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半端者  作者: ランプ
12/58

金八妖精モパ

実寸大のモパを見たのは初めてだった


服装も 雑誌に出てきそうなカジュアルな格好で 紺色の上着と黒っぽいジーンズが

細い体を強調してるかのように見えた


服の上からでも 均整のとれたバランスの良い筋肉が健康そうで 

物腰も柔らかく背も高い モデルのような風貌だ


マスカラが取れ 目の周りが真っ黒になってたゆかりと モデル風のモパは遠巻きに

いろんな人から視線を集めている


黙っているゆかりに モパは

「私がだれか わかるか?」と 声をかけた


ゆかりは その言葉にようやく反応し

「ずっと 探してたのよ! 分かるわよ・・・・どこにいたのよ!!」

と 半分怒りながら言い放った


「どこって・・・・・わたしを捨てたのはそっちだろう?」

モパがそう言うと ゆかりも何も言えなくなってしまう

確かに 捨てたのはゆかり本人だから


しかし この会話は 情けない痴話げんかにしか聞こえないので

あまり 人通りの多い所でするものではないと 察したモパは


「場所を変えないか? 人目に付きすぎるから・・・・」

と 歩きながら 近くの公園に向かった


ゆかりは モパが消えないように トレーナーの裾をずっと掴んでいる


モパには ゆかりと接触を持つメリットは何もなかったが

モパ以上にこの女子高生のことが気になって仕方がなかったユイに 

ゆかりがずっとモパを探してると 報告をうけていたのだ


毎日の日課になった報告にさすがに 仕方なく 重い腰を上げざるを得なかった

それに かなりのエネルギーを蓄えたモパは 人間サイズに変身することでエネルギーを拡散

することにしたのだ


そして あっさりゆかりを発見し 接触することにしたのだ


公園に着くと 二人はベンチに腰掛け ゆかりが口を開くのを待った


他には 遠くに犬を散歩させている人など まばらにだが見かける程度で

2人の会話に支障はなかった


ゆかりは 化粧もとれた 泣きはらした顔でモパの横顔を見上げ

「高校を辞めなきゃいけないかもしれない 進級できなくて・・・・

勉強してるけど 全然だめで・・・・・

もう 試験までちょっとしかないのに・・・・・」

と 後半はまた涙が浮かんで泣き声になっていた


だまってゆかりの話を聞いていたモパが

「学校は辞めたくないんだな」と言うと


ゆかりは 勢いよくその言葉にうなづいた


「前に 願いを叶えることができるって言ってたじゃない?

まだ 叶えてないし これで最後のお願いだから 進級出来るようにさせて!」

真剣な表情でそういうのだが モパは無表情のままだった


「仮に 願いを叶えて進級できたとして そのあとは どうするんだ?」


「どうって・・・・?  とりあえずこの危機を乗り越えれたら それでいいのよ!」


「・・・それで また次の進級会議で ひっかかるんじゃないか?」


「・・・・・・・・・・それは・・・・・・・。

じゃあ、頭を良くして!っていう願いは??」


モパは大きなため息をついて 

「他力本願じゃ またすぐ次の危機がやってくる 願いは持続しないんだ。  

その時 わたしは もう手助けは出来ない・・・・・そもそも 捨てられた身としては

あなたの願いを叶える義理もないんだが・・・・・・・・・」


その言葉を聞いて ゆかりは大きなショックを受けていた

最後の頼みの綱がせっかく現れたのに つきはなされた感じを受けた


「前にもいったが 魔法は悪の力を借りれば 簡単だ

でも それには必ず代償がいる 願いが困難であればあるほどにだ・・・・


進級のことについては 事は大げさではないけど それでも大きな問題だろ?

親切でいってるんだから 誤解しないように!  死んでも永遠に魂を持て遊ばれる人もいるんだ。


わたしは 悪の力を使いたくないし あなたとの関係も これで終わりにしたい

お互いの 利点を考えると わたしは あなたに立ち直るきっかけを与えることが一番だと思う」

言ってることが すぐ飲み込めないゆかりは


「どういうこと?」

さっぱりわかりませんという顔をしてるので


「つまり いずれまた同じような困難に会った時

もう対処できない。 あなたも 努力するべきだと言っているんだ」

と 簡潔に伝えた


「するわ! どうしたらいい??」


単細胞の脳みそのゆかりの発言に 思わずひるんだが


「進級出来ないのは どうしてだと思う?」


「・・・・・・・・・・頭が悪いから・・・・・・・」と、ばつの悪そうな顔でゆかりが答える


「みんなスタートは一緒だ 努力はしてるのか?」


「してるわよ! ここずっと勉強漬けで 頭がおかしくなっちゃいそう

少しは分かるようになってきたけど 目標までは 届きそうにないの・・・」


「少しは 分かるようになってきたんだな」

と モパは優しくほほ笑んだ


「時間はどれくらいいる?」


「え?」


「どのくらいの時間があれば 自信がつくんだ?」


「・・・・わかんないけど 2か月くらい本気で頑張れば・・・・・」


「1か月だ  長すぎても 集中力は続かないだろう」

そう言うと すくっと立ちあがったモパは空を見上げた

そして 振り向くと ゆかりを見つめ


「1か月 時間をあげることにするよ     本気で頑張れば 大丈夫だ

願いを叶えたら 私のことは忘れる・・・・もう助けはできない

あとは 自分次第だ。」

と 有無を言わさない強い眼差しだった


それでも 一度は捨てたモパからの思わぬ申し出は ゆかりにとっては

とてもありがたかった


「わかったわ モパ・・・・・」

泣いても笑っても これで最後のチャンスだが 親身になって協力してくれることが

ありがたかった

「モパ イイ人よね、イイ妖精か?・・・・とにかく金八先生みたい!」

と ゆかりは すっかり笑顔になっていた


苦笑したモパだが 約束通り 勉強に専念できる時間をゆかりに与えた

そして 最後に手を出し

「これで さようならだ」と 握手を求める


ゆかりは 長身のモパを見上げ 笑顔で 片手をだす

そして ふっと真顔になると

「そういえば モパが前に探していた人 この公園の近くにいたそうよ

モパがいなくなってから 従兄に気になって聞いちゃった

確か ログハウスで何か起きて そこが取り壊されたとかで・・・・・

詳しくは知らないけど そこに居れなくなって家族で引っ越ししたそうよ」


ゆかりから その情報を聞いて 

思わず 丘の横を見たモパは 鋭い目つきに変わっていた


ただならぬ様子に 一瞬ひるんだが

「モパ?」と声をかける


「・・・・・・そうか ありがとう 」

と 今度は優しくほほ笑みを浮かべ 


「最後にその情報を聞けてよかったよ  さようなら」と

ゆかりのおでこに 片手をかざし モパに関する記憶を消した


あとは 進級試験の一か月前に戻ったゆかりが必死で 勉強にとりくむのを

遠目で見守ることにした


モパは ゆかりが消えた後も しばらく公園にいた

目線は やはり丘に向いている


「わたしは この場所にひきつけられたんだろうか?」

偶然この土地に やってきたのではないという 予感がした


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