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彼らのいた時代  作者: あという人
第1部

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第二章 ビャクロ2

「だからよぉ、お嬢ちゃん。」

「少し付き合えって。」


男の声。しかも複数。

リー・テンは眉をひそめる。


狭い裏路地。

壁際へ追い詰められている女がいた。

長い桃色の髪、

細身、

華奢、

腰に刀。

強そうな目で男たちを睨んでいた。


だが、どう見ても数で負けている。

男は四人。

しかも武器持ち。


リー・テンは少し考える。

関わらない方が面倒は少ない。

この街に来たばかりだ。

問題も起こしたくない。


 ——だが、男の一人が女の腕を掴んだ瞬間、

リー・テンは口を開いていた。


「おい。」


全員が振り向く。

男たちの顔に苛立ちが浮かぶ。


「あ?」

「通路塞いでんだけど。」

「……は?」


リー・テンはため息をついた。

「邪魔だ。」


その瞬間、

男が殴りかかってくる。

速くはない。

リー・テンは反射的に避ける。

そのまま腹へ拳を叩き込んだ。

鈍い音。

男が折れる。


「がっ……!?」


残り三人。


今度は武器を抜いた。

リー・テンの額に汗が浮かぶ。

だが、武器に目が行く。

長柄斧、

短剣、

棍棒。


うわ、斧デカい。

欲しい。


そんなことを考えていたら、

棍棒が飛んできた。

リー・テンは腕で受ける。

普通に痛い。

腕がしびれる。


「っっ……!!」

しかし、逆に近づけた。

そのまま頭突き。

男が倒れる。


短剣持ちが横から来る。

リー・テンは咄嗟に落ちていた木箱を蹴り飛ばした。

男がバランスを崩す。

そこへ先程の男が持っていた棍棒を叩き込む。


最後の斧持ち。

一番強そうだった。

男は斧を振り上げる。

重い攻撃。

だが遅い。


リー・テンは懐へ潜り込む。

柄を掴み、無理やり引く。

「うおおおっ!!」

腕力勝負だった。


男も驚くほど力が強い。

だが、

リー・テンの方が上手だった。

一瞬だけ力を抜く。

するとそのまま男は体勢を崩した。

そこに、そのまま肩から突っ込み、

壁へ叩きつけた。


決着。


「……っざけんな……。」

男たちは這うように逃げていく。


リー・テンは息を吐いた。

腕が痛い。

殴った拳もじんじんする。

やっぱり戦い慣れてない。


無駄に力むし、

疲れる。


リー・テンは落ちていた長柄斧を拾う。

重かったが、妙にしっくりきた。


「……いいなこれ。」

振ってみる。

危うく壁に刺さりそうになる。


「…っと、危な。」


「初心者ね。」

後ろから声飛んでくる。

さっきの女だった。

リー・テンが振り返る。


近くで見ると、思ったより若い。

それに結構美人だ。

そして、

妙に落ち着いていた。


襲われていたわりに、全然怯えていない。

むしろ観察されている感じだった。


「助けてくれた借り、どう返そうかしら。」

「別にいい。」


リー・テンは肩へ斧を担ぐ。

「むしろ武器貰ったし。」

女が少し笑う。


「変わった人。名前は?」

「リー・テン。」

「私は桃花。」


 ——桃花。

不思議な名前だった。

少なくとも、故郷や小国家群じゃ聞かない名前だ。


リー・テンは少し考える。

それから、

「この辺詳しい?」

「まあ。」

「案内してくれ。」


桃花が目を細める。

「借りの代わりに?」

「そう。」

「ふふ。」

彼女は少しだけ笑った。


「いいわ。」

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