変死 第28話
「うわぁ・・・・」
南部は、鏡に映った自分の姿を見て、
驚きのあまり、思わず顔を逸らした。
「はぁ・・・・はぁ・・・・」
荒い息をしながら、
しばらく鏡を見ることができなかった。
だが――
自分の姿が変わっていたことを、
どうしても信じることができない。
南部は恐る恐る、
もう一度、鏡へと顔を向けた。
すると――
鏡に映っていたのは、
いつもの人間の姿をした自分だった。
「・・・・え?」
南部は、しばらく鏡の中の自分を見つめた。
「・・・・元に戻ってる?」
さっきまで確かに、
人間ではない姿が映っていたはずだった。
『なんだ? 今の姿は・・・・?
あれは、本当に俺だったのか・・・・?』
南部は洗面所の前に立ったまま、
鏡を見つめ続けた。
そして、ふと――
自分の中に、
自分ではない何かが存在しているような、
そんな奇妙な感覚に襲われた。
『俺の中に・・・・
何か別の人格があるのか?・・・・』
南部は、急に自分自身が怖くなった。
このままではいけない――。
そう思った南部は、翌日、病院へ行き、
精密検査を受けることにした。
しかし――
医師から告げられた結果は、
身体には特に異常はない、というものだった。
「・・・・異常なし?」
南部は医師の言葉を聞いても、
素直に安心することができなかった。
鏡に映った、あの姿。
そして、自分の記憶が抜け落ちていること。
さらに、手に付着していた血・・・・。
どれも、偶然とは思えなかった。
南部の胸の中には、
理由の分からない不安だけが、
静かに込み上げていた・・・・。




