第6話 幼女の正体
フルートが空間からソードボアの肉を取り出す。夕食を作るつもりだ。俺は慌てて言う。
「フルート、その肉、俺に料理させてくれないか。」「構わんがうまいのだろうな。」「頑張ります。」
そのまま料理されては肉が硬いままだ。確か冷蔵庫に気の抜けたコーラが入っていたはずだ。肉をコーラに浸けると肉が柔らくなると聞いたことがある。試す価値はあると考える。
俺は家に戻って冷蔵庫からコーラを取り出し、あとしょうゆをもってフルートの家に戻る。
肉を切って深めのさらに入れるとコーラを加えて肉を浸す。フルートが興味深そうに言う。
「それは飲み物だろ。そんなもの入れてどうするのだ。」「肉を柔らくする・・・はず。」
「おい、大丈夫だろうな。」「きっと大丈夫だよ。」
フルートは心配そうな顔をする。俺は肉が柔らかくなることを願う。俺は肉をフライパンに移すと焼き始める。片面を焼いたところで、しょうゆを回しかける。
するといい匂いがしてくる。これは何とかなりそうだぞ。
「うまそうじゃないか。翼、やるな。」「大丈夫と言っていただろ。」
「あまりにも変なことをするから心配になったのだ。」「まあ、初めてだったからね。」
フルートは翼の言葉に料理を任せたことを後悔する。
俺は焼いた肉を皿に盛り付け、野菜を塩を振って軽く炒めたものを付け合わせて夕食を完成させる。
フルートは肉とにらみ合って固まっている。俺は肉をナイフで切って口に入れる。
予想外においしかった。何より肉が柔らかくなっている。無理やりかみ切る必要がないのだ。俺は出来上がりに満足する。フルートが心配そうに言う。
「どうだ。食べられるのか。」「食べてみろよ。おいしいよ。」「本当だな。」
フルートは、肉をナイフで切って、口に放り込む。突然、フルートの表情が変わる。
「なんだこれは、おいしいぞ。こんな柔らかい肉は初めてだ。翼、お前は天才だな。」「口に合ってよかったよ。」
コーラとしょうゆを煮込んだソースはおいしかったので炒めた野菜もソースに絡めて食べた。
食事が終わり、食器を片付けるとフルートが風呂の用意をしてくれた。俺が風呂に入ると当然のようにフルートが乱入してくる。
「どうして一緒に入ろうとするんだ。」「いいではないか。背中を流してくれ、いや全身を洗ってくれ。」
「恥じらいを知らないのか。」「お前は幼女には欲情しないのだろ。ならば猿に裸を見られていると思えばよい。」「俺は猿か。」
なぜかフルートは楽しそうである。風呂から上がるとフルートは酒と作り置きの菓子を持ち出して来て酒盛りを始める。
「翼も飲め。」「俺は未成年だから酒は飲めないよ。」
「こちらの世界ではそんなことないぞ。我も幼少の頃から飲んでいたぞ。」「何千年前の話だ。」
「千年ほど前だ。いいから飲め。」「少しだけだぞ。」
フルートは千年も生きているのか。最古の魔女だから魔女の中で最高齢なんだろう。
俺は情けないことにコップ一杯の酒でフラフラになり、フルートのベットに入らせてもらう。フルートはその後も飲み続けていた。俺はそのまま眠ってしまう。
俺は白髪の美女に抱き着かれる夢を見る。いい香りがして、柔らかく温かい。うん、気持ちがいい。俺はそこで目が覚める。
いい夢を見たな。二度寝したらもう一度、同じ夢が見えるかな。無理だな起きるか。
俺が起きようとすると右腕を掴まれている。フルートだな。俺は強引に引っ張る。するとムニュと柔らかい。フルートではないと気づく。
俺は右腕を掴んでいる者を見ると白髪の女性がいる。彼女が俺の右腕を抱きかかえて豊満な胸が当たっている。今、人生で二番位のラッキーが訪れている。
女性はきれいな長い白髪で寝顔も天使のように美しい。そんな女性とベットで寝ているのである。このようなことは二度とないに違いない。
俺が彼女を見ていると彼女は目を覚ます。目は青く、宝石のようである。
「翼、起きていたのか。」「なんで名前を知っているの。誰ですか。」
「寝ぼけているのか。我だ。」「もしかして、フルート。」
「そうだ。幼女化が解けてしまったか。」「えええっ。」
フルートがこんなに美人とは知らなかった。これからどう接すればいいのだ。
「これまで通りに接すればよいぞ。」
あっ、心を読まれた。と言うことは、俺の気持ちまで知られたーーーーー
「安心せい。お前が我を守れるようになったら親密な関係もありうるが、今はただの弟子というところだ。」「せめてきれいなお姉さんでいて。」
「残念。諦めろ。我の美しさは男を不幸にするから封印しているのだ。」
フルートは幼女の姿に戻る。俺の癒しがーーーーー




