女同士
「やはり 火事の一軒前後は 記憶が飛んでいるそうだ」
翌日も モパはミクに 昨夜のリラとの話し合いのことを伝えた
リーダーであり 友人である彼女に やはり 正確な情報を伝えると言うのは
当然だと思ったからだ
しかし 記憶のないことについては もう それ以上どうしていいのか見当もつかなかった
決して 我々を欺こうとしているのではないと ミクにも 分かってもらいたかった
モパはそこで 自分なりに考えた 提案を伝えようと決めたのだ
「それから・・・・・・・・・
今度 彼女と直接話してみないか?」
意外な提案にちょっとミクは驚いた
けれど そのほうがしっくりくると即座に判断した彼女は
「ええ。そうしたいわ」と 答えた
直接 会えば このモヤモヤの意図も 何か掴めるかもしれない
いつもの キリっとした 美しい横顔で 姿勢よく佇む姿に モパも思わず見とれる
いつ見ても 隙のない美しさで 強さを秘めているミク
おっとりとしたリラとは 対照的な美しい2人
気が合うとは 思えないが・・・・・・・
お互いの存在を確認するにも 直接会った方が良いと モパも考えてのことだった
2日後 リラに あらかじめ告げていたように 今夜は モパからではなく
ミクが ピアスから 話しかける・・・・・・・・・・・・・・・
当日 モパが大事そうに ピアスを渡しに来たのだ
同じく リラも人目につかないところで ピアスを片手に 空を眺めていた
そして ゆっくりと2人 同時に 目を伏せ語りかけてみる・・・・・・・・・・・・
目を閉じると ハッキリと お互いの姿を認識出来た
2人は同じような 背格好だが リラは おとぎ話から出てきたような
まるで 空想の世界から抜け出たように 無垢で 美しい様子だった
とても ハーフとは思えない 正真正銘の「妖精」のイメージだった
初めて見た その美しさに ミクも言葉を失う
これが モパの愛する人か・・・・・・・・・
自分とは かけ離れた種類の美しさを持っていると 否応なしに 見せつけられた
だからと言って 「結婚」という 人間のようにゴールはないため
ミクとしては 実は 引く気は全くないのだった
リラは 妖艶な毅然とした リラの姿をみて 思わず ため息が出た
美しいだけじゃなくて自分の意思をはっきり誇示できる強さと勇気があるのが 一目でわかる
自分には ないものを持っている人だと 感じとっていた
ゆっくり 口を開いたのは リラだった
お互い 軽い会釈をすると にっこり 笑いかけたのだった
「こんばんわ ようこそ・・・・・」
「初めまして ミクよ」
見た目通り おっとりしているリラと ハキハキしているミクだったが
昔からの友人のように 2人はすぐ打ち解けた
リラはかなり エネルギーを蓄えてきたようで 明るさも取り戻していた
そして その力は モパから ほとんど得たものだということも 知っていた
この莫大なエネルギーをためこんでいたモパにも 驚いた
・・・・・・・飽きれるくらい 底の見えない人ね・・・・・・・
なおかつ それを見せないように出来る力を リラも持ち合わせているのだ
2人が本気を出せば 大抵の集団も太刀打ちできないだろう
しかし ちょっと頼りないモパと優しそうで虫も殺せないようなリラを見てると安心は出来ない
2人の馴れ初めなんて 聞いてる場合じゃないミクは
単刀直入に 記憶を失った前後を 出来るだけ詳しく聞いた
そのころは ミクも同じエリアに居たハズなのに 火事を防げる膨大な力に
気付かなかったのは おかしいと・・・・・・・
しれから そのころのリーダーのツフュール達と 老婆はきっとこの一件に何か
関係があると 確信を持っていたのだ
「あなたを助け出すと言った 老婆のことはどう思う?
前から 交流があったの?」
ミクの問いに リラは 首を振り
「なんだか 油断できない雰囲気の人で 気にはしていたけど
お互い 何も今まで交流はなかったわ
突然 話しかけてきたの。
でも 私には あの人に頼るしか 方法が見つからなかったから・・・・・」
「なんで 助ける気になったのかしら? ガラじゃないのにね」
老婆を思い浮かべ ハッキリ嫌いだと認識してるミクは 形のいい眉をひそめた
大体 あの人が絡んでること自体 気がのらないのよねとも 思っていた
「あの人は 死期が近いから
ここを出る前に この集団の負のサークルを止めたいって言ってたわ」
どちらかが 死ぬまで続く 力の奪い合いの触媒となってるリラは そう言った
「・・・・・理由が あの人らしくないのよね・・・・死期が近いから?だけでは納得出来ないな・・・・
でも 本人は 本当のこと言わないだろうし・・・」
ミクはますます難しい顔になる
やはり 直接 本人に聞くしか 何かは感じとれないだろうと思った
「一緒に居る 人間とは 別れられるの?」
一番聞いてみたかったことを 質問した
「10年近く一緒に居て 離れなれなかった人間と 決別出来る勇気はあるの?」
もう一度 訊ねる
リラは 目を大きく開いたが
「出来るわ それが彼女のためだし」
と ミクをまっすぐ見つめ言い返した
「あなたが離れようとすると 手首を切るそうだけど・・・・・」
「きっと 本気じゃないのよ 」
「あなたをつなぎとめるためでしょうね でも もう それもおしまいにしないとね」
ミクがそう言うと
リラは 可愛らしい笑顔を向ける
思わず抱きしめたくなるような 可愛い笑顔に 釘づけになってしまった
・・・・・・・モパが惚れるのも分かるわ・・・・・・・・
悔しいが そう心底思った
その時 リラのいる部屋の鍵が ガチャガチャと動いた
思わず 2人は 交信を止め ドアの方を見る
暗くて分からないが 誰かが ドアを開けようとしているようだ
急に 緊張が走り 鼓動がドンドン大きくなっていく
鍵がかかっているので 開かないので ますます ドアを開けようとする音も大きくなる
リラは 瞬間的に 移動し 隣の部屋から そっと 廊下を見る
ある患者が ドアを叩きだしていた
夜中に ドアを叩く音はひびきわたり すぐ 職員が駆けつける
「どうしたの?」
「私の 服が 盗まれる! 誰かが ここにいたんだ!」
職員にそう訴えるが鍵を開けて 中を確かめ
誰もいないことと 自分の服が取られていないことを知ると
ようやく納得する
「ね 誰もいないじゃない 夢でも見たの?」
職員に軽くあしらわれたが 患者は 特に気にず 自分の衣類を持って 部屋へ戻っていった
ただ その騒ぎで 患者何人かは目を覚ましてしまったようだ
リラがいないことに気付いた サトミも その中にいた




