第二章 ビャクロ6
リーが気持ちよさそうに寝ているころ、
一方桃花はずっと起きて見張りをしていた。
まったく、
この男は危険というものを知らないのかしら?
野宿をするときには
交代しながら見張りをする。
冒険者として、
……いや、移動するものにとって基本中の基本よ?
本当に何も知らない初心者なのね……。
まあいいわ、
知らないことはその都度教えていけばいい。
それよりも考えないといけないのはこっちよ!
私の刀。
昔お礼にもらったのはいいけど、
無理やり魔力をまとわせているから
流石にそろそろ厳しいのよね……。
かつて恩師から託された、
凝ったデザインの鍔が付いた一振り。
大切に使われているようだったが、
金属が白みを帯びてきている。
自然界にあるものはなんでもそうだが、
魔力に対する親和性は種類によって異なる。
無理をさせ過ぎると徐々に変色し、
しまいには魔力を全く通さなくなるのだ。
そうなってしまうと冒険者としては厳しい。
なぜなら、
敵である魔物たちの表皮は硬く、
魔力で強化せずにダメージを与えることは難しいからだ。
さて、どうしたものかしら。
たしかセレスト村は小さな町。
武器屋なんてあるはずもないものね。
本当に危なくなったら
途中で賊か何かの刀剣を奪……いえ、
「借りる」しかないかもしれないわ。
……とにかく、
朝日が昇ったらすぐにリーをたたき起こして出発ね。
次の見張りは一晩中やらせるから、
覚悟しておきなさい!!
一人、
真っ暗な夜に目を光らせながら、そう決意する桃花であった。




