第9話 救出
俺たちは尾根を下っていく、なるべく足音を立てないように進む。アークドラゴンは何か探しているようだ。アークドラゴンは俺たちに気づいていない。今のうちに麓へ行きたい。
フルートが魔力探知の結果を言う。フルートは俺より魔力探知能力が高いようだ。
「小さい反応は冒険者に間違いないようだ。一人は魔法使いだ。」「フルートに分かるのに俺の魔力探知では分からないよ。」
「我は1000年も生きているのだぞ。経験が違う。魔力探知能力が翼と同じ訳ないだろう。」「そうだよな。フルートにかなうわけないよな。」
俺たちはアークドラゴンに気づかれることなく麓に降りる。ここまで来れば隠れながら近づくことが出来る。
慎重に移動して冒険者に近づいて行く。離れた所に岩に穴が開いているのを気づく。フルートが俺たちに言う。
「あの穴の中に冒険者が隠れているようだ。」「行こう。」
アークドラゴンの動きを見ながら見つからないように進む。今は木の影に隠れながら行けるがここから先は隠れる物がない。エルマーが言う。
「覚悟を決めて走るぞ。今だ。」「おう。」
俺たちは走り出す。俺は強烈な視線を感じる。見られている。アークドラゴンに見つかったな。
エルマーが切羽詰まった声を出す。
「ブレスが来るぞ。走り込め!」
俺たちが穴に飛び込むと地面を炎がなめる。一瞬遅ければ俺たちは火だるまになっていた。
「帰らずの森か助けにくれたことには礼を言うが、隠れている穴が見つかってしまったぞ。」「ライマー、ここに留まっても餓死するだけだろう。」
フルートが銀翼の剣のリーダに意見する。
「ヒーラのカルラが足をやられて動けないのだ。カルラは魔力切れだ。」「アークドラゴンと交戦したのか。愚かなことを・・・」
「私たちも理解している。遭遇戦だったのだ。カルラがハイヒールを多用して魔力切れになってじり貧だったよ。」「遭遇戦では仕方ないな。」
穴の外では、アークドラゴンがブレスを吐いている。穴の中の温度が上がり始める。ロルフが言う。
「このままではブレスで蒸し焼きだ。外に出て戦おう。」「我が転移魔法を使えるから戦う必要はない。それよりカルラの足を治そう。」
「やけどがひどい、ハイヒールではないと難しいぞ。」「我に任せよ。と言いたいが、翼、治してやれ。」
「俺でいいの。」「やれるだろ。」「分かった。」
俺はハイヒールをカルラに使う。足にやけどはきれいに治る。ライマーが俺に言う。
「ありがとう。君はヒーラーなのか。」「魔法剣士です。」
「すごいな。無詠唱でハイヒールを使うなんて初めてだぞ。」「俺は魔法は全て無詠唱ですよ。」
「翼は、我とエルマーの弟子だ。当然だ。」「あなたは、もしかしてフルート・アーべラインですか。」
「そうだが。」「最古の魔女が、なんで幼女に・・・」
「我は美しすぎるので姿を変えたのだ。」「なんてことだ。あの美しい姿を拝められないとは・・・」
ライマーもフルートの美しさに惹かれていたらしい。横になっていたカルラが起き上がっておれの所に来る。
「翼様、助けてくれてありがとうございます。」「助かってよかったよ。カルラさん。」
「カルラと呼んで下さい。」「カルラ。」「はい。翼様。」
何かフラグが立ったような気がする。カルラは頬を赤らめて俺を見つめる。
フルートが割って入る。
「翼、何をしておる。逃げるぞ。」
俺は何もしていないだろ。なぜ怒る。
「今から転移魔法を使う。皆、魔法陣に飛び込め。」「「「はい。」」」
フルートが転移魔法の魔法陣を展開する。みんな一斉に魔法陣に飛び込む。出たのは冒険者ギルドの前だった。




