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第9話 幼女と密着

 フルートは赤い蝶のブローチを気に入ってくれた。赤い蝶の贈り物には何か意味があるらしいがフルートは顔を赤くして教えてくれない。

 俺は気になったが、フルートが気に入ったのだからよしとする。デートは波乱があったが無事に終わる。明日の日曜日は異世界に行くことになる。

 俺は、大きめのバックを用意してレトルト食品、調味料を満載する。これで異世界の味気ない食事に対抗できるはずだ。

 日曜日になり、俺はクローゼットからフルートの家に行く。フルートはちょうど朝食の用意を終えた所だった。

 メニューは、ソードボア肉のステーキと野菜スープ、硬いパンだった。俺はまず、塩を振っただけのソードボア肉のステーキに焼肉のたれをかける。

 野菜スープは野菜の塩煮だったのでコショウを入れ味を調える。これで少しは食べることのできる朝食になったと思う。

 「翼、さすがに味にうるさいな。しかし、コショウはやりすぎではないのか。」「こっちの方がいいと思うけど。」

 「貴重なコショウをふんだんに使うやつがあるか。貴族にでもなったつもりか。」「もしかして、コショウは貴重なの。」

 「コショウを買うには金貨が必要だ。」「確か、金貨1枚が100万コルで庶民の食事代が200コルから300コルくらいだったはずだ。」

 「そうだ、コショウは貴重品なんだ。」

俺はコショウを売ることを考える。俺の世界でコショウを買って売れば大金になる。

 「おい、何を考えている。悪い顔になっているぞ。」「コショウを売ることを考えていた。」

 「そうか、ならば商人ギルドで登録が必要だな。」「町に行かないと無理だな。」

 「そうだ。まずは帰らずの森を一人で出入りできるくらいには強くなくてはな。」「まだ先になるな。」

 「ずっとここにいてもいいのだぞ。」「せっかく、異世界へ来たのだから、いろいろ見たいよ。」

 「まずはファイヤーボールの訓練からだな。」「おう。がんばるぞー」

俺はすぐにファイヤーボールの訓練を始める。一日かけて火球をソフトボール位の大きさに圧縮した状態で作りだせるようになる。

 夕食はフルートが沼で釣って来た魚だ。俺はこのままだと泥臭いので水を張った桶に半日生かしておいて泥を吐かせた。たぶん、これだけでは泥臭さは抜けないだろう。

 そこで濃い味付けでごまかすことにした。赤味噌を使って味噌煮にしたのだ。もちろんしょうがを効かしてある。

 出来上がった魚の味噌煮にフルートは感激して言う。

 「あれだけ、まずい魚がおいしくなるとは思わなかったぞ。魔法のようだ。」「魔法で何とかできないのか。」

 「我は料理には無関心でな。料理の魔法は使えないのだ。」「魔法はあるんだ。」

 「調味料を作ったりできるらしい。」「俺の持ってきた調味料は魔法に勝っているかな。」

 「分からん。詳しくないからな。」「ちょっと興味があるな。」

 「明日は初めに土魔法を教えてやる。ファイヤーボールの訓練に必要だからな。」「楽しみにしているよ。」

夕食の後、俺はフルートと一緒に風呂に入る。間違っても俺が望んだことじゃない。俺が風呂に入るとフルートは乱入してくるのだ。

 今回、俺はシェラフを用意している。フルートの家にはベットが一つしかないので別々に寝るためだ。

 「翼、なんだそれは。」「シェラフだよ。寝るための道具だよ。」

 「面白いな。今夜はシェラフで一緒に寝るとしよう。」「これは一人用だから、ベットで寝てくれ。」

 「我も入る余裕がありそうだな。」「密着して寝ることになるぞ。」

 「我は構わないぞ。」「勝手にしろ。」

俺たちはシェラフで一緒に寝ることになる。これならベットで寝たほうがましだった。

 朝目が覚めるとフルートは俺に抱き着いて眠っていた。顔が近い。間違ってキスでもしたらどうするのだ。俺は抜け出そうとするが抱き着かれて動けない。

 仕方なくフルートの寝顔を見る。整ったきれいな顔だ。まつげが長い。吐息がかかるが嫌じゃない。何を考えているんだ俺。俺は雪島が好きなんだ。煩悩退散。

 フルートが目を覚ます。そして俺と目が合う。きれいな青い目だ。フルートの顔が赤くなる。そして、シェラフの中でもがきだす。

 「落ち着けフルート、何もしないから。げっ・・・・・」

フルートの足が俺の大事なところを直撃する。激痛で声が出ない。

 「だ、大丈夫か。」「・・・・・」

目から涙が出てくる。フルートが笑いだす。俺は笑いごとではない。

 ようやく、俺たちはシェラフから抜け出した。フルートが笑いながら謝る。

 「すまなかった。あそこを直撃するとは不運だったな。」「フルートが暴れたからだろ。」

 「美少女の寝顔を見ていた罰だな。」「幼女だろ、見ても面白くないよ。」

 「しっかり、見ていたくせに・・・・」「目の前にあっただけだ。」「そういうことにしておこう。」

こうして、二日目の朝が始まる。

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