歩く枝~walkingsticks~
【あらすじ】
同じ枝なのに、歩けるなんて
欅の丘が秋になった。
春に芽吹き、夏に育った若枝が、気ままに風に揺れていた。
まさにゆっくり、密かにやってきた『枝』を見つけた。
ビックリして
「歩けるの?!」
話しかけられた『枝』は沈黙したまま、体を前後に揺らした。
若枝は思った。
『ずるいっ!
なぜあの『枝』は歩けて、ボクは無理なんだっ!!
カミサマはずるい!
あの『枝』は卑怯だっ!!
あんなヤツ虫に喰われてしまえっ!!
病気になって枯れてしまえっ!!
あぁっっっ!
ボクだって!
色んなことを経験したい!
毎日毎日死ぬほど退屈な景色!
ここから逃げだしたい!
このまま枯れ果てたくない!
でも、どうしても動き出せない。
ボクは、仕方なく、カサカサになったすべての葉を落とした。
冷たい冬がきた。
ボクは半分以上死んでいる。
冷酷な北風や、非情な氷の結晶に、心ゆくまで弄られた。
息を殺して耐えるしかない。
春がやってきた。
ボクの一部から『仔枝』が伸びてきた。
柔らかい、きみどりいろの若葉を先っちょにくっつけている。
また、『歩く枝』がやってきた。
「ねぇ!見て!ボク大きくなったでしょ?」』
歩く枝は黙ったまま、体を前後に揺らした。
まるで若い枝々の間を、一陣の春風が通り過ぎたかのように。
自分に似てれば似てるほど、嫉妬は強くなりますよね!
根本的な違いに気づかずに。




