あの人は 今
「で、 結局あれからずっとモパの所にいるのね。
ずいぶんパワーは蓄えたんじゃない? なんだか逞しくなったように思うわ。」
長い髪を揺らして お隣の垣根でミクとおしゃべりを楽しいんでいた
相変わらず 美しい愛しのミクを横目に
やっぱり 近くにいるっていいなぁと しみじみ幸せを感じるセンバティだった
「まだ パワー補給に余裕もあるし 住み心地もいいから
もうすこしだけ ここに居ようと思う」
家を振り返って そう言う
「ふーん 楽しそうねセンバティ。」
穏やかな表情を見ていたら 春のことで心配していたことも もう何の障害もないことに
気付く
「あ! 今から 買い物に付き合うんだ・・・・
じゃあ、ミク またあとで!」
バタバタと玄関へ向かう 家族の姿を見て 慌ててセンバティも後を追う
モパは ゆっくり家族と一緒に歩きだしていた
後から追い付いた センバティに気付くと
「ゆっくり 話ししていてもよかったのに」
と 言った
「あぁ、でも また会えるチャンス多いから いいんだ」
と ニコッと笑いながら 満足そうに答えた
今日は 新年の買い出し・・・・・・・・・ もとい ユイの目当ての福袋を買いに出かける
旦那さんは おもに 春のお守だが なんとなく心配なので2人もついていくことにした
おっとりしているユイが 福袋に群がる集団に交じって 戦利品を抱えてるのを見て
かなりの衝撃を受けたものの 母親の力なんだろうな・・・・・と
思わずにはいられなかった
春の 洋服の福袋を2つも買って ユイはご機嫌だ
昼食をとって ちょっと一階で一休みしていると アイスクリーム屋が目に入った
暖房が強めの館内は 結構アイスを買いに並んでる人が多い
ユイ達も 早速アイスを買いに並んでいる
ちょっと離れてその様子を見ながら モパ達だったが
すごい手招きで ユイがこちらを呼んでるのが見えた
なんだろう? そう思いながら 2人は 近づくと ゆかりがアイス屋の店員になって働いていたのだ
エクステはすっきりと束ねてあるが 相変わらず化粧は濃かった
長い爪で ぎこちなく注文を受けて アイスを手渡している
小声で ユイが「あの子よね? やっぱり間違いないよね・・・・・
ここで働いてるってことは・・・・・・・・」
ちょっと 悲しそうな表情でそう言うと
「試験ダメだったのか」
モパも ちょっと残念そうに言った
「あ! モパのモトカノか? 試験ってなんだ?」
状況が分かってないセンバティは まだ勘違いしたままだった
不思議そうに ユイ達と ゆかりを見比べている
順番待ちしていると 前に並んでいるゆかりと同じような世代の女の子3人が
手を振りながら 一斉に ゆかりに話しかけた
どうやら クラスメートらしい
「似合ってるよ~ もう慣れた?」
「私も 追試なかったら 一緒にアルバイトしたかったなー」
「ゆかりは いいなぁ アイスおまけしてよー」
ゆかりは 営業スマイルで
「私に そんな権限ないのよー まだ 慣れてないしね!
さ! 注文してね 他にも待ってる人いるから」
「数学の新任泣いてたよー ゆかりが模試突破して
しかも 赤点なし! 頑張って勉強付き合ってくれた甲斐があったよね!」
「カンニングも疑われたけど ゆかり 私たちの中で断トツ1位だったもんね」
彼女たちのおしゃべりは止まらない
後ろに並んでいるおばさんが 迷惑そうな顔をしてるのに ようやく気付くと
また 手を降りながら アイスを買って 去って行った
この会話を聞いた限りでは ゆかりは 模試に通ったようだ
高校を辞めなくてはいけないと泣いていた時とは打って変わって
明るく とても楽しそうだった
ユイと 旦那さんとモパは顔を合わせて こっそり ほほ笑んでいた
他人事だったが 気になっていた相手が 無事 上手く事を成して
ほっとした
幸先良い 新年が始まったように思えた




