喰えない奴
ツフュールが 突然 大きな咳払いをした
思わず リュウの変動にすっかり気を取られていたが それで我に帰る
ゆっくりと喋り出すと みんなが耳を傾けた
「ここで 我々は リラを救い出す仲間として行動する
お互い 手の内を明かさないか?
持っている情報は すべて 共通のものとしよう」
この提案に その場に居たものは 真剣な表情へもどる
まず・・・・ツフュールが続ける
「リラは 10数年前に この土地でサトミという人間に出会った
いじめられていた子供が火を放ち その火事を食い止めるために すべてのパワーを出し切った
そこで 記憶をうしなっていた
ほとぼりが冷めるころは そのサトミが リラを離さなくなっていて
居なくなったリラを探すために モパはずっと情報を集めていた・・・・・だな?」
モパに向かっての最後は同意を求める
モパは 黙ってうなずく
「リラが回復したのは そのサトミのパワーを長く補給していたからだ
しかし 記憶が回復し リラが離れようとすると サトミは発狂したように暴れ リストカットをするらしい」
老婆は
「本気じゃないんだよ 甘えてるだけじゃないか?」
と 言う
「そうかもしれないけど 一応 命を助けてくれた者への 情っていうか・・・・・
長い間一緒に居たし サトミには もう 家族も愛想をつかしていて リラしか話す人も
いないそうだ」
と モパが付け加える
リュウは まだ センバティの隣にピッタリ座ってるが じっと話を聞いていた
ミクは ちょっと 間をおいて リュウと老婆を見る
2人は 軽く 眉をあげどうぞ と言わんばかりに 目を伏せる
「それと これは 最近聞いた話だけど
火事のあった時は ツフュールと私が この土地を開けていた時のことだったらしいの
その時 留守を任されたそこに居る2人からの話だけど・・・・
リラが火事をとめてた時 再びその場に迎えに現れた人間は いじめていた方の子だったらしいの・・・・」
モパは 難しい表情になる
「サトミって女の子が2人いて 今一緒に居るサトミは いじめられた方を名乗ってるそうよ・・・」
頭を押さえたモパだったが
「・・・・・・その時の記憶が飛んでるのは そのサトミってこの意思が強いんだろうな・・・・
いじめてた方だと知ったら リラがいなくなってしまうんじゃないかと思ってるんだろう・・・」
意外な真実に サトミのリラに対する執着の強さを知った
ミクは
「このこと リラにも伝えてくれる?ショックを受けるだろうけど
知っておく必要があると思うの」
と 頼んだ
老婆は 手を軽くあげ
「彼女の力は ほぼ 元通りだ
今までのような頻回な交信は危険だよ
この間も そのサトミって子に 何かしら 気付かれてる様子だったし・・・・
ノベルト達も 油断は 禁物だから 慎重にしてほしいね」
と 付け加える
モパは 「そうか・・・・」と答える
老婆は モパを ずっと見つめたまま
「あんた・・・・・ ピアスを起爆させるっていってたけど あながち冗談でもないんだろう?
当然のことだろうけど・・・・私達に怒りを持ってるんだろうね・・・」
と伺うような目つきで 聞いた
モパは フッと失笑すると
「当然だろう?」
と 言った
「コソコソ 助け出して 終わりじゃ 気が済まない・・・
けれど あなたが その場所を去った後で やるつもりだった」
さらりと モパが答えた
センバティはその発言に 驚く
人のよさそうな モパがそんな大胆なことを考えてたなんて思ってもみなかった
「一人で 立ち向かうには 無鉄砲で馬鹿だからね・・・・・
まぁ 何かしら 報復をしようと思っている」
と 今度は 全員に告げた
センバティ以外は驚いた様子はなかった
「それで どうするんだ?」
ツフュールは手の内を明かせと モパに詰め寄る
しばらく 沈黙が続いた
「・・・・・・・
リラから得た パワーを貯めている 倉庫みたいなところがあるはずだ・・・・」
老婆は 黙って 頷く
「良質のパワーを そう簡単に使わないと 思っていたよ
それも かなりの貯蓄だと考えている
そこを開放して わたしが そのパワーを回収する
莫大な力だと思う・・・・失敗すれば わたしが消えてなくなるほどの・・・・
しかし それを自由に扱えたら・・・・・
再びこの土地に パワーを変換し ここを拠点として復活出来るんじゃないかと考えてる・・・」
途方もない 話に 全員 目を丸くした
そんなことが 可能なのか?
モパには そんな力が あるのか?
だれもがそう思ったが 若く 美しいモパは 底の見えない存在だ
敵には 回したくないと・・・誰もが思った
かすかに ほほ笑んでるモパは 今までと違って 妖精と言うより悪魔と言った方がしっくりくる
不敵な笑顔を浮かべていた




