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カゲビト  作者: 永眠布団
第二章 初任務

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第14話 『“加速”』



――カチャカチャカチャン。


 と、何かが伸び切り、ロックされる音がなる。

 その音の発信源はどうやら桜井(さくらい)のようであった。


 真城(ましろ)は、徐に桜井の下へと視線を向ける。


「……えぇっと。それは」


「三段式、プラスチック製の警棒だよ~。

 因みに……、懐中電灯のおまけ付きです!」


 女の影人へと、警棒を構える桜井。

 その姿はどこか、真城がこれまで感じていた『桜井明花(めいか)』という人物像とはまた違った印象を受ける。

 スッ――と、目を細め、相手を見据える。

 警棒を片手に構え、相手に向けるその立ち振る舞いはさながら剣士のようである。


 ……真城の視線に気づき、ピースサインを決めるその動作さえ無ければ。

 

 

 警棒。

 それが桜井の持参した武器らしい。

 いつの間にかリュックから取り出し、またそのリュックは既に遠くの方へと投げ捨てられていた。


「良いんですか……? そんなもの持ってて」


「そりゃあもう、護身用だからね。

 このご時世、何が起きてもおかしくないぐらいには物騒なんだから。警戒しなきゃ!!」


 ……そういう話なのだろうか?

 警棒が許されるなら、真城もメリケンサックとかもう少しストレートな武器が……、いやいや、流石にそれで人を殴るわけには……。影人とはいえそれは流石に……。

 

 などと、思考を巡らせる。

 

 が、そんな余裕は無いと思い直す。


 昼もとうに過ぎ、6時近くなっているとはいえ、未だ太陽が輝く時間。

 そんな光を、締め切られたカーテンによって遮断され、カーテン越しに届く僅かな光によって照らされる体育館内。

 薄暗く視界がはっきりとしない中、闇に隠れるようにして佇む女の影人を真城は捉える。

 真城がすることはもう決まっている。



「いくよ!!」


 桜井の掛け声で真城も動く。

 同時に、影を操作し両手の拳に纏わせる。


 操作出来る影の量。それは、自身が生み出す影面積と同値である。

 例え影同士で重なっていたとしても、それは別の影として認識される様であり、それぞれ操る事も可能らしい。

 つまりは。

 本来の人間で言えば自身の肉体の影に加え、着ている衣類や装飾品の影を諸々足した量こそが、“影操作”で扱える量となる。

 

 ……そのはずなのである。

 しかし、何事にも例外というものは存在する。


 真城自身に影は無い。

 それは、真城の弱みでしかない。

 何故なら先程述べた様に、本来の人間であれば扱える影の総量。

 その中の、“真城自身の影”というものを不足している為である。


 しかし、それでもやるしかない。

 衣類や装飾品に影が出来るなら、それをかき集めて使うしかない。

 

 女の影人。

 桜井明花。

 その二人の攻防に割って入る真城。


 桜井が警棒を振るい、それを女の影人が受け止める。

 長く伸ばした鋭利な爪を器用に使い、真剣白刃取りの要領で二本の指の爪を使って警棒を抑え込んだ女の影人は、すかさず空いたもう片方の手の爪で桜井を傷つけんと行動する。

 刹那、真城の拳がそれを阻害する。


 真城が放った体重を乗せた一撃。

 それを受け、態勢を崩した女の影人から桜井の警棒が解放される。

 桜井はそれを素早く引き抜くと、続けて、


「そりゃーー!!」


「――っ!?」


 ガードの緩くなった女の影人の胸元へと目掛けて、渾身の突きを放つ。

 それに対して女の影人も急ぎ胸元に影を集めた防壁を作るが、それでも勢いを殺すことは出来ず、崩れた態勢と相まって後方へと吹き飛んでいく。


「よし!!」


 と、桜井は初撃を決めた事にガッツポーズを作る。

 真城も喜びたい所ではあるが、その内心はビクビクだ。


(ちゃんと“影纏い”が出来ている……あの影人に俺の攻撃が通用する……)


 自身の殴りつけた拳を眺め、その感触を思い出す。

 真城が放った一撃は、確かに女の影人が生み出した鋭利な爪へと撃ちつけられていた。

 敵が生み出し実体化させた影に対して、真城の“影纏い”がしっかりと機能している。

 そのことを、改めて実感する。


 真城は今回の任務に加え、影人との戦闘という面で見ても初めての事なのだ。

 いくらあの一週間、一ノ瀬(いちのせ)と共に戦闘訓練を積んだとはいえ、実際に影人と戦うのは今回で二度目。

 原田(はらだ)の件を除き、“影操作”や“影纏い”を覚えた段階で挑む影人といえばこれが初となる。

 いくら訓練をした、練習をしたとはいっても、それを実戦で役立たせられるかは別の話。


 学校では避難訓練というものが行われ、実際にそれを必要とする事態に遭遇した時の対処法。行動の仕方を学ぶ。

 幸い、真城はこの人生の中でそれを必要とする場面に出会う事は無かったが、実際にそれを必要とする場面があったとして、訓練通りの行動がとれたかと聞かれれば不安が残る。


 人命救助。AEDなんかの取り扱いも同じ理由だ。

 人を助けたい。その一心で、その使用法を頭に記憶している真城ではあるものの、その場面が訪れた際に、しっかりとマニュアル通りの対処が出来るのだろうか?

 という事である。

 意識の確認からAEDの確保。

 心臓マッサージから人工呼吸まで。

 その他諸々、しっかりと手順を間違えずに行う事が出来るのか?


 それと同じようなものである。


 要は、よく言われる話。

 勉強を理解出来る才能とそれを人に教える才能は別。というお話だ。


 真城は目を細める。

 女の影人が吹っ飛んでいった方向を見る。

 薄暗い体育館内。

 一番奥の壁さえしっかりと確認出来ない状況下で、次に来る女の影人の攻撃に備える。



 一瞬、真城の周りの影が揺らいだ気がした。

 真城の視界に黒い影が差した気がした。


「――っぐ、が!?」


 突如、真城の視界が揺らぐ。

 次いで襲い来る激痛に、真城は自身が攻撃を受けた事を自覚する。


「――晴輝くん!!」


 体が宙を舞い、その後激しく床へと身体を打ち付けて転がる真城を見て、桜井の声が上がる。

 ぐらつく頭を押さえ、何とか立ち上がる真城。

 激痛で身体が痛むことは分かる。

 しかし、だからといって何時までも転がったままで良いわけが無い。

 追撃に備える必要性など、既に原田戦で学んでいる。


「う~~~~ん?

 やっぱりまだ“能力”との併用は出来ないみたいねぇ……。

 影の固定化が身体の速度についていけないから、すぐに実体を無くしちゃう。


 ……まぁ、この速度で突っ込むだけでも十分な威力が出るんだけど。ヒヒッ」


 口角を吊り上げ、歪な笑みを浮かべる女の影人。

 そこへ向け、桜井が一撃を加えると、女の影人と真城の距離を引き剥がす。


「一体、何が……?」


 真城に起こった状況。

 それを別視点から見ていたであろう桜井へと、真城は問いかける。

 真城としては何をされたのか理解不能だ。

 気付いた時には宙を舞い、その痛みに気付く頃には地面へと落ちていた。

 そんな状態である。


 しかし対する桜井も顔を顰めた。

 彼女もまた、真城同様に女の影人が飛び去った箇所を眺めていた為であり、視界が悪い中で真城まで視界に納めていなかったからだ。

 真城の声に驚き、そちらへと視線を移した時には既に事が成された後だったのだ。


 とはいえ、桜井も自身の周りで起こった影の揺らぎは確認した。

 ここから考えうる事と言えば、あの女の影人が“影世界”を経由して真城の元へ向かったという点だろう。

 しかしそれだけでは説明がつかない。

 何故、真城が吹き飛ばされた?

 人一人が宙を舞う程の勢い。

 それを成し得る方法……。


 そこまで考え、桜井は一つの結論に至る。

 その答えは、女の影人が発した言葉の中にあった。


「……晴輝くん。

 もしかしたらあの影人さん。自分自身を加速させるような“能力”を持っているのかもしれない」


 “能力”。

 それは影人達が有する力。

 目の前にいる女の影人が“フェイズ3”であるのだから、そういった力を持っていても何ら不思議な事では無い。

 『自分自身を加速する』。

 そのような能力があるのなら、男一人を軽く吹き飛ばす程の突撃。

 タックルを行う事も可能なはずだ。


 桜井自身、疑問に思う事があった。

 それは戦闘開始早々の出来事。

 女の影人が床を蹴り、桜井と真城の前まで一気に距離を詰めてきた時の事だ。

 あの瞬間、桜井はとっさの判断で回し蹴りを放ち、そのタイミングを合わせる事に成功したわけではあるのだが、あれは実は“まぐれ”である。

 ……奇跡的に成功したソレなのだ。


 それは勿論、桜井の持つ戦闘センス。

 いくつかの戦闘経験が下地としてあるが故の功績だ。

 しかし、それはそれとして。

 女の影人が迫ってくるまでの速度が、互いを隔てた距離にしては少し速いのではないか……?

 という疑問符があったのだ。


 影人達には、色々な移動法がある。

 それは“影操作”が扱えれば出来る事なので、影人達“だけ”と言ってしまうと語弊があり、“影狩り”達であっても利用可能なものである。

 その中に、真城のよく知る移動法。“全身に影を纏って突進する”というものもあるわけだが、それら全てを含めても疑問を覚えるものだった。

 単純な脚力といった、人間が鍛えることで可能となる体術では足りない。

 だからといって“影操作”からなる移動にしてはそのラグやら諸々が無い。……というより、そもそも“影操作”を扱っていた様には見えなかった。


 体術ではない。

 “影操作”でもない。

 ……であるならば、考えうる可能性は“能力”しかない。


 何より。

 女の影人が『身体の速度』。などという言葉を使っていることからも察しである。

 しかも、『“能力”との併用は出来ない』『影の固定化が身体の速度についていけないから、すぐに実体を無くす』等、ご丁寧に弱点まで教えてくれている。


 ……もはやツッコミ待ちなのかもしれない。


「晴輝くん。

 あの影人さんの“能力”の弱点。……加速している間は影の実体化が出来ないんだってさ」


「ヒッ!? 何故それを!!」


 桜井の言葉を聞いた女の影人が、驚きを露にする。

 ……素だったのか。お茶目さんかな?


「……なるほど。そういう事なら、次はこっちの反撃だ」


 相手への立ち回り方を理解し、拳を構える真城。

 その瞳には、先程の仕返しを一発。といった闘志が燃える。


「念のために言っとくけど、そこで油断しちゃ駄目だからね。

 “影操作”の能力はデフォルトとして、“加速”の能力が一つ。

 “フェイズ3”とはいえ、その他にも“能力”を持っている可能性も捨てきれないんだから!」


「分かってる」


 女の影人へと、向ける視線は崩さない。

 自身の拳に“影纏い”が出来ている事を横目で確認し、足元に力を込める。

 相対する女の影人を前に、踏み込むタイミングを計る。



 しかし。

 先に動いたのは女の影人だった。



「ヒヒヒ……ッ、私の力が分かった程度でこれを攻略出来るかな!!」


 一つの“加速”があった。

 それは、真城や桜井へ向け……ではなく、天井へ。

 床を蹴り、高さ十五メートルはあるのではないかという体育館の天井へと勢いをつけて上昇する。


 二つ目の“加速”があった。

 空中で身体を捻り、その上下を反転させる。

 ガツンと重みのある音を響かせ、逆さまに天井へと足を付ける。

 そしてその勢いを殺さぬように足を曲げ、腰を屈ませると、今度は縮めたバネを解き放つかの様にして再び天井を蹴って降下する。

 女の影人が向かう先。

 それは、今度こそ真城と桜井だ。


「――っちょ!?」


「まじかよ!!」


 勢いのまま両手を大きく広げると、二人に向けてラリアットをするかの如く突っ込んでくる。

 その両腕は影を纏い、強度を底上げしているであろう事が伺える。

 しかし、それと併用し、影で作った鋭利な爪は出していない。

 先程の言葉から察するに、加速中では影そのものを実体化させて作る武器の類は使用出来ないのだろう。

 

 迫る女の影人。

 それを見て、回避行動をとる二人。

 流石の桜井も、今回ばかりは受け止めない。

 女の影人の能力である“加速”に加えて、人一人の“重さ”を乗せた一撃だ。

 受け止める、などと考える事がまずおかしい。

 

 二人はそれぞれ逆の方向へと走る。

 瞬間。

 先程まで二人が居た地点へと、女の影人が勢いよく降り注ぐ。

 

 かなりの速度だった。

 しかしそれ故に小回りが利かない。

 それこそが、敵の“加速”の弱点でもあっただろう。

 弱点……であったが故に、二人が小回りの利く“逃げ”に徹すれば当たる事のない攻撃であった。

 だからこそ女の影人は二人を捕らえきれず、床に衝突することとなった。……はずだった。

 

 ……しかし、衝撃音は響かない。

 

 それは何故か。

 ……その答えは、


「まさか“影世界”に!?」


 女の影人の姿が“影世界”へと消える。

 床に広がる黒い影が、水面に出来る波紋のように歪む。


 二人は女の影人を見失う。


 まさかここまでやって来て逃げるつもりだったのか?

 そんな考えが真城を過るが、それは違う。

 違う。という事がすぐに分かる。


「――っく、ぁ……ッ!!」


 ドゴン、という鈍い衝突音と共に、桜井の呻く声が届く。

 真城の視界に宙を舞う桜井と、その元凶である女の影人の姿を捉える。


 “影世界”内で向きを変え、再び“加速”して飛んで来た。

 そういう事だろう。

 例え影を見たとして、その奥にある“影世界”を視界に納める事は出来ない。

 だからこそ、真城や桜井は女の影人の姿を見失った。

 その現象、事象を利用させた。ということだ。


 しかし、それに対してされるがままの桜井ではない。

 確かに不意の一撃ではあった。

 ではあったものの、ある程度の予想は出来ていた。

 出来ていたからこそ、桜井は防御の構えをとっていた。

 自身の警棒を盾変わりに構えると、足元の影へ向け、それでもカバーしきれない後方やその他からの対処の為に、全身に影を纏って硬化させていた。

 それは桜井だから出来たというよりは、実戦経験の差というべきだろう。


 桜井を含め“影狩り”の多くは、自身の視界の外からの攻撃を嫌う。

 それは多分、どんな人間であってもそうだろう。

 だからこそ、敵が視界から消えて見失ってしまった際には条件反射で“影纏い”を全身にかけて硬化させるといった防御手段をとる。

 それが一番手っ取り早く、確実だからだ。


 その“基本”がまだ完全ではない真城。

 今回の攻撃、正直のところ運が良かった。

 もしも今の攻撃が真城へと向かっていたらと思うとゾッとする。

 真城も一応、下からの攻撃には警戒していたものの、“影纏い”を全身にかけてはいなかった。

 “影世界”からこちらを見る景色。

 それはモノクロに見える。

 それでもよく見れば、“影纏い”をしているかどうかは判断できる。

 であるならば、真城を攻撃しない手は無かったはずだ。


 “加速”している為、その判断、判別が出来なかった可能性。

 或いは、この少しの攻防の中で、真城よりも桜井を先に潰すべきと判断したか。

 それは分からない。


 しかしだからこそ、真城は運が良かった。

 悪いとは思いつつ、今回の標的が桜井であったことに感謝する。

 そっと胸を撫で下ろす。


 桜井が女の影人へ向けて警棒を振る。

 間一髪、自身へ向けた攻撃が来ると察知した桜井の行動は早かった。

 女の影人が出て来る余波、影の揺れを瞬時に捉えると、その方向へ向けての防御を強化していたのだ。

 それでも、思っていた以上の威力であったことは予想外だったわけだが、その程度でやられる桜井でもなかった。

 ガゴン、と振り下ろした警棒から音がなる。

 桜井を持ち上げて宙を舞い、それによって“加速”を無くした無防備な女の影人へと、一撃が加えられる。


「――ッ、この!!」


「……くっ!?」


 腕で受け、その顔を苦痛で歪める。

 しかし、女の影人もそこでは終わらない。

 腕に受けた攻撃、その受けた勢いに任せて身体を捻ると桜井の腹部へ目掛けた両足蹴りをお見舞いする。


「げふ……ッ!?」


 更にそこから“加速”して桜井から距離をとる。

 フワリとした浮遊感を漂わせ、体育館に設けられたキャットウォーク、……その柵の上へと着地する女の影人。

 しかしその間、桜井が何も出来なかったわけでは無い。

 蹴りを腹部へと受けてなお、女の影人へ攻撃を加えるべく空中で体勢を整える。

 女の影人へ目掛け、渾身の突きを放つ。


 長さにして、ざっと五十センチ程の警棒。

 本来であるならば、その警棒でいくら突きを決めたとて、それよりも後方の的に命中する事などあり得ない。

 しかし、桜井は違う。

 我々、“影狩り”なら話は変わってくる。


 警棒に纏わせていた影。

 それを操り、突きのタイミングに合わせて槍状の影を射出する。

 硬化させ、威力を底上げした一撃。

 警棒では届かない所でも、刀身を伸ばす事で可能となる一撃。


 しかし。

 ガキン……ッ!!

 と、何かにそれを阻まれる。


 女の影人の両手。

 その先に、鋭利な爪が出現していた。


 桜井の最後の一撃。

 それが阻害された事に対し、苦虫を嚙み潰したような顔になる桜井。

 と、同時に。今の今まで女の影人によって宙を舞い、滞空状態にあった桜井の身体が着地する。

 ……着地、と言える程綺麗なものでもなかった。


 ドシンと、鈍い音と共に尻餅を付く桜井。


「……っ!!??

 いっ、たーーーーい!!


 もう!!

 お腹蹴られたりお尻ぶつけたり!!


 女の子の身体は大事にしなきゃいけないんだからねぇ!!」


 ビシッ!!

 と、人差し指を女の影人へ向け、涙目で抗議する桜井。


 ……いやいや。

 あちらさんとは敵同士なのだから、当たり前の事だろう。

 というより、桜井も桜井で警棒を振るっているのだからお互い様である。


 所々が桜井のおかげでギャグっぽくなる為に忘れがちだが、一応これは命のやり取りだ。

 桜井がどう叫んだ所で、それに女の影人が従う義理も無い。

 当然である。


 まぁ勿論、真城にも同じ事が言えるわけだが……。

 

 そんな桜井の反応を片耳で聞き流しつつ、真城は眼前の女の影人を睨みつける。

 キャットウォークの柵の上。

 両手の爪をクロスさせるようにして構える女の影人を。

 

 四方が囲まれたこの体育館。

 その中を縦横無尽に“加速”し駆ける事が出来る点。

 並びに、接近戦を挑もうものなら両手の鋭利な爪を気にしなければならない点。

 これらを考慮して、どう立ち回るのが適切か?


 ……どう、立ち回れば良いだろう?



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