ろうとするハナを達也は呼び止めた。
「超蝶翔子。」
その名前を聞き、ハナの表情が変わった。
達也を睨みハナが言う。
「私を調べたのか?」
その問いには答えず、代わりに不適な笑みで返す。
その態度に怒り、ハナは達也との勝負を引き受ける事にした。
「安心しな。ちゃんと手加減はしてやる。まあ、一撃で終わらせてもらうけどな。」
ハナのハイキックが達也の顔面に直撃する。
だが、達也は微動だにしない。
「手加減、必要無いみたいですよ。」
余裕のある達也にハナは少し驚く。
勝負を挑むだけあって、多少の実力はあるのか。
そう思い、ハナは徐々に威力を上げながら達也の実力を探る。
達也の鼻と口から血が垂れる。
それでも達也は血を拭こうとせず、ただただハナの蹴りに耐え続けた。
達子は両手で目を塞ぐ。
「お兄ちゃんが死んじゃう。」
そう叫び、達子は泣き崩れた。
蛇乃も達也が何をしたいのか理解できないでいた。
こんな事をしても何の意味も無い。
達也がどんなに酷い目に会おうと蛇乃は何も感じないし、体を張って助けたりもしない。
そんな事を考えながら、蛇乃は達也の企みに気づく。
ハナの本気の一撃を喰らい達也の体は吹き飛び、壁に叩きつけられる。
大量の血を口から吐き出しながらも笑っている達也を見て、ハナは恐怖し後退ってしまう。
これまで達也は一切手を出していない。
一方的に攻撃をしている筈なのに何故だか達也に恐怖してしまう。
もし達也が手を出してきたなら。
達也と本気で闘ってみたい。
そう思ったハナは達子の方へ振り返る。
「これから、お前の妹を痛めつける。それが嫌なら止めてみろ。」
ハナはそう言うとゆっくりと達子の方へ歩みを進めた。




