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変死 第21話

 南部は困惑したように頭を傾げながら、


「わ、わからないのです・・・・。


 昨日、突然、胸の痛みに襲われて、

 リビングの床に倒れました。


 その後のことは、何も覚えていなくて・・・・。


 気がついたら朝になっていて、

 家がこんな状態になっていたのです・・・・」


 と、拓哉と綾乃に説明した。


「そうですか・・・・。


 では、何か盗られた物はありますか?」


 綾乃が尋ねる。


 南部は、もう一度部屋の中を見回した。


 そして、首を横に振る。


「そ、それが・・・・何も盗られていないのですよ・・・・」


「何も?」


 拓哉が聞き返す。


「はい・・・・。

 財布も、パソコンも、貴重品も、

 何もなくなっていません・・・・」


 拓哉と綾乃は顔を見合わせた。


 強盗なら、窓ガラスを割ってまで侵入したにもかかわらず、何も盗らずに立ち去ったことになる。


「・・・・変ですね」


 綾乃がそう呟いた。


 その時だった。


 綾乃は、ふと南部の手に目をやった。


 そして――


「・・・・先生、その爪・・・・」


 南部の指先に、黒っぽい汚れが付着している。


「え?」


 南部は不思議そうに自分の手を見つめた。


 綾乃は、その汚れから目を離せなかった。


 それは、まるで土や泥が、爪の奥に入り込んでいるようだった・・・・。

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