カエレナイ
玄関でチャイムが鳴り 迎えに行くと ユイの胸に勢いよく飛び込んできた小さな男の子と
後ろで その姿を笑いながら見てるおばさんがいた
「ママ!ママ!」
かわいいらしい顔立ちの男の子は ユイにぴったりくっついて離れない
この子が 息子か・・・ かわいいなぁ ちょっと離れてモパはその様子を見ていた
顔立ちからして ユイに似てるようで 女の子のように可愛い男の子だった
「やっぱり ママね~ 今まではご機嫌だったんだけど
急に恋しくなったみたね。 春くん。」おばさんは 覗きこみながら言った
ユイは 子供を抱きしめながら 大事そうに見つめている
おばさんは「いい子にしてたのよー ぐずったりしなくて いっぱい遊んでたのよね
夕飯も食べていければ もっと嬉しかったんだけど、ごめんね。
短い時間だったけど ママは気分転換できたかしら?」
春くんとやらを なでなでしながら ユイに話しかけると
「えぇ、久しぶりにいい気分転換になりました 御母さんいつもありがとう。
春も おばぁちゃんに ありがとうは?」
春は 振り返り「アリガト」と答えた
孫がかわいくて仕方ないおばぁちゃんは それを聞いて満面の笑みを浮かべた
「また いつでも誘ってね おばあちゃん 春くんとまた遊びたいから。
じゃあ、夕飯の支度があるから またね」
そういって いそいそとおばあちゃんは 帰って行った
いい気分転換にはなったのかどうか・・・・モパは ユイの少しの時間のゆとりが
まさか妖精と同居することになるなんて 誰も思ってないだろうなと思うと おかしくなってきた
ユイは子供を抱きかかえながら リビングに向かった
子供は リビングで飛び降りておもちゃを広げ 遊びだした
「いくつなんだ?春は?」
子供に興味はないが 可愛らしい姿に 思わず微笑んでいた
「2歳と1カ月よ かわいいでしょう? 言葉はまだいっぱいしゃべれないけどね」
ユイは そう答えると 忙しそうに台所へ向かっていった
「ところで モパは 食事取らないの? 遠慮せずに言って」
夕飯の支度をするらしく モパはその言葉に
「自分の部屋に用意されてるから 大丈夫だ 人とは食べるものも違うんだ」
と答えた
その世界のものの食べのものをとると ずっとその世界に住まなくてはいけない
モパは人間界に住み続ける気はないので 「食べる」ことはタブーとしていた
「ん」
急にモパの目の前に お菓子がつきだされた
春が 自分のおやつを モパに渡そうとしたので
「・・・・・・・・・わたしが見えるのか?」
驚いて 春にそう尋ねると
「ん」と言って 顔の位置までお菓子が迫っていた
モパは 驚きながら受け取ると
春は 満足そうにして 言葉にならない言葉で ぺちゃくちゃ喋りだした
その言葉は ときどき 聞きなれた言葉に聞こえた
トラワレル 二人 カエル道ヲ ミツケラレナイ
妖精の言葉だった
モパは鳥肌が立った
春から目が離せなくなり 時が止まったかのように見ていたが
春は 構わずおもちゃで遊び出し もう モパに構う事はなった
「モパ どうしたの? 怖い表情して」
ユイが心配そうに 聞いてくる
「ユイ この子は 私が見えるようだ。 」妖精の言葉を喋ったことは 言わなかった
「あら 小さい子って よく不思議なものが見えるっていうじゃない 春もそうなのよ。
そんなに 意外?」
あっけらかんとして答えるので
「ユイ もっと驚くことだと思うよ ・・・・・ この狭いエリアで2人の人にわたしを
見つけられるこのは初めてだ とても珍しいことなんだよ」
この親子には 強いパワーがあるのかもしれない
とくに 春は ・・・・・・・・・・・・一瞬だが恐怖を感じていた
ユイにあやされて 春は楽しそうに笑い声をあげて笑っている
とても 無垢で 大きな力があるようには見えないのだが
モパは さっきの言葉を頭の中で繰り返していた
「カエル道ヲ ミツケラレナイ」・・・・・か 確かにな
いつもの人のいい顔でなく 真剣な表情のモパだった




