噂の彼女
ここ2週間くらい モパやミクとあれっきり 連絡をとっていない
モパのことがなんだか気になる センバティは 意を決して
また 小高い丘の上の ツフュールのアジトへやってきた
ミクは それ以上何も聞こうとしなかったが 中途半端に情報を得て
センバティは モヤモヤしていたのだ
「モパの大事な人」 どんな人なんだろう?
半分以上は 興味本位なので そんな理由で このことを聞いてもいいものか
ツフュールも答えてくれるのかどうかと
また 悩んで 入り口でウロウロしていた
あいにく ツフュールは不在だったようで 仕方なく 帰ろうとした時
「あら? こんなところで珍しいわね」
と 古株の仲間に会った
リュウと飛ばれていた この妖精は 中年くらいの風貌で
髪を きっちり まとめてあげているのが特徴的な 世話好きなおばさんだった
体も丸みを帯びている小太りだった 赤い紅玉色のピアスをプラプラさせて
センバティを手招きしている
「どう? ミクとは 進展あったかい?」
からかうように 小声でそう言われて センバティは耳まで真っ赤になった
「な・・・・・! ないよ!」
と慌てるセンバティを横目に
「そうだろうねぇ」
と 楽しそうに笑っている
うわさ好きでもあるので ちょっとやっかいな人だが悪意はないので
みんなから慕われている
センバティもよく ミクのことでからかわれているのだ
何度言っても センバティのこの新鮮な反応はリュウには いい暇つぶしだ
「なんで いつまで ぼーっと待ってるんだろうね この子は・・・・
私達には 結婚とかないんだし 好きなら好き! 嫌いなら嫌いで 相手にぽーんと
いっちゃえばいいのに」
と 言うので
「そんな単純なものじゃないんだ 」
と リュウに この思いを詳しく説明しようと思ったが
相手が違うし なんだか馬鹿にされそうなので 言えなかった
「そう? じゃあ ライバルに先手越されちゃった?」
「ライバルって 誰!!??」
目を見開いて 小柄なリュウに詰め寄っていた
「落ち着きなさいよ! 冗談よ・・・・・・・
でもさぁ ミクは モパのこと かなりお気に入りみたいじゃない
ピンチじゃないの~ お隣同士だし いつでもあえるしさぁ」
うわさ好きだけあって 観察力はすごかった
ミクがセンバティを相手にしていないことも分かっていたが
リュウはセンバティがかわいいので たまに役にたつ情報をこっそり教えてくれたりしてたのだ
「モパは そんな気がないみたいだよ
なんていうか 現代風のギャルが好きみたいだから」
一瞬ミクとモパがくっついてしまうことを想像をして
さえぎるように そう言い切った
現代風ギャルとは 以前の同居人の女子高生のことだが 冗談でモパが言った言葉を鵜呑みにして
いるようだ
「へぇ 意外・・・・・」
リュウも それを聞いて驚いていたが 本気にはしていないようだった
「!」
突然 云いひらめきが浮かんだ
「リュウ 昔 公園にあったログハウスの事件知ってる?
そのときの 子供についてた妖精の女って どんな風??」
突然そう言われて
古い記憶を辿るように ゆっくりと思い浮かべていたが ぽんと手を打つと
「あぁ 知ってるよ
可愛いらしい永遠の女の子って感じで ふわふわしたドレスが似合う
きれいな子だったねぇ」
「えぇ!? 現代風じゃなくて?きれい系か?」
「うーん きれいな子だよ 色が白くて ピンクの血色よさそうな顔で
お菓子みたいな可愛らしさ
あんたには あんな子がいいんじゃない?」
無責任にそういうリュウだった
「けどさぁ・・・・・たしか あの時代って 悪魔が拠点を張ってた時で
あの子も 妖精ではなかったよ・・・・・
確かに 敵ではなかったねぇ 私達にはどうでもいい よそ者だったから気にしなかったけど」
と おでこにしわを寄せてそう言うと
「え? 妖精じゃないのか?・・・・・悪魔ってこと?」
リュウは首を横に振り
「ほら いわゆる悪魔と妖精のハーフってやつよ 「半端者」って言われて
どこにも属さない奴らさ」
と言った
「でも 良いとこどりって感じで 美しく力の強い物がよくいるんだよねぇ
あの子もそんな感じだね・・・・・」
小さく頷きながらリュウはそう言った
「・・・・・・・・・・・・・」
センバティは黙って 先日のツフュールの言葉を思い返していた
確かに 「妖精の類」と言っていた
妖精ではないのだ モパの大事な人は・・・・・・・・・
もしかして モパも・・・・・・・・・・・?
じゃあね~と リュウは手を振りながらとっくに立ち去っていたが
センバティは真剣な表情で その場で立ち尽くしてしまった




