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変死 第36話

 老紳士・亀崎は、





 驚いた表情を浮かべている拓哉を見つめながら、





「さて・・・・」





 静かな口調で、口を開いた。





「事件の詳細は、分かってくれたかね?・・・・」





 亀崎は、拓哉が手にしている資料へ視線を向ける。





 そして――





「君は、これを君の上司たちに報告するのかな?」





 そう尋ねた。





「・・・・」





 拓哉は、しばらく黙ったまま資料を見つめていた。





 そして、困ったような表情を浮かべながら、





「ええ・・・・」





「ここに書かれていることが、事実なら・・・・」





 そう答えた。





 すると亀崎は、小さく頷いた。





「まあ・・・・」





「好きにすればいい」





 亀崎は穏やかな口調のまま、





 しかし、どこか冷たい目で拓哉を見つめた。





「だが――」





「証拠がない」





「君がこんなことを上司に報告したところで、





 ただの空想だと思われるだけだろう」





「・・・・!」





 拓哉は何も言い返せなかった。





 『確かに・・・・』





 拓哉は、亀崎から渡された資料へ目を落とした。





 そこには、青森で起きた牛の変死事件について、





 自分たちが知らなかった情報が詳細に記されている。





 しかし――





 それを裏付ける証拠を、拓哉は持っていない。





 南部は、もう死んでいる。





 そして、青森での捜査もすでに打ち切られている。





 『俺がこんな話を上司にしたところで・・・・





 南部さんが怪物に変身したなんて、





 誰が信じるんだ・・・・?』





 拓哉は、改めて自分が置かれている状況を痛感していた・・・・。

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