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半端者  作者: ランプ
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片方のピアス

話を聞き終えると センバティは沸々と怒りが湧いてきた

大勢で命尽きるまで何年も押さえこんでいるということに 他人事ながら正義感の強い彼は

聞いてるだけで 我慢ならなかった


「なんてひどい話なんだ」


そして 今さらながらにその事を相談に来た老婆にも大きな不信感が募った


「モパはずっと 彼女の行方を捜しているんだ

貯め込んだエネルギーもそのために使っている 

モパに早く教えてやらないと・・・・・・・・・」

この残酷な話をモパに伝えるのは気が引けるが 悠長なことは言っていられない状況だ


「そう 事は急いだ方がいい

でも 無謀に正面から立ち向かうなんてことは やめなさいね」

老婆は センバティの様子を見て 忠告した


「彼女は彼らにとって 宝なんだよ

それを奪うんだから 戦いは避けられないだろう?」


「何言ってるんだ! 彼女は物じゃないぞ」


「そうだね でも 彼女の意思が強かったら こんなに長引かなかっただろうね

一緒に居る 若い人間から 離れようとしなかったのも 原因のひとつさ」


「離れようとしない?」


「本来の力は とても強いものだよ 本気になれば 脱出も可能だったろうに」


意地の悪そうな顔で老婆は笑う


責任はわたしにはありませんと言ってるように聞こえた


「どうして 今頃 彼女を助けようと思ったんだ?」


この問いに リュウも頷き 老婆の返事を待っている


軽く笑うと リュウをチラリと見て

「私の死期が近いんだ そんなに長くはない

近頃 仲間が必死でやってることが なんだか急に馬鹿らしくて

協力する気になれなくなったんだ」


何年も協力しておいて 今さらの発言だった


リュウは 目を丸くさせて

「ついに そんな時が来たかい?

あんたらしくない判断だけど 気持ちはわかるね  どんどん性格も丸くなってきて

別人のようだ」


「あはは! そうかい?  あんたも時期分かるよ」

老婆は 顔をくしゃくしゃにして笑ったが 急に真顔になる


「でもね 面倒はごめんだよ

なるべく穏便に悟られないように したいんだ

だから ツフュールの意見を聞きたかったんだけど リーダーが変わったそうじゃない?」

責任は負わないという発言にムッとしたが 老婆らしい考えだと思った


「今はミクがリーダーだ 知ってるだろう?」


「あぁ 弟子のきれいなあの子だね  でも 私は彼女が苦手でね 向こうも嫌ってるんだ

だから リュウに相談してたんだよ


あんた この話 モパって人に伝えてくれる?

彼に会いたいわ それで どうするか決めようじゃないか?」


「この話をしたら モパは何が何でも 彼女を救うぜ」


「そうでなきゃ 困る」


「だったら あんたも覚悟きめて 協力するんだな」


「それは モパって人の力量次第だね

再三言っておくけど 面倒はごめんだからね」


この発言に 怒りで立ち上がったセンバティだったが リュウに宥められる


「あんたの気持はわかるけど 助けたいなら この人に頼るしかないんだ 

とりあえず モパに話してごらんよ」

肩に手をぽんっと置かれて センバティも 怒りを堪える


「それから ミクとツフュールにも話を通した方がいいね

私から伝えるから あんたは モパを頼んだよ」


リュウの言葉に頷いたセンバティは 老婆と一緒にモパのもとへと向かった








しばらくして突然 見知らぬ老婆と 友人のセンバティが浮かない顔で訪れた


そして ずっと探していた リラの状況を知る


話を聞き終えると髪を片手で くしゃっと掴んで たまらなくなったモパは 黙ってしまった

彼女を探し出すことが出来なかった自分をひどく責めていた


そんな様子を センバティも口びるをギュッと噛んで見ているしかなかった


ようやく見つかった彼女の情報が こんな悲報になるとは・・・・・


しばらくたって モパは老婆の前に立つ

「あなたの意向に沿って 彼女を救出する

だから協力してくれ」

と 静かに言った


モパをずっと見ていた老婆は ゆっくりと口を開く

「あんたになら 出来そうだ

分かった 協力するよ」

リラのことを聞いて この落ち着いた賢明な決断に 老婆も感心した


「私が あの場所を去るのは1ヶ月後だ

それまでに 出来るかい?」

試すような 口ぶりだが


モパは 怒りを秘めて

「必ず 救い出す」

と言いきった


そして モパは 右の手のひらを差し出し ピアスを片方取りだす

青い 深い海のような 神秘的な色だった 小ぶりで 石の周りは ゴールドで飾られてる


老婆は それを見て ほほ笑む

「きれいだね」


「これを 彼女に渡せるか?」


ピアスを受け取ると

「やってみるさ これは・・・・・・?」


「私と彼女の通信手段だ

渡せば わたしのことだとすぐ分かるはずだ」

長いまつげを伏せて モパは答える


「それで どうするのさ? これから」


「あなたに迷惑はかけない ただ これを渡して 彼女と接触してほしい」

じっと 老婆をまっすぐ見る


わかったよと 老婆はピアスを しまう


「それから なるべく彼女にパワーを蓄える機会を増やして欲しい

出来るか?」


老婆は ほほ笑みながら頷く

「ほどほどにならね」


老婆は 救出に協力するということで とりあえず今日は 帰ることにした

何か異変があったら その都度 老婆とも連絡が取れるよう 細かく打ち合わせる


帰り道 老婆は 片方のピアスを 取り出し 空に向けてすかすように眺める


「ふふ 通信手段ね」

美しい細工のピアスの使い道を 老婆は知っていた


モパの言うとおり 通信手段としての機能はある

そして パワーを送ることも出来るのだ

限られた者にしかできない 高度な技が必要なので ピアスを実物化して使用するものは

今はほとんどない


モパを見た限りでは 並みの力の持ち主でなはい

パワーを送ることも 十分可能だろう

だが 彼女を救うためには とてつもない莫大なエネルギーが必要だ


「どうするつもりなんだろうねぇ   一筋縄ではいかない 良い男だったけど」

おかしそうに 笑いながら ピアスをしまう


「なんだかワクワクしてきたよ 長生きすると良いことあるもんだ」

死期を待つ者とは思えないほど 軽い足取りで 姫のいる 住処へと戻って行った

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