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第3話 脱走

 1年3組の教室では、大騒ぎになっていた。生徒5人が突然消えたのだ。教師が見ていた生徒に聴取しても要領が得ない。

 皆、教室に魔法陣のような文様が浮かび上がって光ったら教室の中にいた5人が消えたというのだ。

 フルートは、不審な魔力の発生に気づき、学校を目指している。魔法を使いたいが人目があるのでうかつに使うことが出来ない。

 フルートが学校に着いた時には、警察が到着して教室に入れなくなっていた。フルートは1年3組の生徒を捕まえて質問する。

 「何が起こった。翼はどこだ。」「教室に魔法陣のようなものが浮かび上がって光ったら、教室にいた翼たち5人が消えたんだ。」

フルートは異世界召喚が行われたことを知る。そして、召喚が成功していることを願う。召喚魔法は難しく使える魔法使いは数人しかいない。失敗していれば、翼は死んでいるだろう。

 翼の生存を願いながらフルートは家に向かって走る。翼が生きているならば、必ず隙をついて召喚先から脱出して国王ルイスに助けを求めるはずだ。


 チェンバロは、国王フロイスに報告するため、俺たちから離れる。今、ここにいる中で一番厄介な相手が俺たちから離れた。

 俺たちを取り囲んでいる兵も王の方に気がそれている。今しかない。

 「今の内だ。集まってくれ。」

連中は日本語は分からない。

 「どうするんだ。」「逃げるぞ。」

俺はみんなが集まると転移魔法の魔法陣を描く。

 チェンバロが気づいて叫ぶ。

 「逃げるわ。捕まえて!」

兵たちが動き出すが遅い。俺たちは転移した。

 残されたフロイス、チェンバロ、エメリ、兵たちが茫然となる。フロイスがチェンバロに言う。

 「どういうことだ。あれは異世界転移ではないのか。」「いいえ。ただの転移です。」

 「魔法陣は使っていたが無詠唱だったな。」「はっ。かなり手練れの魔法使いかと思います。」

 「なぜ、異世界召喚者に手練れの魔法使いが紛れているのだ。」「わかりません。ステータスは庶民でしたが偽装していたと思います。」

 「転移ならまだ国内に居る可能性がある。探せ。」「はっ。」

フロイスは不機嫌になって席を立つ。チェンバロは冷や汗をかく。

 なんなんだ。あの少年は、やけに落ち着いていたのは異世界召喚を知っていたのか。無詠唱の魔法行使、まるで最古の魔女ではないか。

 エメリがチェンバロに声をかける。

 「魔法陣から転移先を予測できませんか。」「無理です。私の魔法陣と異なって精錬されています。」

 「では、転移に関しては、あの少年の方が上だというのですか。」「そうです。まるで最古の魔女の様です。」

 「まずいですね。」「どういうことですか。」

 「最古の魔女が弟子を取ったと情報があります。」「でも、最古の魔女の魔法はまねできるものではありませんよ。」

 「それだけの才能があるとしたらどうでしょう。実際、勇者エドガーに勝っています。」「エドガーなら私でも勝てますよ。」

 「当然です。あなたは我が国が誇る魔女なんですから。」「私はすごいのです。」

 「召喚者を逃がしていますけどね。」「はい。」

今、チェンバロにできることはなかった。

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