第1話 異世界の再会
小塚と神谷がチェンバロの実験室に現れる。すかさず兵たちが取り押さえにかかる。
「何よこれ。来ないでーーー」「いやー離してー」
神谷を取り押さえる兵が、神谷の反応に興奮を覚える。
「こりゃいい。楽しめそうだ。」
兵は神谷の胸を鷲掴みにする。
「嫌だー話してー」
兵は下卑た笑いを顔に貼り付けて言う。
「おとなしくしろ。すぐに終わらせる。」「助けて!お母さん!」
チェンバロが兵に命令する。
「やめんか。丁重に扱え。」「鮮血の魔女様、俺たちにも役得をくださいよ。」
チェンバロの顔色が変わる。そして魔法の詠唱を始める。
たゆたゆ風よ刃となりて切り裂けエアカッター
エアカッターは兵の首をはねる。チェンバロは兵たちに言う。
「私の命令は絶対だ。従え。」「「「はっ」」」
兵たちは肝を冷やす。神谷は兵の返り血を浴びて気絶する。
チェンバロは、小塚と神谷を自分の部屋に運ばせる。そして、井上と小室を呼ぶ。小室が小塚と神谷を見て言う。
「師匠、なぜ、二人が・・・召喚したんですか。」「フロイス王の命令だ。」
井上が察したように言う。
「俺たちは戦場に出るのですね。」「済まない。王の命令は絶対だ。コルトバに行ったら脱走して最古の魔女を頼れ。」
「そんなことをしたらドゴールはどうなるのです。」「お前たちは使いつぶされるぞ。フロイス王は便利な道具としか考えていない。」
小塚が井上に言う。
「サッカー部部長の井上君よね。その恰好はなんなの。それにどこの外国語を使っているの。」「俺は勇者をしている。しゃべっているのはアラキア語だよ。」
「2カ月前に行方不明になって、こんなところにいたの。」「もう、4カ月経っているよ。」
「えっ・・・・・」「時間の流れが違うのか。」
「そんなことより、何しているの。まさか、あの連中の手伝いをしているの。ひどい連中よ。」「チェンバロや騎士団の人はいい人だよ。」
「さっき、神谷が兵に襲われたのよ。」「誰だ、俺が殴ってやる。」
「死んだわよ。チェンバロが殺したのよ。」「そうか、チェンバロが助けてくれたんだ。」
「こんなところ逃げようよ。」「無理だよ。元の世界には帰れないんだ。」
「でも、ここにはいられないわ。」「チェンバロは味方だよ。」
神谷が気がつき起き上がる。
「美紅、ここどこよー」「紅先輩、落ち着いてください。」
神谷は小塚から事情を聞き落ち込む。小室が小塚と神谷に言う。
「今から師匠が二人のステータスを見ます。」「ステータス?」
「適性や能力のことです。」「そんなことしてどうするの。」
「剣士とヒーラーを探しているらしいよ。」「違っていれば用なしなのね。」「それは分からないよ。」
その時、小塚と神谷の頭の中に声が響く。
(それでは始めるわよ。)「えっ、今のチェンバロが言ったの。」
(直接、頭の中に話しかけているわ。ステータスを見るわよ。)「仕方ないわね。」
チェンバロが小塚のステータスを見る。
職種 剣士 HP100 MP80 力20 敏捷性10 知力25 魔力10 剣技50 スキル 俊足レベル1
(あなたは剣士ね。)「剣士、そんな。」
続けて神谷のステータスを見る。
職種 ヒーラー HP90 MP150 力10 敏捷性10 知力20 魔力100 剣技5 スキル 天の癒し
(あなたはヒーラーよ。)「ヒーラーですか。」
チェンバロはフロイス王に報告する。
「でかしたぞ。さっそく剣士とヒーラーを引き当てたか。すぐに仕上げよ。」「はっ。」
チェンバロは気が重い。勇者パーティが揃ってしまい。コルトバ侵攻の時期が早まってしまったのである。




