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カゲビト  作者: 永眠布団
第四章 帰省

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第23話 『誤った判断』

 


 ――ズキリッ。


 と、影人をスキャンする度に、次第に頭が痛みだす。

 だがそれでも真城は止まらない。

 影を操作し影人達を拘束し、影を操作しあらゆる攻撃を弾き、砕く。

 “力”を纏った右拳を叩き込み、“混沌点”を割り出して、その境界を引き離す。

 何度も、何度も、何度も、何度も。

 そうやってまた一体、影人を分離しては影の剣でトドメを刺す。



 ――ズキリ、ズキリ。

 ――ズキズキ。

 ……と、そうしている内についには“力”の発動とは無関係に頭が痛み出す……が、それでも真城は変わらない。

 挫けずに、目の前の影人達を相手取り、一方的に蹂躙する。

 ……と、そんなこんなでこの瞬間、真城と戦闘を行っていた五体……その最後の一体が分離され、トドメを刺された影人が霧散して消えていく。


 それは時間にして、十分と満たない蹂躙劇。

 しかしその時間中、真城は影による攻防と緻密な“力”の制御の他、“ゾーン”からなる超集中とそれからくる動体視力による全体の把握、戦闘と……様々行動を出力し、同時並行でこなし続けていた訳だ。

 それは言ってみれば十分間、フルで全力疾走をこなしつつ弓で的の中心を射抜き続けたに等しきものだろう。もしかしたら、それ以上かもしれないが。


 ハァハァと、真城は切らした息を整えるように呼吸する。

 が、バクバクと音を鳴らす心臓は中々に落ち着かない。

 真城は頭を軽く押さえると、僅かに目を細めて舌打ちする。

 心臓の鼓動に連動し、脳が痛みを訴えてくるからだ。


 能力の酷使。それによる脳の疲弊。つまりは、処理限界が迫っている合図だろう。

 目を使えば使うだけ目は疲れ、次第に痛みを訴える。……原理としてはそれと同じようなものである。


 頭痛薬を今すぐにでも飲みたい衝動に駆られるが、生憎と今は戦闘中。

 迂闊に飲んでもいられない。というか現在、頭痛薬など持っていない。

 まさかこんなことになるとは露知らず……といった惨状だ。


「くそ……」


 超集中が、痛みに阻害されていく。

 昂っていたはずの感覚が落ち着いて、真城を現実へと戻してく。

 アドレナリンが切れたのか、ズキズキと痛みが増していくのがよく分かる。

 気が付けば、“ゾーン”は完全に解けていた。



 ……


 …… ……



 だが、それでもと。

 真城は残る影人に目を向けた。

 そうそれは……残っていた六体中、最後まで動かずにこちらをただジッと窺っていただけの、本当の最後の一体に。

 そしてそれは、まごうことなく白菊の身体と意識を乗っ取った影人だ。


 逃げるでもなく、ただその場に立っている。

 ただそれだけの存在であったので、警戒はしつつも後回しにしていた影人だ。

 或いはどこかで隙を見て動いてくるだろう、とも考えていたのだが、まさか本当に最後まで何もせずに残るとは思ってもみなかった……が、それはある意味で真城にとっても僥倖だ。


 救いたい命に序列は無い……と言いたいが、それでも白菊だけは確実に救いたい。

 それはまず間違いなく、今の真城の本心だ。

 今日のこれまでの戦いは、白菊を助ける為のものだった。そう言い換えることさえ出来るだろう。それほどまでに重要な存在が、こうして目の前に立っている。

 他の影人はもういない。

 警戒すべき黒子姿の影人ももういない。

 もう誰にも邪魔されず、白菊を救う事が出来るのだ。

 この一戦を滞りなく最後まで行うことさえ出来たなら、ようやく目的が叶うのだ。

 それはもう間違いなく、真城にとって願ってもない状況だ。


 真城は痛む頭を気合いと根性で押し殺し、最後の戦いに備えて右手を握りしめていく。

 真城の脳の処理限界。“力”を行使することも、或いは後数回といった所だろう。

 もし足りない様ならば、そこも気合と根性だ。


「…………、」


 真城が戦闘態勢を整えて、いつでも動ける状態になってさえ白菊の影人は動かないままだった。真城の方向をただ見つめ、ただ立っているだけである。

 何もする気が無いならと真城は自分から動き出す。一気に距離を詰めていく。


「!?」


 突如、白菊の影人に動きがあった。

 しかしそれは戦闘への備えではないらしい。影を纏う様子もない。

 ただ両手を広げると、まるで『おいで』とでも言いたげに真城を迎え入れるかのような態勢を取っていた。


(本当に、何も抵抗しないのか……?)


 怪訝そうに眉を寄せた真城だが、しかしそれでも止まらない。

 警戒は崩さずに、真城は為すべきこと実行する。

 影人との距離五メートル。まずここで真城は“力”を放出・スキャンして“混沌点”の大まかな位置の割り出しに取り掛かる。


 だが、その間も白菊の影人は動かずに立っていた。

 力ある光が白菊の影人を飲み込んだその時から、ジリジリと影人の痛覚を焼くような刺激を受けているはずなのに、それでも白菊の影人は文句の一つもこぼさずに、下唇を噛み締めてスキャンが終わるのを今か今かと待っているかのようだった。


 時間にして二、三秒。それでスキャンは終了する。

 “混沌点”の大まかな割り出しは完了し、次の工程へと移行する。

 真城は痛む頭を無視しつつ、“力”を右拳に纏わせていきつつも、白菊の影人へと目を向ける。


「なんで抵抗しないんだ?」


 その言葉はまるで抵抗してほしそうにも聞こえるが、別に真城がサディストという訳じゃない。抵抗してこないならそれが一番なのだから。

 これは例えばの話だが、一際難しい手術をしている最中に、患者に『動いてほしい』『抵抗してほしい』などと考える医師はまずいない。

 そんなことをされてしまっては患者の命に関わる大問題になりかねない。

 医師としては患者の命が第一だ。そしてその命を救う為、医師はあの手この手と尽くすのだ。


 ある意味で、医師と真城は同じだろう。

 真城は影人に乗っ取られてしまった人間を助けたい。だからこそ“力”を駆使して分離を行う訳である。

 ……ただ違う点を挙げるなら、手術時に使う部分麻酔や全身麻酔といった痛みを軽減するようなものが真城の行う分離には無いといった所だろう。

 痛みをもろに受けるなら、抵抗されるのもまぁ致し方ないことだろう。痛いのだからそりゃあ抵抗も納得だ。

 だが、そんなことはさておいて。明確に違う所が別にある。

 それは単純に、肉体や意識を影人に乗っ取られている為に、助けるべき患者が医師(真城)に助けを求められない状況と、現在肉体を動かしているのが影人である為に患者(被害者)医療行為(分離作業)自体をそもそも望んでない事だ。

 そりゃそうだ。せっかく苦労して手に入れた肉体だ。むざむざ手放したくはないだろう。人格を乗っ取って、ようやく手に入れた主導権。それを放棄する利点は無いはずだ。


 ……そうであるにも関わらず、白菊の影人は一切抵抗をしてこない。

 本当にされるがままの状態だ。それは影人からしてみれば、断頭台に自ら首を差し出している行為に他ならない。


 行為の意図が掴めずに、ついつい放った言葉だが、しかし白菊の影人はそれに対して何も返答を返さない。


 その理由は分からない。

 答えるつもりもないらしい。

 だが、と真城は一際強い頭痛に歯噛みしつつ、考えようによってはそれも有難いなと思考する。


 ……何せ正直な話をするのなら、真城の集中力を今なお著しく低下させ続けるこの頭痛。これが中々に厄介な為である。

 例え影人が一体だけであったとしても、ここから戦闘と分離を同時にこなすのは、かなり骨が折れるものになる。それほどまでに、この頭痛は真城の思考力や集中力を削いでくる。


 それに加えて、だ。

 結局の所、いくら“力”の効力を十二分に引き出して分離を簡略化する方法が見つかったからといっても、ぶっつけ本番でこれだけの影人を相手取り、完璧に分離を終わらせる……などということは簡単に行えるものじゃない。

 行う工程のいくつかが多少は楽になっただけ。最終的に集中して混沌点を剥がすという作業の疲弊度合いに何の違いもない訳だ。

 それでも今の今まで分離が出来ていたのは、その“簡略化”を発見した喜びで舞い上がり、過剰に分泌されたアドレナリンが疲労感を忘れさせていたからに他ならない。

 しかし、その最後の頼りだったアドレナリンも消えかかっている今となっては、蓄積されていた疲労感をドッと思い出しつつあるのが現状だ。

 これではいずれ、立つことさえままならなくなってくる。

 そんな今の状況で、残る最後の一体を最小限の苦労で分離出来るというのなら、それは願ったり叶ったりという訳だ。



 白菊の影人へ向かって一直線に駆けていく。

 しかし残り一メートルという距離になってなお、やはり動きは見せてこない。

 そんな中で或いは、と。

 真城は未だに抵抗せずにいる白菊の影人へと目を向けて、今日これまでの彼女たち影人の行動を思い出し、ある一つの考えに行き着いた。


 もしかしたら。

 白菊の影人自身も、分離されることを願っているのかもしれない、と。


 通常、影人達の行動指針。その目的というものは“肉体と精神を乗っ取る”ことであり、それが済んだ後ならば自由に行動するのが大半だ。

 中にはその肉体の本来の持ち主が“殺したい程に憎んでいた”人物を殺しにいく等々、やろうと思っても出来ていなかったことを代わりにしに行く奴もいるだろうし、或いは単純に他の影人からの命令を受けて動く奴もいるだろう。

 それこそ今回、真城へと攻撃をしてきていた影人達は後者。つまりは黒子姿の影人の命令で『真城を殺せ』とでも言われて動いていたに違いない。

 ……が、そもそも白菊の影人達(彼女ら)は通常とは異なる方法で誕生したイレギュラーな影人だ。

 であるならば、その行動理由も、通常の影人と同列に考えるべきではないはずだ。

 それこそ例えば……。望まずして強制的に人格を芽生えさせられてしまったことで、目覚めてしまった不本意な影人が、これまでの戦闘で真城の“力”を見て取って『元の人物にその肉体を返したい』『はやく影に戻りたい』と、そう願う可能性だって無くは無い。

 そしてもし、この仮説通りの考えを目の前の白菊の影人が抱いていたとしたのなら?

 或いは、攻撃をしてこない。抵抗をしてこない。その理由も頷ける。


 ……いや、まず間違いなくそうだろう。

 でなければ、抵抗しない理由は無いはずだ。

 少なくとも、真城にはこれ以上の仮説は浮かばない。腑に落ちる答えは出てこない。

 ……が、それを論じる時間も最早ない。

 白菊の影人は眼前だ。手を伸ばせば届く場所にソレはいる。

 抵抗しないならそれでいい。出来るだけ痛みを与えぬよう、少ない時間で分離を終わらせればいいだけだ。


 真城は右拳を握りしめ、そのまま白菊の影人へと振り下ろす。

 狙う場所は鎖骨と鎖骨の中間点。真城はその場所の名称を知らないが、ちょうど胸骨柄と呼ばれる骨がある場所だ。

 何故その場所を狙ったかと問われれば、単に先のスキャンによる解析で“混沌点”のある場所が心臓部付近と右脇腹附近だと分かったからに他ならない。

 トスン。と真城はその場所に優しく右拳を押し当てて、そうして“力”を流し込む。

 ……別に警戒をしていない訳じゃない。だが抵抗してこない以上、例え影人であっても殴る必要は無いとそう思っただけである。言わばせめてもの手心だ。


 案の定、白菊の影人は抵抗をしてこない。顔を顰め、奥歯を噛みしめながらも“光”が及ぼす痛みに耐えている。

 であるならば、真城もやるべきことをやるだけだ。

 影人に流れ込む“力”の流れに集中し、“混沌点”の正確な位置を把握する。と更にその“混沌点”に“力”を注ぎ込み、肉体と影とを綺麗に剥がしてく。

 やはりこれまでの影人と同様で、“混沌点”は剥がしやすい。……が頭痛と疲弊による集中力低下が効いている。その所為で思いのほか時間を食ってしまう。

 ここにきて更に強さを増してきた頭痛に耐えながら、たっぷりと二秒以上も費やして、ようやく“混沌点”の一つを分離して、もう一つの方へと取り掛かる。


 ズキズキと訴え続ける頭痛に加えて、底を尽きつつある集中力を無理やり絞り出しているからか、或いは疲労困憊故からか、やたらと重い瞼に耐えながら……それでもと“混沌点”へ意識を集中させていく。

 だが、そんな思いとは裏腹に注意は散漫になっていき、思うように分離作業が進まない。であるならばと重い瞼を寧ろ閉じ、余計な情報(視界)を遮断することで“力”の流れのみへの意識集中を試みる。


 残る影人はこの一体。

 そして分離すべき“混沌点”もあと一つ。

 ならばここは無理をしてでもやり通す。

 それで無事に終わるなら、それは必要な無理である。




「――――ッッ!!!?」


 だが。

 その判断が悪かった。

 真城は判断を誤った。


 目を閉じて視界の情報を遮断して、そうして手にした闇の中。

 “力”の流れのみを頼りにし、“混沌点”の引き剥がしに全身全霊を注ぎ込む……そんな真城の耳にふと、


「お前さえ、梓をちゃんと見ていれば――ッ」


 とそんな呟くような言葉が届いたその刹那――真城の頭部が、突如衝撃を受けてグラついた。

 それは頭痛の比喩ではない。物理的なものだった。

 ガンと鈍い音がして、驚いて目を開けた真城の視界には“犯人”の姿がありありと映り込む。それは紛れもなく……白菊の影人であった。

 力強く握り込まれた拳に影までもを纏わせて、真城を殴りつけたらしかった。


「お前さえいなければ――ッ、梓があんなにも悩まずに――人生(時間)を無駄にせずに済んだのにッッ!!」


 白菊の影人。

 その表情から唯一読み取れた感情は――“怒り”だろう。

 それもただ、戦闘の相手として敵対者に向けるようなものじゃなく、真城個人に向けられた“八つ当たり”にも等しい感情のようだった。

 真城はその言葉を受け取って、何かしらの声を発しようとしたものの、右手から伝わる違和感・悪寒がそれを許さない。……何故ならば、


「――――ッッ」


 点滅する視界。今にも潰えそうな意識の中――右手の“力”が暴発した。



 …… ……



 能力の制御。

 そう偏に言っても、きっと色々あるのだろう。

 真城でさえ使える能力と言えば“影操作”と“光”の二つだが、既に扱い方が少し違う。

 言語化するのは難しいが“影操作”は自分の身体の一部を、手を使わずに操るような感覚であるのに対して、“光”の方はといえば自身の肉体から出力させたエネルギーを操るような感覚だ。

 そうなると一ノ瀬の“テレパシー”、桜井の“電気”といった能力も、また違った感覚であるのだろう。


 とはいえど。

 今、重要となるのは“光”の方。


 これまで、真城は自身の中から溢れ出る“光”というエネルギーの出力を、今までの経験と感覚で調整し、操ってきた訳である。

 身体から溢れ出す“光”。それがどこから来てるのか、それは正直なところ分からない。

 だが真城はその“光”を……イメージとしては水の出る蛇口を捻るようにして。或いはホースの口を絞るようにして調整し、その上で緻密に“光”を操作して“混沌点”を引き剥がしてきた訳である。


 そう。

 それはこの瞬間。

 白菊の影人の突然の反撃によって、頭を殴りつけられるその瞬間(とき)まで。



 ガンと鈍い音がした。

 そして遅れてきた痛みから、自身が殴られたのだと理解した。

 驚いて開けた瞳から入ってくる情報が、それを事実だと認識した……その刹那。

 グラついた意識から、集中力が消失するとほぼ同時、意識して出力を抑え・絞っていた“()”の制御が自身の手から離れてく……そんな嫌な感覚が膨れ上がる。


 実際……“膨れ上がる”といった表現は、何も間違ってはいなかった。

 それは真城の制御を離れてしまった所為なのか。或いは“力”を絞っていた反動か。そのどちらもなのかは定かじゃないが兎も角だ。

 真城の右手から必要以上に高出力で莫大な“光”が、無秩序に放出されていく。


 これほどの威力の“光”を、真城は知らない。

 “力”の全方位放出でさえ、こんな威力は出ないだろう。

 いや、そもそもあれは“力”の威力・濃度と引き換えに範囲を広げたものであり、これほどの威力を持ったまま広範囲に及ぶ“力”の放出が出来るなど……考えてもみなかった。



 ただ。

 そんな“()”の放出が、無慈悲に白菊の影人を焼いていく。

 それは例えば、日焼けマシンでチリチリと日焼けを作る程度のものじゃない。

 文字通りに、太陽に直接炙られる様なものだろう。

 何せ真城自身、意識が朦朧とした中でさえ右手から溢れ出る膨大な“力”の放出を……“太陽”と錯覚したほどである。


 だがしかし、それは真城の望む所じゃない。

 白菊の影人には、未だに“混沌点”が一つ残ってる。

 にも関わらず、これほどに膨大な“力”では、“混沌点”を無理やり剥がしてしまうだろう。それでは――“後遺症”が出てしまう。



「く、そ……ッ」


 視界が闇に染まっていく。

 意識が闇に沈んでく。

 それでも必死で右手を動かして、“力”を止めようと躍起する。

 が、止めどなく溢れ続ける膨大な“力”の放出は一向に治まらない。

 身体に力が入らない。まるで操り人形の糸が切れてしまったかのように、アスファルトの地面へと崩れ落ちていく。

 近づいてくる地面が、やけにゆっくりと感じた。


 ドサリッ、と真城が地面に倒れ伏す。

 しかしその間も“力”は尚も放出し続け、白菊の影人を焼いていく。

 それは影人が、ついには白菊の身体から強引に引き剥がされても変わらずに、白菊の……影人の身体を削いでいく。



 影人とは、そもそも光に弱い存在だ。

 それは真城の持つ例外的な“光”のことだけを言っている訳ではない。

 自然光、人工光。そういった全体的な光を指したものである。

 しかし勿論、絶対に触れられないといった訳ではない。それでは昼間に影人が活動出来ないことになってしまう。

 ここで問題となる点は……影人という存在が、その存在維持にさえ“影エネルギー”を必要とする点だ。そして、その“影エネルギー”というものは、光の下ではより多く消費され、もしもソレが無くなれば、影人は存在を維持出来ず……消滅してしまうことにある。


 つまりはそういうことだった。

 暴発した“光”が白菊の影人を飲み込んで、影人を消滅させていく。

 完全に人格を、肉体を、存在を霧散させ、問答無用で影に還してく。



 そうしてどれくらい経っただろう。

 “光”が完全に引っ込んで、夜の闇が戻ってくる。

 太陽の如き光の放出があった地点。そこには共に意識を失って倒れ伏す、真城と白菊だけがそこにいた。



 ……


 …… ……



 影人達との会敵時、真城が本部へと送っていた救援要請。

 それを受けて編成された『救援部隊』が現場へと駆け付けたのは、真城の戦闘が終結し商店街に完全な静寂が訪れてから、五分後のことだった。



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