↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元・暗殺者の新聞屋  作者: きいまき
PR
7/8

まぁ、そうなるんじゃ……?

『魔の薬。

 香に、あるいは直接肌に塗り込み、王族や貴族、富裕層が主に媚薬として使っている。


 万が一、手に入れる機会があっても、興味本位で使用するなかれ。

 決して良い夢ばかりが見られるとは、思わない事だ。


 幻聴・幻覚に悩まされ、狂い、廃人となった果てに……』



 新聞記事に、何度か取り上げた事がある。

 しかし撲滅は難しいだろう、とウィプは冷めた事をちらり思った。


「男色疑惑で、身分差を出したのがマズかったかもな。金を落とさない下の人間が、薬でどうなろうが構わないと思っている、お偉いさんがいるのは確かだ。

 たぶんこの媚薬で王子の遊び相手がどうなろうが、その場合に王子だって特に思う事はないはず……って、おい。さっきの顔に戻れ、ロス」


 殺気を身にまとい、立ち上がろうとするルデュロスの裾を掴んで引き摺り下ろし、膝の上に座り込んだウィプは、再び頭を何度か撫でる。


「どういう仕組みになっているか謎なロスの勘って、便利だよな。ほら、ロスもオレに触りたかったら、触っていいぞ……ぎゃあ、痛ぇッ」


 ぎゅーぎゅーと絞め殺されそうになったウィプは、悲鳴を上げる。

 おかげでほんの少し抱き込む力は弱くなったが、見えなくなったルデュロスの表情は、ウィプが望む萌え顔にはまだ程遠いに違いない。


「ロスはちゃんとオレに使っていいか、聞いてきただろ? むしろそっちが一般的じゃないんだけど。だからオレは、ロスを褒めてやる」


 ルデュロスは無言だ。


「というか、ロス。王太子の駒はお前の隙を作ろうと、逆にロスへ媚薬を使って来るかもよ。オレも目的が違ってたら、そうやってロスを堕とそうとしてたかもなぁ?」


 何か1つ過去が違い、ウィプが暗殺者のまま過ごしていれば、新聞記者としてではなく、狙う者・狙われる者として2人は会っていたかも知れない。


「そうだった時にロスはオレが、そうだ、と気が付けたか? ほら、返事しろ」

「……私には謎な勘があるから、気付く」


 その答えにウィプは笑った。


「たぶんオレは気付けない」

「……」


 2人の隙間が開いて、拗ねたルデュロスがウィプの前に現れる。


「ロス。オレに媚薬を使ってみたいって話だけどな」

「その話は、もう……」


「まぁ、聞け。オレ気持ちいい事は好きだし、使ってもいいぞ。量や体に害が少ないのを選べばいいだけだ。痛みを和らげる為に、医療でも使われてるしな」


 ウィプがそう言えば、ルデュロスは何とも言えない顔をする。


「あ、誤解すんなよ。今でも十分、ロスとは気持ちいい」

「本当に?」


 体の状態は誤魔化しようがないだろうがと、不安そうなルデュロスにウィプは頷いた。


「経験値だけは、どうしようもないからなぁ。……そうだな、後3、40年もしたら、若い悩みだった、とか笑い話に出来るんじゃないか?」


「3、40年?」

 その数字はどこから? と、ルデュロスは不思議そうである。


「平均寿命がそれくらいだろ? ロスとは一生のお付き合いになるんじゃないかと、オレは思ってるんだけど、なぁ?」

「……っ」


 これは事実上のプロポーズか?

 たぶんそう取ったであろうルデュロスが、熱烈にウィプの唇を求めて来る。


 媚薬で気持ちよくなるのは、いい。

 でも媚薬で、ルデュロスと一緒にいる事が、心地好いと感じる心を失いたくない。

 誓いのキスにしては深過ぎるそれに応えながら、ウィプは思った。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。