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ARTEMA SAGA  作者: ロゼオ
第2章 レインボーガーデン
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ーー「絶望」。

アルテマサーガは一言で言って「絶望」だった。

黒騎士のようなモブにして強大な力を持つ者や、味方を注射で操ってくる零社のような敵対勢力もいる。

そして北東のラグナロク復活を企む者たちの存在。

このゲームの難易度は非常に高く、もはや只のゲームではないというのが占い師リクの見解だったのだ。


俺達は森を進んだ。

裏魔法の扱えるホワイトロックの敵対は何を意味するのか。

幸いもう一人の裏魔法習得者アニキは味方としてピンピンしている。

裏魔法の「連携」が何を齎すと言うのか。


セレナ戦での俺とアニキの連携は、連携にして連携技ではなかった。

同じ天空技同士ならそれなりにシナジーがあったはずだし、二人の技を合体させたのような一撃を放てないと真の連携ではないはずだ。


何にせよ俺はアスカの姉ホワイトロックを放っておくつもりはなかった。

エリザベス同様、論理的にも感情的にも大切な存在だ。


「召喚獣は出していない状態が続くと自動的に体力は回復される。ゴーレム『テレサ』もそろそろ大丈夫なはずだよ」


アニキの言葉に、俺は彼の緑色の目を見て頷いた。

彼の武器は今ブラストソードとしてレベルアップしているはずだ。

ブラストについてはどこかで聞いたような気がしないでもないが、とにかくこれでアニキの物理攻撃も俺に並んだか。

衝撃波(インパクト)は黒魔法に分類されるようで、アニキは魔力もずば抜けていた。


セレナもレダスも彼らの武器、能力共に強力で、絆を深め連携技を極めれば神々とも戦えると俺は信じていた。

モリガンの娘クレラや鳥人クロウの潜在能力も興味深いものがあり、エリザベス救出に向けてこの六人だけでも挑む覚悟だった。


「その『モリガンの御守り』絶対に失くさないように。クレラと再会出来たのもそれのおかげな気がします」


レダスの言葉に俺はヒロナさんを思い浮かべた。

強力な運を味方にする御守りなのだとしたら、彼女も相当妹を想っての事か。

美人だし性格はホワイトロックとはまた少し違ったカッコ良さがある。

彼女の期待に応えられるように、魔王復活を阻止しないと。


「連携技は最大四人まで同時にコネクトできるぞ。我々の絆を深める旅にしよう」


セレナは大事な回復薬を消費させた事から、当分の間仲間でいるつもりのようだった。

只の男っぽい女性っていうわけでもないらしく、クールな一面以外の彼女がこの旅では見れそうだ。


だが肝心なリーダーレインが居ない。

彼はアスカと共に海を隔てた港町にいる。

もう一度船に乗りそこから南東へ向かうという選択肢もある中、テレパシーの使えるサイの存在が鍵を握ると言えた。


「そろそろ国境付近です」


カーナビか、と俺はレダスに心の中でツッコミを入れた。

冗談だよ冗談、それより南側の国の名は……?


「エッジ共和国……首都の名『ファンタジア』……」


クレラが呟くように言った。

エッジ……それが長の名か?

いや共和国と言うくらいだから長は存在しないのか。

何にせよこの森からファンタジアまでそう遠くはないそうだ。


それにしても樹海や森のド真ん中に零社のビルがあったのはビックリした。

建設には魔力も多分に要しているだろう。

あのビルのような近代さと現代魔法のコラボだとしたらファンタジアは一見の価値がある。

この世界は絶望と定義したが旅には旅なりの充実感に似たものがある。

そう言った意味では最初に出会った人間がクレラだったのは奇跡だし、仲間たちとの関係も大切にしようと思えた。


森は、まだ続く。

その時何処かで狼の遠吠えが聞こえた。

嫌な予感がする……俺が剣を構えているとあっという間に十数匹の狼に囲まれた。


「斬るか?」


「そうするしか無さそうだな!」


俺が大剣を振り下ろそうとした、その時だった。


「皆んな、攻撃しちゃダメ!」


見れば追いかけてきたのはマリナだった。

あの銀竜シルバーを以前相棒にしていた茶髪三つ編みの女の子である。

そのマリちゃんが何故此処に……?

こんな所で危ねーぞと言おうとした次の瞬間、彼女の身体が若干透き通っているのが分かった。


「この森は別名『亡霊の森』……」


俺はレダスの言葉に土の地面を思いっきり殴った。

異世界人として平和を実現するはずだった。

それが村娘一人も護れねーなんて。

初めて思い知る知人の死だった。

本人は死んでいる事に気付いているのか。


(どっちにせよ恐らく彼女はこの森から出られない。まさか成仏するまで永遠に彷徨うのか……?)


クレラが俺の肩に手を置いていた。

シルバーと引き合わす約束だったじゃないか。

一体誰が彼女を葬ったんだ。

狼狽える俺に対し、マリナは死んでいる事にも気付いていない素振りで首を傾げていた。

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