変死 第6話
「……なら、他にどんな原因が考えられる?」
拓哉が茉里に尋ねた。
茉里は少し考えた後、
『そうね……』
と答えた。
『正直、私の専門からは何とも言えないわ。写真だけじゃ判断できないし……』
「そうか……」
拓哉は少し落ち込んだような声で答えた。
すると、茉里がふと思い出したように、
『ねぇ。拓哉達は今、何処にいるの?』
と尋ねてきた。
「今、俺達は青森の事件があった牧場にいるけど……それがどうかしたのか?」
拓哉がそう答えると、
『それなら、専門家に聞いてみたら?』
「専門家?」
『ええ。私の友人が今、青森の大学で講師をしているの』
茉里は少し声を弾ませた。
『動物の生態や環境について詳しい人だから、今回の牛の変死について
何か参考になることを知っているかもしれないわ』
「動物の生態……」
拓哉はそう呟き、助手席にいる綾乃を見た。
綾乃も拓哉の視線に気付き、
「行ってみましょう」
と頷いた。
『大学の名前と友人の名前をメールで送るわ』
「ああ。頼む」
拓哉がそう答えると、
『それと……』
茉里が少し言葉を止めた。
「何だ?」
『写真のことなんだけど……』
茉里の声が、先ほどまでとは違って少し真剣になる。
『あの写真、できれば牧場主には返さない方がいいかもしれない』
「どうしてだ?」
『まだ何とも言えないけど……』
茉里は一呼吸置いて、
『あの写真には、牛以外にも何かが写っているような気がするの』
「……何か?」
『ええ。でも、今の画像じゃはっきりしない』
拓哉はパソコンの画面に映る写真を見つめた。
「分かった。写真は俺が預かっておく」
『お願いね』
そう言うと、茉里は電話を切った。
「拓哉さん……」
綾乃が不安そうに拓哉を見る。
「何だ?」
「牛の変死だけじゃなくて……写真にまで何かあるんでしょうか?」
拓哉は答えず、パソコンの画面を見つめた。
そして、
「……行ってみよう」
とだけ言った。
拓哉は車のエンジンをかける。
目指すのは――。
茉里の友人が講師を務める、青森の大学だった。




