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寓意・実験作品まとめ  作者: RiePnyoNaro


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14/16

豺獣を祭る(やまいぬけものをまつる)

【あらすじ】

本能の赴くまま獲物を物色し、人家をさまよい歩く男。


理性を失った男を待ち受ける運命とは?


『あぁっ、早く欲しいっ!!

何かないか?

この欲求を満たすものは?

もう限界が迫ってる!

早くしないと、時間切れになっちまう!』


オレは縄張(なわば)りを出て彷徨(さまよ)い歩き、人通りの少ない住宅街に差し掛かった。


『あっ!アレはっ!

いいじゃねぇかっ!

はちきれそうな果実!

たわわに(みの)って美味(うま)そうだっ!』


()れきった体から(したたり)り落ちる甘い汁が口中を満たす。


想像するだけでヨダレが出そうだ。


ゆっくりと近づき、手を伸ばした。


ガシャンッ!


硬いものに阻まれた。


『ちくしょうっっ!!

ちくしょうっっーーーーーっ!!!

見てろよっ!コノヤローーーッッ!!』


悔しさが爆発する。


オレは頭を掻きむしり足を踏み鳴らした。


不審な様子に人が集まってくる。


『ヤバいっっ!』


慌ててそこを離れた。


『ちっ!!

ムカつくぜっ!!

どうしようもないこの欲求は誰のせいだ?!

オレのせいじゃないっ!!

なぜこんなものがあるんだっ!!

オレのせいじゃないっ!!

くそっっ!!!』


ムシャクシャしながら歩き回った。


獲物を探し回った。


また「カワイ子ちゃん」を見つけた。


『あっ!!よしっ!あれだっ!あれにしようっ!!

ちっ!

こっちを見てるぞ!』


オレは慌てて物陰(ものかげ)に身を隠した。


日が暮れるのを待って、獲物のありかに侵入する。


獲物は無抵抗だ。


まるで、オレに喰われるのをずっと待っていたかのように。


皮膚に歯を食いこませた。


『ああっっっこの感覚っ!

久しぶりだっ!

だが足りないっ!

もっとっっ!!!

もっとだっっっ!!!』


夢中で獲物をむさぼる。


『足りないっ!

どこだっ!

どこにあるっ!!』


まだその奥から、美味そうな匂いがした。


ゆっくりとソレに近づく。


脂でツヤツヤに光る白い肌に、骨がところどころういて見える。


『私を食べて』


本能を刺激する、得も言われぬ匂いを放ち、オレを誘ってやがる。


据え膳食わぬは男の恥。


ダラダラとヨダレが(あふ)れ出るのをそのままにして、獲物に近づく。


優しくソレを(くわ)え、引っ張った。



「ガッシャッッーーーーーンッッ!!!!」



耳をつんざく金属の音。


思わず振り返る。

 

背後に金属の扉が落ちていた。


閉じ込められた!?


・・・・捕まった!!??


くそっっっ!!!


チクショウめっっっ!!!


人里に出て、柿を食って、栗を食って、ゴミをあさって


何が悪いっ!


オレは本能のままに行動したんだっ!!


誘惑したのはどっちだっ!!


くそっっっ!!!


力の限りぶつかり、ひっかき、()みつき、逃れようと暴れまわった。


頑丈で無情な、熊捕(くまとり)用の檻は、びくともしない。


夜は静かに更けた。


「豺獣を祭る」とは・・・・

『狼の祭/豺の祭 七十二候のうちの霜降初候(十月二十三日~二十七日頃)のこと。「豺」は山犬、狼。狼が禽獣を捕獲した後に祭るように並べる、という言い伝えにちなむ。初春の「獺魚を祭る」、初秋の「鷹鳥を祭る」に対応する。

(https://kigosai.sub.jp/001/archives/11281『きごさい歳時記』さんを参照)』

だそうです。



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