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第1話 鮮血の魔女

 俺は、死線をくぐり抜けて日常に戻る。目を覚ますとフルートが抱き着いている。フルートを引きはがして起き上がり、朝食を作る。

 「なぜ、我の顔を見ていないのだ。美少女の顔だぞ。」「幼女だろ。朝食できたぞ。」

 「ごくろうだ。」「どういたしまして。」

フルートは、焼いた食パンにハチミツをたっぷりかける。いつも光景だ。俺はホッとする。

 アリーセの死は、俺に思ったより精神的なショックをもたらしていた。フルートは気にするなと言うが無理だ。

 俺は平和な平日を確認しながら過ごしていく。登校の途中、雪島が待っている。

 「おはよう。」「おはよう。休日に何かあったの。」

 「特に何もないけど、どうして?」「少し顔つきが変わったように思ったの。」「気のせいだよ。」

鋭いなー。気をつけないとばれそうだ。

 俺たちは教室に入る。すぐに高志がやって来る。いつもの光景だ。ここでは誰も死なない。安心できる。


 コルトバ王国の隣国、ドゴール王国では、宰相のエメリ・アッヘンヴァルが国王フロイス・ドゴールに報告している。

 「勇者エドガーが死んだ模様です。」「ドラゴンにでも殺されたのか。」

 「いいえ、最古の魔女の弟子と戦って死んだようです。」「それはすごい。我が国に連れてこい。」

 「それが最古の魔女は帰らずの森に引きこもっています。」「それでは手を出せんな。我が国の脅威になるぞ。」

 「ご安心を最古の魔女は帰らずの森に引きこもって国政から離れています。その弟子が戦争に加担するはずがありません。」

 「そうか、我が国に勇者が現れればコルトバ王国を攻め落とせるぞ。」「はい、勇者召喚が成功すれば、かないましょう。」

国王フロイスは、ドゴール王国が誇る鮮血の魔女チェンバロ・アヒレスのことを思い出す。

 「チェンバロはどうしておる。勇者召喚は成功するのだろうな。」「はっ、確認をします。」

宰相エメリの顔が青くなる。チェンバロの研究室は血で赤黒く染まり、腐臭が漂っている。

 チェンバロが勇者召喚を行う度に召喚された者は、バラバラになって召喚されたり、体の一部だけが召喚されたりして死体の山を築いていた。

 それだけでなくチェンバロは、失敗の結果を嬉々として受け入れていた。彼女は血を見ることが好きなのだ。

 エメリは吐きそうになるのを我慢して、チェンバロに会いに行く。

 「チェンバロ、勇者召喚の実験はどうなっている。フロイス様が気にかけておられるぞ。」「勇者召喚の基本理論は作り上げたわ。次は成功させるよ。」

 「では、フロイス様の前で勇者召喚をしてもらおう。」「分かりました。フロイス様の御前で召喚して見せますわ。」

チェンバロはエメリに自信ありげに答える。エメリは話を振ったが後悔している。今は、フロイス様の前で鮮血祭りを起こさないか不安だ。

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