第76章 - 金 VS 黒
一歩前へ - 悪魔スライムの剣がスマラグドに振り下ろされた。
この瞬間、世界が止まったかのようだった。
静かになったからではない。逆だった。どこかでまだ人間が叫んでいた。木が割れた。硝子の破片が石の上を滑った。屋根の上で天使スライムがはためき、温かい光を細い塵のように破壊された通りに降らせていた。だがそのすべてが突然遠くなった。
この刃だけが意味を持った。
スマラグドだけが。
そして大人たちの顔が見えた。
ルビンが麻痺の下に立っていた。斧がまだ掲げられ、黒い炎に舐められて。ディアマントの顎があまりにきつく噛まれて首の筋肉が綱のように浮いていた。ヴァレリアが弓を半分上げたまま、指が弦に、視線にパニックより悪いもの。クレントが自分の身体と戦っていた。誰にも見えないのに全員が感じる鎖のように。
全員が見ていなければならなかった。
誰も来ない。
その考えが氷水のようにスマラグドを打った。
誰も来れない。
後ずさった。背中が硬く家の壁にぶつかるまで。冷たい石。粗い木。首筋にこびりつく埃。呼吸が速すぎた。浅すぎた。ほとんど空気が入らなかった。同時にあまりに多くを肺に引き込もうとしているのに。
目の前で黒い刃がもっと低くなった。
「だ、だめ - 」
言葉がまず喉に詰まった。
悪魔がもうそこにいた。剣が沈んだ。赤い目が灼えた。そしてあの笑み - 恐怖をこれほど近くで見る喜び。
スマラグドが両手を上げた。
何をしているか分かっていたからではなく。
身体が自分と死の間に何かを置きたかったから。
「だめえ!」
衝撃が来た。
だが刃は彼女に当たらなかった。
上げた両手の間から眩い金色の一撃が走った。あまりに突然で、スマラグド自身にもこの光がどこから来たか分からなかった。次の一拍で彼女と悪魔の間に掴めるものがあった。
槍。
長い。細い。液状の陽光のような金色。刻み目も重さも傷跡もない鍛えられた武器ではなく、それでも硬さを持つ純粋な何か。悪魔の剣がそこに当たった衝撃で空気が叫んだ。金色の火花が噴き上がり、小さな星の欠片のように瓦礫の上を滑った。
そして悪魔の黒い刃が崩壊し始めた。
爆発的にではなく。
槍が触れた場所で暗い質量が嘶き始め、溶け始めた。見えない火が内側から喰うかのように。金色が悪魔の腕にすら滑り込み、黒い質量に細い筋を喰った。中で何かが泡立った。おぞましい嘶きが立ち上った。
悪魔が急いで退いた。
今度はただの苛立ちからではなかった。
驚きから。痛みから。
笑みが崩れ、半ば溶けた腕から煙が上がった。火の匂いではなく、灼けた闇の匂い。
「ケツジョ......!」
スマラグドが見つめた。
槍がまだ手にあった。温かい。軽い。それでもあまりに本物で、指がすべての線を感じた。表面が穏やかに振動していた。独自の鼓動を持つかのように。
「わたしが......受けた?」と信じられずに呟いた。
悪魔の後ろに大人たちが立っていた。硬直して無力で。目に同じ考えが閃いた。
また。
最大の危機に。
キュクロプスの戦いの時と同じように。
ヴァレリアにはただの光ではなく見えた。パターンが見えた。繰り返し。すべてが多すぎた時にこの少女から噴き出すのを前にも見たもの。クレントにも同じ冷たい確信があった。ディアマントとルビンにも。誰も話せなかった。誰も動けなかった。だが全員が認識していた。
悪魔が傷ついた腕を引いた。黒い質量がその上を這い、開いた場所を閉じ、新しい形を織った。即座にではなく。楽にでもなく。だが見えて。
唸った。
そして上から、大袈裟に静かな、とても集中した音。
「ぽこ」
忍者スライム。
屋根の庇に立っていた。小さく、鮮やかなピンクで、体格に対してあまりに誇らしげ。そして今度はただふりをしているのではなかった。
「一万影分身の術!」
一跳びで動き出した - 突然至る所にいた。
本当に一万ではなかった。だが屋根も壁の縁も窓の桟も崩れた屋台も、一度に小さく鮮やかなピンクの影だらけになるほど十分に。
影分身がちらつき、同時に走り出し、手裏剣の雹が空気を走った。ある星は青く閃き、あるものは火花を散らし、あるものは茶色い筋を引いた。雷、火、土 - 小さく硬い衝撃が悪魔の肩、背中、首を打った。
悪魔が首を振った。
初めて優位に見えなかった。
苛立って見えた。
本物の忍者スライムが屋根から跳び、日除けの残骸に大袈裟に静かなぽこで着地し、即座に次の星の雹を投げた。分身が同時に左から右から上から落ちた。回転を強い、注意を引き裂いた。
一つの星が青い光に弾けた。一つが炎に。一つが石畳から土の棘を突き上げさせ、悪魔の動きを一瞬奪った。二体の分身が反撃でピンクの飛沫になって家の壁に砕けた。さらに三体が鞭のような黒い触手に引き裂かれた。だがまさにその隙間で本物の忍者スライムがもう一度かわしを強いた。
ほんの数秒。
だがこの数秒は本物だった。
まさにそれがスマラグドに必要だった。
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アリー!
瓦礫。
崩れた壁。
血。
金の槍が手の中で振動した。方向を知りたがるかのように。だがスマラグドはそれ以上考えなかった。振り返って走った。砕けた板の上を。石の上を。倒れたベンチの傍を。アリッサが叩きつけられた場所に真っ直ぐ。
「アリー!」
答えがなかった。
ただ埃。
ただ木。
ただ石と漆喰の間から沁み出る赤。
スマラグドがもっと速く走った。
突然目の前にあるものにほとんどぶつかった。
悪魔。
道を塞いでいた。
速すぎた。
音もなさすぎた。
スマラグドが槍を振り上げて半歩よろめいて退いた。心臓があまりに強く打って一瞬目の前が暗くなった。
横目に動きが見えた。
忍者スライム。
あるいは残っていたもの。
もう屋根の上ではなかった。ポーズでもなかった。ただの鮮やかなピンクの水たまり。石畳に広く流れて。中にいくつかの暗い残り。溶けた手裏剣に見えるもの。
分身はなかった。
ただなかった。
スマラグドの呼吸が止まった。
そんな......
悪魔はその間に完全に再生していた。腕が無傷。剣がまた手に。黒く脈打って。何も溶かされたことがないかのように。赤い目がもっと明るく灼え、あの笑みがまた戻っていた。
「シネ、ケツジョ!」
剣が上がった。
スマラグドが瓦礫の場所を見た。
アリッサが横たわる場所を。
喉が締まった。目が灼けた。手の中の槍が一緒に震えた。
「アリー......」と囁いた。
そしてもっと小さく。もっと脆く。
「アリー......助けて......」
悪魔が打った。
スマラグドが金の槍を振り上げた。
衝撃が腕から肩まで麻痺させた。金色の火花が噴いた。黒い刃が下に押した。重く。容赦なく。スマラグドが喘いだ。痛みが手首を走った。
だが保った。
綺麗にではなく。強くでもなく。ただぎりぎり。
足元にまた光がちらついた。
まず弱く。
次にもっと明確に。
まだ翼ではなかった。まだ何も見えるものはなかった。ただこの感覚。背後で何かがもっと大きくなっている。もっと広く。もっと温かく。本当に呼ばれる瞬間を待つ第二の守りの形が準備しているかのように。
悪魔が唸った。槍がまた刃の縁を溶かし始めたから。小さな黒い切れ端が剥がれ、嘶き、消えた。今すぐ倒すほど速くはない。だが苛立たせるだけ十分にはっきり。
笑みが狭くなった。
「オマエ......マナンデル......」と嘶いた。
スマラグドは答えなかった。
できなかった。
ただ槍を沈ませないことだけに戦っていた。
後ろに大人たちが生きた彫像のように立っていた。クレントの目が灼えていた。ルビンが意志だけで麻痺を引き裂きたいかのように見えた。ヴァレリアの視線がスマラグドと槍に留まり、どこかその奥に剥き出しのパニック。ディアマントが石のように立っていたが、目に恐怖が震えた。
誰も助けられなかった。
今は。
それはただ一つのことを意味した。
スマラグドがやらなければならなかった。
一人で。
黒い刃を押し返した。
金の槍が応えた。
そして頭の中で言葉がもう少し深く灼きついた。
ディヴァイン・ウィングス。




