変死 第33話
東京へ戻った拓哉は、
連日のように警視庁の監察官たちから、
青森で起こった事件について、
そして――
大学教授・南部の死について、
何度も何度も事情を聞かれていた。
「だから、何度も言ってるだろ・・・・」
拓哉は、同じことを繰り返し尋ねてくる監察官たちに、
次第に苛立ちを覚えていた。
『もう! 何度、同じことを訊くんだよ!・・・・』
それでも監察官たちは、
まるで何かを確認するかのように、
同じ質問を繰り返した。
そして――
数日後。
ようやく事情聴取を終えた拓哉は、
疲れ切った身体を引きずるようにして、
自分の住むマンションへと戻ってきた。
「はぁ・・・・疲れた・・・・」
マンションの入口へ向かって歩いていた、その時だった。
「・・・・ん?」
拓哉は、マンションの前に一台の黒塗りのハイヤーが
停まっていることに気づいた。
『なんだ? あの車は・・・・?』
拓哉は足を止め、
少し警戒しながら、その車を見つめた。
すると――
ゆっくりとハイヤーのドアが開いた。
「・・・・!」
車から降りてきたのは、
上品な身なりをした、一人の老紳士だった。
老紳士は拓哉の姿を確認すると、
穏やかな笑みを浮かべた。
「拓哉捜査官だね?・・・・」
突然、自分の名前を呼ばれ、
拓哉の表情が険しくなる。
「・・・・あんた、誰だ?」
老紳士は、そんな拓哉の反応を気にする様子もなく、
落ち着いた口調で名乗った。
「私の名前は、亀崎と申します」
そして――
優しそうな笑顔を浮かべたまま、
拓哉をじっと見つめていた・・・・。




