第3話 第三騎士団
フロイス王はチェンバロと近衛騎士団長を呼び出す。
「勇者パーティの仕上がりはどうだ。」「上々です。個々の力に加えて、連携も素晴らしいものがあります。」
「ならば、すぐに出撃できるな。」「お待ちください。時期早々かとまだ経験を積んでいません。」
「1週間やろう。冒険者パーティを呼んで殺し合いをさせれば、経験などすぐに埋まろう。」「冒険者を犠牲にするのですか。」
「我が国への献身だよ。連中も喜んで死んでくれよう。」
チェンバロはフロイス王の言葉に血の気が引いていく。フロイスの人の命を何とも思わない言葉に恐怖を感じる。
近衛騎士団長が口をはさむ。
「勇者パーティはすぐにでも出撃できます。我が近衛騎士の精鋭がついて経験不足を補いましょう。」「近衛騎士の精鋭を出すというのか。」
「はい、万全かと思います。」「近衛騎士は何のためにいる。」
「王のもとで王を守るために・・・」「その騎士が我から離れるというのか。」
「はっ、いいえ・・・」「安心しろ、そなたを疑っているわけではない。ただ思慮不足だな。精進せよ。」
「はっ。」
近衛騎士団長はじっとり冷汗をかく。フロイス王は命令を下す。
「勇者パーティには第三騎士団をつける。明後日、王都からコルトバ王国へ出撃する。」
チェンバロと近衛騎士団長は最悪の展開になったと考える。第三騎士団長バルト・ヘルゲンは残忍な男として知られていた。第三騎士団も演習で近隣の村を略奪するなど悪名高い。
そんな第三騎士団が勇者パーティに付けば、行く先々で悲劇が起こることは目に見えていた。
フロイス王は第三騎士団長バルトを呼ぶ。
「今日から第三騎士団は、勇者パーティために働くのだ。勇者の言葉は絶対だぞ。」「子守の間違いではありませんか。」
「バルト、口が過ぎるぞ。」「我々は国王のためにいるんですよ。勇者のためではない。」
「ならば勇者がどれほどのものか身をもって体験するのだな。」「もとより、試してやりますよ。」
バルトはニヤつきながら玉座の間から出ていく。
近衛騎士団長は井上に伝える。
「勇者パーティには第三騎士団が付くことになった。」「なぜ、軍隊と一緒なんです。」
「実質戦争をするのだからおかしくはない。」「分かってますが・・・」
「問題は第三騎士団が略奪などをする外道の集団と言うことだ。」「フロイス王は知っているのですか。」
「もちろん知っている。第三騎士団は戦力になるからフロイス王は黙認しているのだよ。」「フロイス王は国民のことを考えないのですか。」
「国のことを考えている。冷酷な王だが国の将来が一番なんだ。」「国民が苦しんでいて何が国の将来だ。」
井上だけでなく、話を聞いていたメンバー全員が苛立ちを覚える。




