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3.VVIQ

 VVIQというものを知っているだろうか。正式名称はVisual Imagery Vividness Questionnaireという。なるほどさっぱりわからない。日本語にすると、視覚的イメージの鮮明さに関する質問紙ということだ。ここで、鮮明さという言葉に違和感を覚えた人がいれば、それは私が感じたものと同じかもしれない。後に話すので心にしまっておいてほしい。

 VVIQは、1973年にイギリスの心理学者であるデビッド・マークスによって発表されたものであるらしい。数十年は昔の話である。対して、アファンタジアが発表されたのは2015年。つまりは、アファンタジアかを判別するために作られたテストでないことは留意しておいてほしい。

 当時の心象に関する研究における曖昧で一貫性に欠ける個人の記述への依存から脱するための、信頼性が高く標準化された方法として作られたものであるらしい。全16のシナリオに対し、5段階で評価する形式になっており、評価尺度は以下の通り。


 1.全くイメージがない、単にその物体について考えていることを「知っている」だけ。

 2.あいまいで、ぼんやりしている。

 3.中程度に鮮明で、鮮やか。

 4.鮮明で、かなり鮮やか。

 5.完全に鮮明で、通常の視覚と同じくらい鮮やか。


 なんともわかりやすい。個人のイメージの鮮明さが16~80というスコアで可視化されるわけだ。個人的には、あいまいで、中程度に、かなり、なんて言葉で分けられているものに信頼性があるのかと問いたい気持ちもなくはないが、目の前にあるのと同一から、何も知らないと同一の状態までを5段階で切り分けたということで納得しよう。

 そもそもが質問紙法なのだからとやかく言うべきものでもないというのもある。

 このVVIQだが、2話でアファンタジアの説明のために読ませていただいたAphantasia JPで簡易的に行えるので、興味があればこのタイミングでやってみてほしい。最後に、無作為に行われた約3000名と比較することもできる。なぜか木々の質問が1つ欠落し、全15問になっているが、娯楽目的であれば十分だろう。

 どうやら、このVVIQについてスコアが32以下をアファンタジアとされることがあるらしい。あるらしい、と曖昧な表現にしているのは、32以下がアファンタジアと決まっているわけではなく、各論文がそれぞれ定めた指標において32がラインとして使われることがあるという程度の話だからである。

 さて、この32という数字について、顔はイメージしやすいが、空はイメージしづらい。また逆もしかり、とあるのは置いておき、平均をとれば2のあいまいで、ぼんやりしているというのがアファンタジアというわけだ。

 おそらくこれは、様々な意図があって多分にバッファがとられた設定値なのだと思う。ぼんやりとイメージできるというのは、前のアファンタジアの説明にでた心的イメージを持たないという事実と矛盾するからである。実際にスコア16のみをアファンタジアとしている論文もあるらしい。


 さて、冒頭で書かせていただいた違和感について、述べていこう。

 まず、前提として。VVIQはイメージの鮮明さを評価するものである。そして、アファンタジアとは心的イメージを持たない特質である。

 私は自身を先天的アファンタジアだと認識している。そして、私は心的イメージという概念を知らない。体験したことがない。おそらく私以外の先天的アファンタジアの方々も同様ではないだろうか。私が持っているのはプロンプトイメージだ。そのプロンプトイメージでさえ、自分がアファンタジアであることに気づいて初めて心的イメージだと思っていた何かに名付けたものに過ぎない。心的イメージが何かを知っているはずがないのだ。知っているとすればそれはただの思い込みか、知識としてという枕詞をつけるべき状態か、それとも後天的であるかのどれかであるのだろう。

 自身のプロンプトイメージを、心的イメージだと誤認した状態。私が二十数年気づかなかったのだ。世の中のアファンタジアの多くも誤認したままの可能性は十分にありうる。

 そのような状態でVVIQを行い、1や2を選ぶだろうか。おそらく選ばないのではないだろうか。確かに現実で見るほど鮮明でないことは自覚できるので5を選択することは無いだろう。しかし、現実よりも幾分かぼんやりである4。または中程度に鮮明な3。それらを選択する可能性は十分にありうる。

 なぜなら、プロンプトイメージとしてそれらをイメージできるからである。

 先天的アファンタジアにとって、VVIQと言うのは知らない概念に関するテストであり、どう頑張っても回答者本人も気づかないうちに問題不備にならざるをえないのではないだろうか。

 このVVIQをもとに、アファンタジアの割合は全体の3%程度と言われている。1クラスに1人はいる程度の割合だ。私は上記の理由からこの値がどうにも信頼できないのだ。


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