第7話 フロイス王の非情な命令
魔法使いの小室とヒーラーの神谷は、チェンバロに魔法を教えられて腕を上げていく。しかしチェンバロは二人が腕を上げることを望んでいなかった。
勇者の井上と剣士の小塚は、近衛騎士団で訓練を受けて腕を上げてきた。近衛騎士団長はフロイス王に勇者と剣士を早く一人前にするように命令されている。
近衛騎士団長はフロイス王に呼び出される。
「勇者と剣士は仕上がったか。」「成長は早いですが、まだ戦場で戦える腕前ではありません。」
「あとどのくらいかかる。」「半年いただければ。」
「かかり過ぎだ。1カ月で何とかしろ。」「それは無茶です。人を殺したこともないのですよ。」
「では、罪人と戦わせよう。」「なっ・・・」
「罪人に勝てば無罪放免にすると言えば必死に戦うだろう。」「しかし、それでは法が・・・」
「最初は弱い女子供が良いな。だんだん強い奴を選ぶのだ。」「勝ったら逃がすのですか。」
「何をバカなことを言っている。勇者を見たのだ殺せ。」「これでは、ドゴール王国の法が乱れます。」
「法は私が決める。王命だ。実行せよ。」「はっ。」
近衛騎士団長は汗まみれになる。こんなこと許されるはずがない。宰相のエメリに相談するべきか。王は宰相の言葉なら耳を貸すであろうか。とにかく話すべきだ。
近衛騎士団長は執務室にいるエメリに会いに行く。
「時間と取らせて悪いが聞いてくれないか。」「どうしたのです。顔色が悪いですよ。」
「王命のためだ。」「王命?」
「フロイス王は、勇者と剣士に罪人と戦わせようとしている。」「訓練になるのですか。罪人など剣の腕など期待できないでしょう。」
「勇者たちに罪人を殺させるつもりだ。」「何ということです。しかし、王命なのですね。」
「はい。だが、こんなことは許されない。」「今は、従ってください。私にも止めることはできません。」「そうか。」
近衛騎士団長は従うしかなかった。
最初に選ばれた罪人は少年と少女だった。二人とも孤児でパンを盗んで捕まり、お仕置きのために2日間牢で過ごすことになっていた。不幸なことに最初の犠牲者に選ばれたのだ。
少年と少女に騎士が言う。
「今から、そのショートソードで戦ってもらう。相手を殺せば金をやろう。そして牢から出してやる。」「分かった。生きるためだ。」
少年と少女は目をギラギラ輝かす。
近衛騎士団長が井上と小塚に言う。
「今日は実戦を体験してもらう。相手はとるに足らない格下の相手だ。死刑になる奴だから殺すようにするんだ。」「人を殺せというのですか。」
「いずれは、人と戦うのだ。覚悟を決めよ。」「はい。」
最初は井上が剣を持って戦いの用意をする。出てきたのはショートソードを持った少年だった。目を見開いて殺気に満ちている。
この少年を殺さないといけないのか。まだ子供だぞ。井上は困惑する。




