第13話 丘の上
井上たち勇者パーティと第三騎士団は村を出てエルトへ向かう。索敵のための斥候は出していない。小室が魔力探知で警戒するので必要ないのだ。
バルトが井上に言う。
「あの丘を登るとエルトが見えるはずだ。今頃、連中はどうしているだろうな。」「逃げ出してくれているといいです。」
「そんな時間あるかな。この進軍速度だ。間に合うまい。わはははー」「面白いですか。」
「ああ、慌てふためく奴を切り裂くのは楽しいぞ。」「やりすぎないでくださいよ。」
「善処しよう。」「・・・・・」
井上はバルトを睨みつける。バルトは気にした様子はなく、機嫌良さそうにニヤついている。
「止まれ!丘に魔法使いがいる。」
突然、小室が警告を発する。井上は確認するように言う。
「待ち伏せか。」「分からない。二人いるがもう一人は魔法使いではない。」
小室は、魔力を抑えたフルートと翼を感知していた。翼が庶民並みに魔力を抑えているので魔法使いでないと判断したのだ。
井上は少し考えてパーティメンバーに言う。
「俺たちが先行して確認しようと思う。どうかな。」「待ち伏せだったらどうするの。」
神谷が心配して言う。カールが発言する。
「相手は二人だ。冒険者かもしれないぞ。」「もう、エルトに私たちのことは知れているはずよ。おかしいわよ。」
小塚が疑問を口にする。
「俺たちなら勝てるだろ。小室、魔法使いは強そうか。」「大丈夫、俺なら勝てるよ。」
「よし決まりだ。俺たちが先行する。」「おい、井上、勝手に話を進めるな。俺たちが行けば済むことだろ。」
「第三騎士団が行けば、殺してしまうだろ。」「当たり前だ。」
「俺は話をするつもりだ。待っていてくれ。」「仕方ないな。必要なら合図しろよ。」「頼むよ。」
井上たち勇者パーティは、丘に近づいて登り始める。小室は魔力探知で伏兵に気をつける。丘の中腹まで登ると丘の上に少年と幼女が見えてくる。
近づくにつれ、幼女は白い長い髪の美しい娘で、少年は同年代だとわかる。小塚が井上に言う。
「あの少年に見覚えがない?」「異世界でかな?」
「学校よ。」「よくわからないなー」
井上は記憶をたどる。1年である小塚が思い出す。
「1年3組の萩原君よ。教室で行方不明になって、戻ってきているわ。」「なんで異世界にいるんだ。」
井上たちは相手が同じ学校の生徒だと知って足を速める。




