幸せ一家と隣の妖精
夕方 ユイの旦那さんが帰ってきた
背が高くて 真面目で優しそうな人だった
食事が出来るまで リビングでねっ転がりながら 春と遊んでいる
笑顔全開で 春を持ち上げ飛行機状態だ それに大喜びの春の笑い声が家中に聞こえ
幸せを絵に描いたようだと モパは思っていた
夕飯に 晩酌付きで 旦那さんはご機嫌だ
悪とは無縁の世界だな・・・・・・・
少し遠くから 様子を見ていたが 食事が終わりそうな頃 家族があつまるリビングへ
近づいた
春はテレビに夢中になってる
旦那さんは 新聞を見ながら 一瞬 モパの居る方向を チラリと見た
妖精の存在は 見える人のほうが少ないので モパは特に気にせずにいた
新聞をじっくりまた読み始めた旦那さんは
ユイが片づけを終えて戻ってくると
「ママ あそこにいる人は?また例のやつかな?」と 尋ねた
指差す方向は モパがいるところだった
モパは ドキッとした
ユイは
「モパっていうの 今日知りあったの。しばらく家にいるそうよ」
と答えた
そんな 何事もないかのように言うが 今 すごいことがおきてるんだぞ!
自己紹介された モパは ユイにそう突っ込みたかったがが 声に出せなかった
旦那さんは
「最近多いよな~ 妖精。流行ってんのかな?」
と
こちらも 負けず劣らず 無関心・無反応だった
相変わらず 目線は新聞に向いているし・・・・・・・・・
「あの・・・・・・・・・」
モパは 夫婦に語りかけた
「流行ってるって・・・・ 妖精 よく見かけるのか?」
なんだ この質問は・・・・・
野良猫見ますか?って聞いてるのと違うんだぞ と 自分でこの状況にかなり動揺しながら
尋ねる
旦那さんは ぱっと こちらを向いて
「あれ? 言葉通じるんだ? こんばんわ。」
と 挨拶をした
条件反射で モパも挨拶する
「2か月に1回くらいの割合で見かけるよ でも わたしは言葉は分からなかったけど」
にこやかに 答える
「しばらくすると いつの間にかいなくなってるから 気にしないことにしたんだけど
ママ~ 今回は わたしも言葉が通じるよ~」
と 嬉しそうに ユイに報告している
「そうなの! あなたは初めてね。 春も見えるようよ」
と 夫婦で 喜んでいる
「気兼ねしないで ゆっくりしなさい 」
この家族に暖かく迎えいれられたモパだった
なぜか この家族は 妖精がよく集まる家族らしい
こんなことは初めてだ・・・・・・・・・・・
初めて 公に受け入れられて 戸惑ったモパは 幸せ家族が寝入った後
風にあたりに 庭へ出ていた
茫然としている気持ちとは裏腹に 自分の力は漲っている
どんよりとした 雨雲を見上げると
両手を上げ 意識を集中して 気をこめた
すると 雨雲は一瞬で吹き飛び きれいな丸い月と 星空が広がった
・・・・・・・・・やはり 力は数段 上がっている・・・・・・・・
今までの能力では出来ないことも ここでは出来る
人の力を蓄えエネルギーに変換できるモパは この家に来て またたく間に力をつけたようだ
名の変哲もない普通の家族だと思っていたが 計り知れないパワーをもってるようだ
星空を見上げながら そう考えていると
聞きなれない女の人の声がした
「美しい夜景をありがとう お隣さん」
腰まである 栗色の髪を一つに束ね
淡い緑色の服を着た 同業者だった
ネコ科系の ちょっとつり目の大きな瞳が印象的だった
「・・・・・・・・・隣にも 妖精がいるのか? 本当にこの辺りは多いんだな」
思わずため息がでた
「私は ミクよ どう? そちらのお家の住み心地は?」
おかしそうに 空を舞い 隣の家との垣根に座って モパに近づく
「モパだ 今日この家に来たんだけど 家族全員わたしの姿がみえるらしい
妖精も 日常的な存在らしいな」
「エネルギーの塊だからね その家族を目当てに よく妖精が集まるのよ
わたしも その一人なんだけど 力が強すぎて長くは 近寄れないのよ
モパは よく平気ね 」
心底感心してるようだった
「ユイの家族のエネルギーに引き寄せられたのか・・・・・・・・」
自分が引き寄せられるほど ユイの家族は強大な力を持ってるのか
先駆者たちは 数か月で消え去ってしまったから ユイ達もあんなにあっさりしてたんだな
ようやく 不思議一家の謎が一つ解けて すっきりしたモパだった
「早く 力を得たら 引き上げることね
欲を張ると 自爆しちゃうわよ」
ミクは忠告をくれた
大きすぎるパワーは 自分の存在も消してしまうのだ
「そうだな・・・・・・・・・・親切にどうもありがとう」
ミクを見つめると
ミクは美しい顔でにっこり笑って
「あなたが気に入ったわ どうぞよろしく
困ったことがあったら 訪ねてきてね」
と モパを見つめ返した
「あぁ」
モパは 立ち上がり ミクと別れて家に戻った
ミクは名残惜しそうに モパをずっと見送っていた
考えることに 疲れてきたモパは
自分の部屋へもどり 深い眠りにつくことにした




