第10話 幼女は一緒に寝たい
俺は朝から土魔法を教えてもらう。地面から30センチほどの土の盛り上がりを作りだすソイルウォールという魔法を見せてもらう。いったい何に使うのだろうか。
「いいか、土の盛り上がりをイメージするのだぞ。」「またイメージか。」
「魔法はイメージだ。学問で覚えたければ後で本でも読んでおけばよい。」「ああ、わかった。」
フルートは、これまですべての魔法をイメージすることだけで、俺に魔法を教えている。本当は呪文を唱えたりすることが本当のような気がする。
それでも言われた通りイメージする。集中すると地面が盛り上がって来る。もしかして、俺には才能があるのではなかろうか。
「良し、できたな。あれをファイヤーボールの的にする。やってみろ。」「えっ・・・」
10メートル位前にある土の盛り上がりが的だとーーーーー当たって当然だろ。外すわけがない。
俺はソフトボール位の大きさの圧縮した火球を作りだす。そして、的に向かって撃ち出す。ファイヤーボールは的から2メートル位それる。
爆風が俺を高熱であぶる。
「あちちちーーーーー」「どうした。外したぞ。着弾までコントロールしないか。」
そうか、コントロールしなかったから外れたのか。フルートがソイルウォールでファイヤーボールでできた地面のくぼみを整地する。
ソイルウォールは土を盛り上げさせるのではなく、地面に干渉する魔法のようだ。
俺は20メートル位前にソイルウォールで土の盛り上がりを作りだす。土の盛り上がりを的にしてファイヤーボールを撃つ。今度はコントロールを忘れない。見事に命中する。
「翼、お前は覚えが早い。私がダートウォールで的を作りだすからファイヤーボールで撃て。」「ダートウォール?」「これだ。」
フルートは土の壁を作りだす。それも早い1秒ほどで土の壁が出来る。
「いいか、これを出したら、できるだけ早くファイヤーボールを撃ち込め。」「おう。」
これは俺も瞬間的にファイヤーボールを撃ち出す必要がある。俺は集中して構える。地面から壁が生える。ファイヤーボールを撃ちこみ壁を壊す。
「遅いもっと早く。」「おぅ。」
フルートは次々と壁を作りだす。俺は出来るだけ早くファイヤーボールを撃ち込んで壁を壊していく。
ファイヤーボールを早く撃ちこむため、コントロールが疎かになる。
「コントロールを乱すな。」「おぅ。」
ファイヤーボールを撃ち続けて集中力が持たない。いつまで続くんだ。とうとう火球を作れなくなる。
「ここまで、今日は終わりにしよう。」「休憩をしてから、もう一度やりたい。」
「だめだ。魔力切れを起こしている。今日は終わりだ。」「そんな、次の土曜日までお預けだなんて。」
「自分の限界を知ることも大事だ。今日は良い経験をしたな。」「実感ないよ。まだまだという感じだよ。」
「ここまでできれば、並みの魔法使いよりファイヤーボールをに関しては上だぞ。」「そうか、仕方ないな。」
俺は褒められてうれしかった。残った時間は、フルートと畑仕事をする。野菜はトマト、ナス、かぼちゃに似たものを栽培していた。
魔法だけでなく、異世界の畑仕事も悪くないと思う。
夕食は、パウというかぼちゃに似た野菜のスープを作る。味付けは塩だけでなく、持ってきたコショウを使って味付けする。フルートはもったいないと抗議したが無視する。
さらにソードボア肉のステーキを作る。味付けは焼肉のたれを使っている。今度はステーキソースを買ってこよう。
食事が終わると一緒に風呂に入る。俺は風呂から出ると片づけをして帰る用意をする。するとフルートが俺に言う。
「今日はここで寝て行け。」「明日は学校だから戻らないとまずいよ。」
「分かった。我もそちらへ行く。」「どうしたんだ。」
「一緒に寝たいだけだ。」「お姉さんの姿になるのなら歓迎するよ。」
「この姿ではだめか。」
フルートは真剣な目で俺を見る。断れる雰囲気ではない。俺は渋々了承することにする。
「いいよ。今夜だけだからな。」
フルートは笑みになって準備を始める。俺はこれがフルートとのおかしな同棲生活の始まりになるとは思わなかった。




