第8話 森の中を行く
俺たちは人目のない裏通りに入ると、フルートが転移魔法の魔法陣を作りだし帰らずの森へ飛ぶ。突然、森の中へ飛んでエルマーが文句を言う。
「なんで森の中なんだ。魔獣の前に出たらどうするんだ。」「そのくらい対処できるだろう。それに時間が惜しい。」
俺たちはフルートの指示で森の奥に向かって進む。魔力探知をしながら、魔獣との交戦を避けながら歩いていく。
俺は魔力探知にかかる魔獣の数が少なくなってきていることに気づく。
「フルート、魔獣の数が減ってきていないか。」「当たり前だ。奥へ進んでいるんだ。元凶に近づいているから魔獣はいなくなるぞ。」
「シルバーグリズリーが逃げ出すような魔獣は存在するのか。」「例えば、ドラゴンなどだな。」
「ドラゴンがいるのか。見てみたいなー」「気楽に言うな。国が滅んだこともあるんだぞ。」
ドラゴンかー、ファンタジーだよなー、出会ったらどう倒すのかな。フルートなら楽勝なのだろうか。
「フルートはドラゴンを見たことがあるのか。」「あるぞ。」
「倒したのか。」「逃げたよ。」
「逃げた?どうして戦わないのさ。」「ドラゴンと戦う奴がいるか。リスクを冒してまで戦えるか。」
「そんなにヤバいのか。」「危険だ。ドラゴンがいたら逃げるぞ。」
ドラゴン退治は出来ないようだ。フルートが逃げに徹するような相手だ俺も逃げることにする。
俺たちは、どんどん森の奥へ進んで行く。銀翼の剣は元凶に向かったはずだから、元凶を目指すしかない。
俺とフルートは、魔力探知で巨大な反応をとらえる。俺は反応の大きさに緊張する。なんだこの大きさは、こんなものと戦うなんて冗談じゃない。
フルートを見ると青ざめている。フルートにとっても脅威のようだ。フルートが絞り出すように声を出す。
「まずいぞ、おそらくドラゴンがいる。」「ドラゴンだって、どうするんだ。引き返すか。」
エルマーがあせってフルートに攻寄る。
「見つからなければいい。隠れて、探索をするぞ。」「やるのかよー」「ドラゴン、見てみたいなー」
「ドラゴンは避けるぞ。」「おう。」
俺の望みはかなえられないらしい。俺たちの目的は銀翼の剣の捜索だ。仕方ない諦めよう。
ドラゴンに見つからないように進む。周囲は岩場に変わる。魔力探知に巨大な反応の他に小さな反応がある。
「フルート、小さな反応があるよ。」「ああ、四つあるな。人間かもそれない。」
「それって、銀翼の剣ではないの。」「たぶん、そうだ。動いていないな。」
動いていないのはおかしい。普通なら逃げるはずだが、なにかトラブルがあるのかもしれない。
岩山の尾根に出る。視界が開ける。うん、いい景色だ。あれ、何かいるぞ。動いている。長い首に背中に翼かな。かなり大きいぞ。
フルートが唸るように言う。
「まずいな。アークドラゴンだ。ドラゴンの中でも強力だ。」「まじかよ。あれに近づくのか。」
エルマーが冷や汗を流しながら言う。
小さな反応は、アークドラゴンの近くだ。これからあの山のように大きな奴に気づかれずに進まなければならない。




