歓迎会に招かれる
久々の深い眠りに就いたモパは 夢を見ていた
明るい光に導かれるように 歩いて行くと 広くてきれいな公園にでた
たくさんの人がそれぞれの時間を満喫していた
見慣れた光景として まず ユイ達が お弁当を広げ 春の三輪車の練習をしているのが見えた
笑顔があふれ いつも幸せそうな家族
モパはほほ笑んでその様子を横目に 空中に飛び出した
近くのベンチでは 前の同居人の女子高生が短いスカートをはいてベンチに腰掛け
足を組んで携帯で誰かと喋ってるのが見えた
身振り手振りが大きいが 話の内容は驚くほどつまんないこだろうと
相変わらずの様子を見て 次の場所へ移る
花壇の近くでは ミクが仲間の妖精と集まってるのが見えた
年寄りから同じような年の妖精 男女数人が ミクを中心に話し合ってるようだった
ミクはつまらなそうな顔をしていたが モパを見つけると笑顔で手招きをしていた
軽く手を振り モパはそこには立ち寄らず 高く高く空へ舞い上がっていった
広い公園は たくさんの人がいるけれど よく見ると いままで何かしら関わってきた人達ばかりだった
懐かしい気持ちで 遠くからその様子を見ていたが
小さな丘の横にあるログハウスに目を移すと そこが気になってきて
吸い込まれるように 目が離せなくなってきた
昼間なのにそこだけ 影を落としたようにひっそりと暗く 誰にも気づかれない
寄せ付けないような雰囲気だった
近くまで近づこうとするが 部屋に明かりはなく 暗闇しか見えなかった
どうしても 気になって仕方なくなってきて
モパは入り口に近づき ドアに手を伸ばす
心臓の鼓動が激しくなり 見てはいけないものがそこにあるような 危険な感じがした
でも ドアに置いた手にぐっと力を込めた
その瞬間
まばゆい光に 辺りは一瞬で白い世界になり 何も見えなくなってしまった
モパはゆっくりと瞼をあける・・・・・・・・・・・・・・
気がつくと朝になっていて キッチンから物音と食べ物のにおいがした
ユイが朝食の準備をしているようだ
ゆっくりと 自分の部屋からでたモパは
ユイと旦那さんのいるキッチンへ向かった
旦那さんは 新聞を読んでいると思ったら 半分寝ているようだった
「おはよう モパ 昨日は眠れた?」
ユイにそう問われて
「あぁ、よく眠ったよ」と返事をすると 旦那さんが 目を覚ましたようで モパに挨拶をくれた
「眠れた?よかった。
そういえば モパは食事取らないんだって?普段はどんなものを栄養にしてるんだ?」
あなたたちのエネルギーを・・・・・・・・・・とは言えないので
「基本的にお腹はすかないので 食事する必要がない」と答えた
旦那さんは 話が通じるのが嬉しいようで
「もっと色々話を聞きたいんだが もうでかけなきゃ
今日は早く帰ってこれたら モパの歓迎会をするから 予定空けておいてくれる?」
屈託のない笑顔でそう言うと 急いで食事を済ませ バタバタと仕事に行った
「歓迎会・・・・?」
聞きなれない言葉をつぶやくと
ユイが
「いいアイディアよね これから しばらく過ごすんだし 交流を深めるのにもね」
と こちらも 楽しそうに旦那さんの意見に大賛成のようだった
いろんな人と出会ってきたが ここまでの歓迎を受けたことがなかったので
茫然としてしまって 断る機会も失い 夜は歓迎会に参加することになった
しばらくして起きてきた春は 歓迎会の準備としてユイと一緒に
画用紙に モパの肖像画らしきものを作成している
ちらっと見た限りでは モパの顔とは程遠いのもだったが
春なりに一生懸命 モパを描いてくれていた
出来上がりまで そばにいるのがいけないように感じたので
モパは近所を散歩することにした
ゆっくりと見物しばがら空中散歩をしていると 正面に広場が見えた
そこは夢で見た公園によく似た場所だった
夢で見たほど広くはないが 遊具やベンチ 花壇 池など そっくりだった
ただ 丘の横にはログハウスはなかった
「それにしても そっくりだな・・・・・・」
そう呟きながら 公園に足を踏み入れると
「やぁ こんにちは」
と 若い背の高い男の妖精に後ろから 声をかけられた
その妖精は 浅黒くてきりっとした男らしい顔立ちだった
「やぁ・・・」
本当に同業者が多いんだなと感心していると
「新人さん? 見ない顔だね」
と 喋りかけてきた
「あぁ 昨日来たばかりなんだ あなたは ここには 長いのか?」
「もう10年くらいになるかな この辺りは入れ替わりも多いんだけど
僕は 長いほうだよ」
と 少し自慢げにそう答えた
「ここに 以前丘の近くにログハウスがあったか知ってるかい?」
モパは気になっていたことを質問してみた
丘のある方向を見ながら 若い妖精は
「5年ほど前にあったけど 危険だからって取り壊されたよ どうして知ってるんだ?」
不思議そうにそう聞いてきたが
「そう感じたから」とだけ 答えた
また何かを喋りかようと 若い妖精が口を開いたとき
「モパ!」
と 嬉しそうにミクがやってきた
長い髪が揺れて 光を反射してきれいな顔立ちのせいもあるが 可愛らしい可憐な姿だった
若い妖精は ぱっと顔を赤くして ミクを見つめている
どうやら ミクが好きらしい 分かりやすい奴だな・・・・と思っていると
そんなことはお構いなしに ミクがモパの手を取る
「体に異変はない? 平気なの??」と 若い妖精には目もくれず 顔を覗き込む
ミクが手を握ってることにびっくりしている彼を 横目で見ながら
「平気だ 何も変わらない」と ミクの手をそっと離す
こんなことで 早々にいざこざを起こしたくなかったモパだった
「そう やはりモパには強い力があるのね
・・・・・・・センバティとは 今知り合ったの?
センバティは 見た目は若いんだけど ここに長いから困ったことがあったら 助けてくれるわ ね?」
大きな瞳で見つめられた 若い妖精は
嬉しそうな表情を浮かべ
「あぁ! 力になるよ」と ミクに笑顔を向けていた
初々しいセンバティの様子に モパは挨拶をして早々にその場を離れようとしたが
ミクにいいところを見せたいセンバティは
「モパの歓迎会をしよう! 近所の妖精を集めて 今夜はどうかな?
・・・・・都合悪い?・・・・そうか じゃあ、 明後日にでも! わたしからみんなに声を掛けておくよ」
と またもや 張り切ってるセンバティに ミクも大はしゃぎで
二人で どんどん歓迎会の準備を進められていた
同業者にも こんな歓迎されるなんて 初めてだな・・・・・・・・
ふつうは 妖精同志はもちろん 人間ともほとんど交流をもたないので
こう濃厚にかかわってくる ユイやミク達に戸惑うモパだった
そして またもや 断る機会を失ったモパは 暖かく歓迎されることになった




