愛しい声
小さな青いピアスを受け取ると それを 大事そうに両手で抱え
肩を震わせて 大きな瞳から 涙を流していた
こんなに感情を露わにする姿を初めてみた 老婆だった
お人形みたいな子だと思っていたけど やはり 感情があるんだなと 真剣に感心する
そのピアスがモパからの物だということを 即座に感じとったリラは
強くピアスを握りしめ 愛しい人の名前を口に出す
「モパに会ったのね」
涙は止まらない
「あぁ 良い男だったよ
あんたをずっと探していたそうだ それで あんたを守りたいと言ってたよ」
言わなくても分かっているだろうけど という言葉を飲み込んでそう伝えると
リラから大粒の涙があふれ出し 止まらなくなった
「そんなに会いたいなら いままでなんで連絡取らなかったのさ
あんまり 泣くんじゃないよ 他の者に怪しまれるだろう」
小さな子を宥めるように 小声で リラに語りかける
しばらくは 涙が止まらなかったが
老婆の言葉を聞いて 平静を取り戻すように 深呼吸をした
「彼に今さら 迷惑をかけれないと思って・・・・
いなくなったのは 私の意思だったから」
と かすかな声でそう言った
「もう そんな悠長なこと言ってらんないよ
モパは あんたを救うためなら 危険を顧みない様子だった
あんたも 会いたいなら シャキッと 覚悟を決めるんだね」
それから 老婆は 結界を解く時間を増やして 中庭でパワーを得るよう促した
細かいことは モパから 連絡を受けて 実行することなる
陰で 手を貸しているのがバレないよう 事を勧めると リラに説明した
その夜 みんなが寝静まった頃
リラは ピアスを握りしめ 愛しい人の名前を念じる
かすかに 青いピアスが明るい色に変わると ずっと聞きたかった
心地の良い 優しい声が聞こえる
「リラ 平気か?」
懐かしい声に 涙が自然にあふれてくる
「モパ・・・・・・・ごめんなさい」
涙に交じった 声で答えると
更に優しい声で モパは話す
「ずっと探していたんだ 今まで 探し出せずにすまなかった」
優しいモパの声に 何年も会っていないが 変わらず昔の面影を鮮明に思い出して
いますぐ 会いたくて会いたくて 強くピアスを握ってる手を抱え込むように抱きしめていた
「あなたに もう会えないかと思っていた
声を聞いたら 会いたくて仕方ないわ」
リラの正直な言葉に モパも リラへの気持ちが高まった
「今すぐにでも 救い出したいが 準備が必要だ
必ず助けるから 気をしっかり持つんだ
それまで リラはパワーを少しでも蓄えておくんだよ」
リラは 黙って頷く
姿は見えないが お互いの様子が手に取るように分かった
「リラ・・・・・愛してる」
この言葉を最後に ピアスの光は また光り 通信が消えた
それから 数分後 姿の見えないリラを探しに 若い女がやってきた
「リラ?」
涙はもうぬぐい去っていたリラだったが
嬉しいような 悲しいような表情で 振り返る
なんだか 暖かい光に包まれているようで 幸せそうに見えた
「眠れないの? ここは寒いから 部屋に戻ろう」
女は この時 少しリラの様子が変だと思ったが 周りを見回すと 変わった様子もなかったので
特に気にせず彼女と一緒に病室へ戻って行った




