コロンビア共和国軍事力
『コロンビア共和国が短期間でベネズエラ共和国を制圧できるだけの軍事力を持っていた理由。それには様々な理由があった。
まずはコロンビア共和国による長期的な国内ゲリラ対策だった。コロンビア共和国は冷戦期を通じて強力な左翼ゲリラと戦い続けていた。それは国内治安維持のために陸軍を常に大規模に維持・近代化せざるを得なかったのである。 それは結果として実戦経験豊富な部隊と、対ゲリラ戦で培った機動力・特殊部隊が育っていた。
次はヨーロッパ共同体からの継続的な武器供給があった。西側寄りだったため、冷戦中にヨーロッパ共同体から戦車・装甲車・航空機・対空兵器等汎ゆる兵器を比較的安定して輸入出来ていた。 特に1970〜80年代にかけて、ヨーロッパ共同体製の装備を大量に導入し 質は大日本帝国に劣るが、数と一定の近代化は達成していた状態だった。
2点目と少し重複するが、1980年代後半の隠れた軍拡も理由であった。
冷戦末期ヨーロッパ共同体が中央アフリカで泥沼化し、アメリカも財政的に疲弊していた時期に、コロンビア共和国は[地域大国化]を密かに志向したのである。南米ではブラジル連邦共和国が第三世界諸国の盟主を自認すると共に 、地域大国としての軍事力を有していた。
そのブラジル連邦共和国に成り替わる為にコロンビア共和国は軍拡を行いヨーロッパ共同体から大量の兵器を購入し、陸軍と空軍を増強した。 表向きはゲリラ対策と国境警備を名目にしていた為に、大日本帝国も本格的な対外侵攻能力とは見ていなかった。
その一連の軍備増強は石油収入を軍事に投入し、しかも1980年代の石油危機による石油価格高騰時には、更に軍事費を増やしていた。そんなコロンビア共和国に対して、ベネズエラ共和国は軍の相対的弱体化が起きていた。確かにベネズエラ共和国も石油収入で経済は好調だったが、軍の近代化が遅れ、腐敗や士気の低下が進んでいたのである。
その状況がコロンビア共和国側から見れば[今なら勝てる]と判断できる状況であり、ベネズエラ共和国の油田を取ればさらに豊かになるという計算も働いていたのだ。
こうして南米の地域大国化を本気で目指したコロンビア共和国は、大規模な軍事力を保有するに至ったのである。南米戦争開戦時のコロンビア共和国の軍事力について順番に見ていく。
まずコロンビア共和国の総兵力は約175万人を誇っていた。内訳は陸軍約150万人、空軍約4万人、海軍約1万人、共和国防衛隊約20万人である。共和国防衛隊は元々は左翼ゲリラ狩りに特化した特殊部隊として発足したが、徐々にコロンビア共和国陸軍の精鋭部隊として位置付けられ巨大化を遂げた。例えるなら大日本帝国海軍の陸戦隊が巨大化して独立軍種になったようなものである。
その共和国防衛隊を合わせて地上部隊約170万人という兵力は、実は南米戦争直前では世界第6位の陸軍大国であったのである。南米戦争直前で世界最大の陸軍を誇っていたのはヨーロッパ共同体であり、それは300個師団約700万人という膨大な陸軍を保有していた。冷戦終結直前はヨーロッパ共同体は陸軍を400個師団約850万人という膨大な数を誇ったが、ミッテランによる軍事費削減の一環で冷戦終結直後に100個師団約150万人を削減していた。
それは他の国も同じであり中華民国は250個師団約600万人から200個師団約500万人、 インド連邦は200個師団約500万人から150個師団約400万人、ロシア連邦は150個師団約350万人から100個師団約250万人、アメリカ合衆国は100個師団約250万人となっていた。
以上の国々に続いてコロンビア共和国は世界6位の陸軍大国だったのである。その次が大日本帝国陸軍であり50個師団に各種支援部隊を合わせて約115万人を誇っていた。
そんなコロンビア共和国の陸軍と共和国防衛隊の中核は何と言っても戦車の保有台数にあった。コロンビア共和国は戦車を約8000輌を保有していたのである。大日本帝国が陸軍と海軍陸戦隊合わせて約15000輌であり、その半数以上を保有しており南米地域では最大の保有台数となっていた。それに加えて装甲車も約1万輌以上、火砲も自走砲を含め8000門以上を、回転翼機も約1万機保有していた。これによりコロンビア共和国は陸軍と共和国防衛隊の兵力は、南米最大を誇っていたのである。
空軍は戦闘機と攻撃機を約1200機保有していた。全てがヨーロッパ共同体から輸入されたものであった。
海軍はフリゲート艦とコルベットを中心に約50隻 保有していたが、沿岸防衛海軍としての能力しか有して無かった。しかも複数の艦艇がベネズエラ共和国侵攻による経済制裁で、引き渡しが凍結されていた。海軍戦力の劣勢はコロンビア共和国も痛感していた為に、大日本帝国海軍連合艦隊空母打撃群がベネズエラ共和国沖合に展開すると、全ての艦艇を軍港に停泊させ海軍将兵全員を陸軍基地に移動させ、歩兵として運用する事にしたのである。
陸軍が保有する特殊部隊は充実しており、長年のゲリラ戦で実戦経験豊富だった。
コロンビア共和国は陸軍を特に重視しているのは、ゲリラ戦と陸上での地域覇権を重視していた為であり戦車保有台数は南米各国の保有台数を明確に上回る数字で、南米最強の陸軍を自称出来る水準だった。
空軍も質・量ともに地域で突出していた。海軍は相対的に弱く、外洋進出能力は皆無だった。
この戦力でも、大日本帝国から見れば[地域大国としては強いが、超大国相手に本格戦争を挑む規模ではない]と評価されていた。
特に[遠征能力]や[高度な電子戦能力]が欠けているため、帝国国防情報局が恫喝止まりと判断したのも仕方無く、全てに於いて大日本帝国軍には遠く及ばない規模だった。
地域大国と冷戦を終結させた覇権国家である超大国との、壮大な戦争が始まろうとしていた。』
小森菜子著
『帝國の聖戦回顧録』より一部抜粋




