尻に敷かれるモパ
ミクは モパを見ながら腕を組んで訊ねる
「それって 考えていた作戦? それとも 希望? 実現できることなの?」
ちょっと 怒ってる風にも見えた
「実現可能な 作戦だよ・・・・」
モパは答える
モパの回答に 即座にミクが返す
「あなた そんなこと考えてたなんて 一言も云わなかったじゃない!?
それって 私達を仲間って認識してなかったってこと?」
明らかに 怒っているミクを宥めるのはいない
どんなにモパが底の見えないパワーの持ち主でも ミクは関係ないみたいだ
モパは ちょっと 驚いて 素直に謝っているし
リュウは センバティの左肩に顎を乗せて 傍観しながら
「まるで 尻に敷かれてる旦那だね・・・・・」とつぶやく
センバティも 思わず頷くが
「違う! 」と すかさず否定
「お似合いの2人だね すでに 出来てるんじゃない?」
相変わらず からかうようなリュウの発言に 今度は青ざめる
「・・・・まさか・・・・!」
2人を 凝視するが 確かに 尻に敷かれてるようにしか見えない
さっきの 悪魔風の底の知れない男に見えたモパは 酔っぱらって帰ってきた若い夫とダブった
小さな声だったが ミクには聞こえていたようで
「そこ! 無駄口聞かないの!」と 注意する
ミクは 全くモパのことを知っていなかったこと 彼に信用されていなかったことが
悔しくて しょうがなった
老婆は ポツリと
「可愛さ余って・・・・てやつかな・・・・」とつぶやく
ミクにそれも聞こえていて ギロっと睨まれ それ以降は 口をつぐんだ
ミクは 怒ってる表情のまま モパを 見つめる
モパは 怒ってるミクって一層きれいだなっと これも聞かれていたら 怒られそうなことを考えてた
「他には・・・・・・ 何か 考えてることは?」
少し 怒りのトーンを押さえて聞く
ちょっと自分でも 冷静にならなきゃいけないと 整理をつけたようだ
それでも ミクの迫力に押されながら モパはゆっくりと口を開く
「これは まだ 未確認だけど・・・・思いついたことがある」
みんなが 興味深そうに耳を傾ける
「サトミって人間の足どめも 必要かと思うんだ
彼女が騒げば 他の妖精にも伝わる危険性もある・・・・・
そこで もうひとりのサトミを名乗って おびき出そうかと思うんだ」
モパがそう言うと
みんな 驚きを隠せなかった
「そんなこと出来るのか?」
「いじめられてたほうの サトミねぇ・・・・
消息は 掴めるのか? それに 見つけたとしても こちらから 接触出来るのか?」
即座に みんな 意見を交換し合う
モパは
「時間も限られてるし この作戦に 本物のサトミが協力できる人かも分からない・・・
代理を 立てようと思うんだ
それで 今一緒に住んでる ユイに頼もうと思うんだが どうかな?」
この近所で 春の御蔭で有名になってる ユイの穏やかな顔がみんなの脳裏に浮かんだ
「ユイさんに・・・・・・?
無理ないか・・・・・ 一番 ミッションに不向きな人だぜ・・・・・」
良く知ってる センバティが 最初に口を開く
モパも 同じく ユイを思い浮かべて ちょっと 考えてる風だった
「・・・・そうだけど 彼女しかいないんだ・・・・・」
これには 自信のなさそうな モパだった
会議は それから 老婆が 今いるアジトを引き上げるまで
何度か リュウ とツフュール センバティが 訪問することにした
荷物運びとご機嫌伺いという 名目で
訪問には あらかじめ ノベルトに了解を得る必要があるが
老婆はそれなりの権力と信用があるため そこは問題ないだろう
それに紛れて モパが潜入する・・・・・・・・
ミクは この土地を守るので待機することとなった
ユイには サトミを名乗って手伝ってもらうようにモパに託した
(まだ 未許可だが)
待機のミクは 面白くなさそうな顔だが 仕方ないと 自分でも納得した
リュウは 嬉しそうに作戦を楽しんでる
そんな リュウを横目に ツフュールが
「楽しそうだな・・・・・しかし パワーは無限じゃないんだ
実行まで時間もあることだし 一時 気を 解放するぞ」
大きな左手を リュウに向けて広げると
ゆっくりと リュウの姿が 年老いていく
寄り添っていたセンバティとの身長差が歴然になって まるで 大木にはりつく コアラ状態だ
「あぁ・・・・せっかく 調子よく楽しんでたのに・・・・」
心底残念そうに リュウがつぶやく
その変貌と 発言にセンバティが
「楽しんじゃ ダメだろう??」と言うと
見上げたまま 細い糸目で
「若い私はどうだった? 言い寄られて悪気はしなかっただろう?」
と 聞いてくる
センバティは 眉をひそめて
「スタイルの良いオカマに言い寄られてる気分だったよ」
と疲れたように言うと
これには リュウも
「あんた ひどいこと言うね!」と怒っていた
みんなが それに 声をあげて笑っている
作戦実行まで2週間 いよいよ 救出に向けて 動き出したモパ達だった




